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第29話 七賢人

 ◇ ◇ ◇


 一月十八日――壁内某所の建物内でお気に入りの男たちを侍らせ、奉仕させている女がいた。

 その女がいる部屋は華美な装飾が施されている。相当な金額を投資しているのが一目で判断できるほどだ。


(彼は上手くやっているかしら)


 彼女はソファに腰掛けて優雅に寛ぎながら思考に耽っていた。


 彼女の仕事は以外と多い。

 資金源、団員、拠点、武器や資材の確保や、セミナー、政財界との交誼など様々な仕事をこなしている。


(次はもう少し大胆なことをさせてみようかしら。その方が面白そうよね)


 ロングのスリットスカートを穿いて太股まで大胆に露出し、足を組んで上機嫌に思考を巡らせる。


「紅茶を淹れてちょうだい」

「畏まりました。お嬢様」


 側仕えの男性の一人に指示を出す。

 男性は慣れた手つきで紅茶を用意する。


「紅茶でございます。お嬢様」


 彼女が思考に耽る中、男性が新しい紅茶を丁寧な所作でテーブルに置く。


「ありがとう」 


 男性に礼を言い、カップを手に取り口をつける。


 女が一息吐いたところで念話テレパシーが飛んできた。


『――姫。今よろしいでしょうか?』

『あら? フランコかしら?』

『はい。フランコです』

『大丈夫よ』

『ありがとうございます』


 突然の念話テレパシーだったが、表情を変えずに慌てることなく応答する。


『新たな計画を実行予定なので報告の為、念話テレパシーを飛ばしました。姫の望みに添えているかと存じます』

『新たな計画?』

『はい。内容は――』


 フランコは計画の詳細を女に説明する。

 説明を聞く女は愉快そうにしているが、真剣さも垣間見える表情だ。


『―――以上になります』

『それは面白そうね。にも一泡吹かせられるかもしれないわ』


 数秒間考え込むと考えが纏まったのか、組んでいた足を組み替えるとフランコに指示を出す。


『その計画を引き続き遂行しなさい』

『畏まりました』

『でも、もし危険を感じたらあなただけでも逃げなさい。最悪、他の者たちは見捨てても構わないわ。私にはあなたが必要よ』

『望外の喜びです。姫を悲しませるようなことは我が命に誓って致しません』

『ふふ。大袈裟ね』


 至極真面目な口調で大仰な言い回しをするフランコに、女は微笑みを浮かべる。

 冷酷な単語が混ざっているとは思えないようなやり取りだ。


『次帰ってきた時はあなた一人を目一杯愛してあげるわ』

『ありがたき幸せ』


 一通りやり取りを済ませて念話テレパシーを切ると、女は私室の奥に設けられた寝室に側仕えの男たちを引き連れて行く。歩きながら衣服を脱いで床に置き去りにする。


 そして女は側仕えの男たちと夜のお楽しみに励むのであった。


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