「これからどうする? 何処か行きたい場所とかあるか?」
と既に仲良さそうに話している柚希と沙月に問いかける。
すると沙月が
「ハイ! 文化祭の出し物の材料買いたいんですけどいいですか?」
と何故か挙手しながら言う。
それに続いて柚希が
「ハイ! ショッピングモール行きたいです」
と柚希も挙手しながら言う。
すると沙月がそれに食いつく。
「私見たい服あったんだ~。あの雑誌に載ってたヤツ見た?」
「見た見た! カワイイよね~」
と既にショッピングモールに行く気満々だ。
しかし友華さんの意見も聞かないとな。
「友華さんは何処か行きたい所ありますか?」
「わ、私もショッピングモールで大丈夫です」
という訳で、皆でショッピングモールに行く事になった。
ショッピングモールに着くなり、柚希と沙月が二人して服が見たいから別行動しようと提案してきた。
俺は別に構わなかったが、何のために四人で来たのか分からない。
「それじゃあ、こっちの買い物が済みましたら連絡しますね」
と沙月が言い、二人並んで消えて行った。
「えっと、どうしましょうか?」
「わ、私は佐藤君に任せます」
ん~、何処に行くのがベストなのだろう。
それにこの人混みだと友華さんがはぐれそうだ。
そこまで考えて、今まで忘れていた事に気づく。
友華さんと連絡先交換していなかった。
「あの、迷惑じゃなければ連絡先交換しませんか? 万が一はぐれたら大変なので」
「あ、は、はい! 全然迷惑なんかじゃないです! LINEで大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。コードを見せて貰えれば読み取ります」
「わ、分かりました。少し待ってくださいね」
と慌ただしくスマホを取り出して操作している。
結論から言うと、IDを見せてうち込んで貰った。
コードを見せて貰い、読み取ろうとしたのだが、友華さんの手が震えていて読み取れなかった。
ならばと、俺のコードを出して読み取ってもらおうとしたが、またもや手が震えて読み取れなかったのだ。
連絡先交換だけでドッと疲れを感じたが、改めて友華さんに行き場所を尋ねる。
「どこ行きます? 友華さんの好きな場所でいいですよ」
「わ、私は本当にどこでも大丈夫ですので、佐藤君の行きたい所でいいですよ」
俺に遠慮しているのが手に取る様に分かる。
なので、友華さんが好きそうな場所を考える。
「でしたら、本屋に行きませんか? ラノベの新刊を買いたいので」
と提案すると、目を輝かせて
「は、はい! 私も新刊気になってました」
と、友華さんのヲタクスイッチが入った。
本屋に着き、ラノベコーナーを見ていると、友華さんがテンション高く話しかけてくる。
「佐藤君! このラノベ読みましたか? 最新刊出てますよ!」
「お! 異世界ヒロインとの修羅場な彼女か。勿論読んでますよ」
「あっ! こっちには妹プロもありますよ!」
といった感じで終始友華さんのテンションは高かった。
かく言う俺も結構テンション上がってしまった。
本屋を後にしてベンチで休んでいると、沙月から連絡があった。
1階の噴水前で待っているらしい。
友華さんにそれを伝え、向かおうとすると
「あ、あの! 少しいいですか?」
と呼び止められた。
「どうかしましたか?」
「えっと、いきなりこんな事言い出すなんておかしいと思われるかもしれないんですけど……」
え? 何この緊張感! もしかして告白か?
「佐藤君の事を沙月みたいに呼んでもいいですか?」
「え?」
「や、やっぱりダメですよね! 図々しくてすみません!」
「いや、沙月みたいにって事は名前で呼ぶって事ですか?」
と聞くと、耳まで真っ赤にして頷いた。
「そんな事ですか、全然かまいませんよ。寧ろ呼んで欲しいです」
「あ、ありがとうございます!」
そんなやり取りをしていた所為か、時間がそこそこ経っていたので柚希から早くして! と連絡がきた。
待ち合わせ場所の噴水前に着くと、若干イライラした様子の二人が居た。
「お兄ちゃん遅い!」
「女の子を待たせるとかやりますね~」
と二人から口々に責められる。
「まぁお兄ちゃんだから今回は見逃すけど、次回からは気を付けてね!」
「分かったよ。それより昼は何処で食べる?」
とさりげなく話題を変える。
「美味しそうなパンケーキ屋があったのでそこに行きましょう」
と沙月が提案する。
「お昼にパンケーキ? そんなんじゃ食べた気にならないだろ?」
「はぁ? お兄ちゃん本気でそれ言ってるの?」
「友也さん、流石にそれはありえないです」
「なんでだよ、パンケーキはおやつだろ?」
「「はぁ」」
二人同時に溜息を吐かれた!
俺何か間違った事言ったのか?
「あのねお兄ちゃん、女の子は食事してる時でも『可愛い』を意識するの!」
「なので、ガッツリ食べる様な物はNGです。」
「その点パンケーキなら見た目から可愛いからね」
「美味しいってリアクションも取りやすいんですよ!」
と柚希と沙月が息ぴったりで交互に説明する。
なるほど、デートの時は注意しないとだな。
「という訳でパンケーキ屋さんに行きましょう」
「友華さんもそれでいいですよね?」
「え? あ、はい。大丈夫です」
と柚希はさりげなく友華さんをサポートして歩き出した。
柚希を見ていると、リア充にはまだ遠いなと実感させられた。