◇ ◇ ◇
完全に日が沈んだ頃合いに、フィルランツェには蠢く複数の人影があった。
場所はランチェスター学園の西門前だ。西門前にある建物の陰に隠れるように待機している。
「――合図を送れ」
一団を率いていると思われる男が小声で指示を出す。
指示を受けた魔法師の男は、西門の上空目掛けて魔法を行使した。
すると、一定の感覚で小さな明かりが三度輝く。
男が使った魔法は――無属性の第一位階魔法『
合図を送った数秒後、ランチェスター学園の西門が開かれていく。
「準備は良いな?」
リーダーの男の言葉に一同は頷く。
そして完全に門が開かれると、リーダーが号令を掛ける。
「よし。行くぞ! ついて来い!」
リーダーを先頭に、一団はランチェスター学園の西門から続々と侵入していく。
「――待てっ!」
その時、侵入者に向かって静止を促す言葉を投げ掛けながら、横合いから全力で駆けてくる二つの人影があった。
「先輩! 当たりです!!」
「そのようだな!」
近づいてきた二人は、ランチェスター学園の制服を身に纏っている。
「――なっ! 先輩、西門が開いています!」
「何!?」
日が沈んで視界が悪くなっており、目視可能な距離に近づくまで生徒二人は気がつかなかったが、西門が開かれているのを確認して驚愕する。
「――足止めしろ!!」
侵入者を率いるリーダーの指示を受けて、生徒二人を足止めする為に複数の人影が立ち塞がった。目視可能な範囲で十五人程度だ。
「お前は委員長に連絡しろ! 俺が前に出る!!」
「了解です!」
三年生の生徒がバディを組む二年生に指示を出す。
目を凝らすと、生徒二人は風紀委員の証である腕章を身に付けていた。
風紀委員として町に出て見回りをしていたら、たまたま明滅する明かりを見掛けたので様子を見に来きたのである。
そしたらランチェスター学園に向かう怪しい一団を発見した、というわけだ。
「
先輩が魔法を行使する。
日が沈み暗くなったことで判別しにくいが、足止めに出た侵入者たちの足元が砂場に代わった。意思を持ったように動く砂の触手が連中の足を絡め取っていく。
――『
術者が魔法を解かない限り、その場に残り続ける持続性を備えている。――持続させる分魔力を消費し続けるが。
足止め要員の侵入者は『
「くそっ!」
砂地獄から逃れようと必死に藻掻く。
『――委員長!!』
その隙に後輩は委員長に