目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
第26話『辿り着く輪廻』

転生したアヤメは『春野はるの亜矢あや』という名前で、16歳の女子高生になっていた。

グリアが亜矢を見付けた直後に、亜矢は交通事故で命を落とす。

……それは過酷にも、避けられない亜矢の運命であった。

しかし、グリアもまた『禁忌の儀式』を行い、一度死んだ亜矢の命を蘇らせた。





亜矢は、マンションで一人暮らしをしていた。

ある日、通学カバンの中に見知らぬ『黒い本』が紛れ込んでいるのを見付けた。

それは、魔界と人間界を繋げる本。

その本を開いた事により、コランは亜矢の元へと召喚された。

いや、コランが亜矢に引き寄せられたのだ。

自分の母親……アヤメの生まれ変わりである、亜矢の元へと。


「な、なに!?何なのあなた!?」

「お前、名前は?」

「あ、亜矢………」

「アヤ、よろしくな!」


「よろしく……じゃなくて!!あなたは一体何者なの!?何で本の中から子供が…!?」


「子供じゃない、オレの名前は『コラン』だ!」


そして、それはオランを亜矢の元へと導く事になる。


コランが繋げたもの……それは、家族の絆であった。





オランは、亜矢の通う高校の教師として、亜矢との接触を試みる。

校門の前で、初めて亜矢の姿を目にした時、それは衝撃となった。

白い肌、栗色の髪と瞳、その唇も……

全てが、アヤメそのものだったのだ。

ただ1つ、違うのが……


「待ちな、亜矢」


「あなたの目的は何?今は時間がないの。急いでいるのよ」


亜矢を呼び止めたオランに返されたのは、強気で反抗的な瞳だった。

亜矢の性格は、アヤメとは正反対であった。


「オレ様の名はオラン。魔界一の悪魔だぜ」

「悪魔!?」


亜矢に前世の記憶はない。

本当にアヤメの生まれ変わりなのか、確かめる術はない。

それでも…オランは、自然と亜矢に惹かれた。それが何よりの証拠だろう。

オランは、アヤメ以外の女性を愛せないのだから。

アヤメに魂を調教されていたのは、オランの方だったのかもしれない。

亜矢の芯の強さ、他人を優先する優しさは、アヤメの魂の本質と同じ。


だから今は……この亜矢という少女を愛すると決めた。


この反抗的な少女を『調教』して、再び虜にしてやるまでだ。


前世の記憶を取り戻させる鍵は、ここにある。

魂の奥底に眠る前世の記憶は、『口付け』という最後の鍵によって解放される。

その時こそが、本当の意味での『魂の輪廻』の儀式の完成となる。




「オレ様と契約しな、亜矢」







魔王と少女は、何度でも巡り会う。

命に永遠はない。

だが、魂は永遠に繋がれていく。

幸せな愛の調教は、永遠の輪廻と共に繰り返される。







『私を見付けてくれて、ありがとう。オラン、愛してる……』







ここから再び、魔王と少女の物語は始まる。



—完—

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?