◇ ◇ ◇
時同じくして、フィルランツェの中で特に
その中の二人は男性の大人だとわかる。残りの三人はランチェスター学園の制服を着ている。男子生徒二人に女子生徒一人だ。
「――わかりました。当日は合図があり次第行動に移ります」
「頼んだぞ」
「はい。同志たちにも伝えておきます」
何やら声を潜めて話をしていたようだが、学生の中の一人が代表して了承の意を伝えている。
「成功すればお前たちの立場は今より良くなるはずだ」
大人の一人が学生たちを言い含めるように、落ち着いた声音で言い聞かせている。
「そうですね。少しでもそうなれば幸いです」
頷き合っている学生三人の様子を見ると、覚悟を固めているような雰囲気が感じ取れる。
「また近況を伝えにくる。お前たちも中を探っておいてくれ」
「わかりました。できることをやっておきます」
どうやら情報共有の為にまた顔を合わせるつもりのようだ。
「これでこの国も少しは変わるはずだ。我々の行いはこの国を正しいあり方に変える。共に頑張ろう」
目的に酔っているかのように自分たちの行いを正しいものだと信じて疑わない一同の姿は、周囲に恐怖心を与えることだろう。
「ヴァルタンの名の下に」
大人の一人が呟いて締め括ると、他の面々も同じ言葉を復唱した。