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囚われの親子編 プロローグ

 一月二十五日に反魔法主義団体過激派組織ヴァルタンがランチェスター学園を襲撃した事件から一月ひとつきほど経った頃には、ヴォイチェフを始め捕らえられたヴァルタンの団員は全て刑の執行が完了していた。

 処された刑罰は禁錮刑だった。団員によって禁錮期間は異なるが、ヴァルタンの団員には禁錮刑が処されている。無論、最も禁錮期間が長いのはヴァルタンの代表であるヴォイチェフだ。


 団員によっては死罪を適用するべきとの声もあったが、団員に関してはヴォイチェフら幹部に思考誘導されていた者もいたと診断され、情状酌量の余地ありと見なされて禁錮刑を処すこととなった。


 ヴォイチェフら幹部も禁錮刑となったのは、反魔法師思想の者を刺激しない為だ。死罪を適用することで反魔法思想の者が結託する可能性を危惧した経緯がある。


 ヴァルタンの全団員の刑が滞りなく済み、それから二カ月ほど経った頃にはランチェスター学園の学生が勉学に励む通常の日常が戻っていた。


 常勤のカウンセラーの人員を増やし、警備員も増員した。

 以前よりも生徒は安心して勉学に励み、寝食できる環境を整えている。


 ヴァルタンに加担していた生徒は停学処分となっていたが、一部を除いて既に復学している。

 中には自主退学した者や、禁錮刑の対象になった者もいるが、ランチェスター学園襲撃事件に関しては完全に解決したと言っても差し支えないだろう。


 それから時は流れ、少しずつ過ごしやすい気温になり、ぽかぽかと暖かい春陽に照らされる季節が到来する。


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