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第61話 逃走(五)

 ◇ ◇ ◇


 連日国内を騒がせていた一連の事件は、反魔法主義団体過激派組織ヴァルタンによるのもであったと政府から公的に発表された。


 一月二十五日にヴァルタンがランチェスター学園を襲撃したことなども説明され、新聞にも内容を記載されて市井にも認知されることとなった。


 無事にヴァルタンが壊滅し、代表のヴォイチェフを始め、団員たちが拘束されたと知った国民は様々な感想を抱いた。


 ただただ安心した者。

 魔法師の活躍に心躍った者。

 ランチェスター学園の生徒の身を案じる者。

 拘束された者たちの処遇を気にする者。

 反魔法思想を一層強めた者。

 この他にも人それぞれ様々な感想を抱いた。


 地下牢に捕らえられている者たちの処遇はまだ決まっていない。

 全ての団員を一律に刑に処すわけにはいかないからだ。まずは各人が犯してきた罪や思想を洗いざらい精査しなくてはならない。その後、各々に適した刑を処すことになる。――最も重い刑になるのはヴォイチェフで間違いないだろうが。


 全ての刑が確定するまで紙面を賑やかす日々は終わらないだろう。


 壁外には魔物が闊歩かっぽしている。

 魔法師、非魔法師問わず、せめて壁内でくらいは平穏でみんな安心して暮らせる日常になることを願う者が大半だ。


 この事件を皮切りに、ウェスペルシュタイン国は大きな変革の時を迎え、激動の時代が幕を開けることになるのであった。


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