「ルノ」
オレは彼の側に近付いて、その手を取る。
オレよりも大きな手は、見た目のたおやかさを裏切って固くて少しザラザラしていた。
「オレの、ルノ」
オレのダメダメアルファに。
オレはお前と一緒にいることを自分で決めたのだと、伝えたい。
「愛してる」
大きな手を口元に引き寄せて、その指先にキスを落とす。
少しザラつく男らしい指先の持ち主は、驚きに固まった。
これでもか、というほど大きく見開いた青い目が愛おしい。
「ねぇ、ルノ」
オレはポケットから、王妃さまたちからのプレゼントを取り出した。
ルノの傍らに片膝ついて跪き、それを掲げ彼に問う。
「オレと一緒に生きてくれませんか?」
王妃さまたちからのプレゼントは、太くてゴツイ、ペアリング。
王家の紋章があしらわれたソレには、シェリング侯爵家とランバート伯爵家の紋章も入っていた。
ゴツすぎて女性の指には相応しくない指輪だが、男同士のオレたちであれば似合いのペアリング。
一対の指輪は、笑ってしまうほど太くてゴツくて必要以上に立派なモノで。
普段使いには仰々しすぎる。
「アナタを愛しながら生きることを、オレに許してくれますか?」
それでもきっと、この先の人生は。
この指輪が相応しいほど、特別になる。
「ァッ……」
オメガから
喉に絡まった言葉を吐き出せないようだつた。
「心から寄り添い、生きていくことをオレに許してくれますか?」
しっかりしろよ、侯爵さま。
伯爵令息ごときに振り回されてるんじゃねぇ~よ。
「……はぃ……はい!」
「よかった」
一生かけてぶん回してやるよ。
覚悟しとけ!