転生したアヤメは『
グリアが亜矢を見付けた直後に、亜矢は交通事故で命を落とす。
……それは過酷にも、避けられない亜矢の運命であった。
しかし、グリアもまた『禁忌の儀式』を行い、一度死んだ亜矢の命を蘇らせた。
亜矢は、マンションで一人暮らしをしていた。
ある日、通学カバンの中に見知らぬ『黒い本』が紛れ込んでいるのを見付けた。
それは、魔界と人間界を繋げる本。
その本を開いた事により、コランは亜矢の元へと召喚された。
いや、コランが亜矢に引き寄せられたのだ。
自分の母親……アヤメの生まれ変わりである、亜矢の元へと。
「な、なに!?何なのあなた!?」
「お前、名前は?」
「あ、亜矢………」
「アヤ、よろしくな!」
「よろしく……じゃなくて!!あなたは一体何者なの!?何で本の中から子供が…!?」
「子供じゃない、オレの名前は『コラン』だ!」
そして、それはオランを亜矢の元へと導く事になる。
コランが繋げたもの……それは、家族の絆であった。
オランは、亜矢の通う高校の教師として、亜矢との接触を試みる。
校門の前で、初めて亜矢の姿を目にした時、それは衝撃となった。
白い肌、栗色の髪と瞳、その唇も……
全てが、アヤメそのものだったのだ。
ただ1つ、違うのが……
「待ちな、亜矢」
「あなたの目的は何?今は時間がないの。急いでいるのよ」
亜矢を呼び止めたオランに返されたのは、強気で反抗的な瞳だった。
亜矢の性格は、アヤメとは正反対であった。
「オレ様の名はオラン。魔界一の悪魔だぜ」
「悪魔!?」
亜矢に前世の記憶はない。
本当にアヤメの生まれ変わりなのか、確かめる術はない。
それでも…オランは、自然と亜矢に惹かれた。それが何よりの証拠だろう。
オランは、アヤメ以外の女性を愛せないのだから。
アヤメに魂を調教されていたのは、オランの方だったのかもしれない。
亜矢の芯の強さ、他人を優先する優しさは、アヤメの魂の本質と同じ。
だから今は……この亜矢という少女を愛すると決めた。
この反抗的な少女を『調教』して、再び虜にしてやるまでだ。
前世の記憶を取り戻させる鍵は、ここにある。
魂の奥底に眠る前世の記憶は、『口付け』という最後の鍵によって解放される。
その時こそが、本当の意味での『魂の輪廻』の儀式の完成となる。
「オレ様と契約しな、亜矢」
魔王と少女は、何度でも巡り会う。
命に永遠はない。
だが、魂は永遠に繋がれていく。
幸せな愛の調教は、永遠の輪廻と共に繰り返される。
『私を見付けてくれて、ありがとう。オラン、愛してる……』
ここから再び、魔王と少女の物語は始まる。
—完—