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第33話

「愛している……愛してる……愛してる……」

 何度も言ったら価値なくなるわっ。

 そう思うのに、ルノはオレの上でうわ言みたいに繰り返している。

「んぁっ……オレも……」

 うわ言みたいに返せば、オレのなかにあるルノがビクンと跳ねる。

 元気だなっ! アルファって!

 お兄さまのくれたピンク色したローションは、オレの後ろをほぐすのに十分な役割を果たしてくれた。

 ルノのルノがオレの秘部にファーストコンタクトを決めるまでに、嬌声をどれだけあげて欲を何度吐き出したか知れない。

 どうにか秘部に潜り込んだルノのルノが欲を吐き出すまで何度も何度も穿たれた。

 ヒートとラットの組み合わせなんて何度したって終わりゃしねぇ。

 仰向けのカエルみたいな姿勢のオレに圧し掛かり腰を振るルノ。

 ルノの体に手を伸ばして縋りつくオレ。

 終わってんなっ! オレたちっ!

「ぁあっ!」

「ミカエルっ……ミカエルっ……」

 何度目か分からない吐精の後に、何度目か分からないオレの名前を呼ぶ声を聞いた。

 一生分、名前を呼ばれたんじゃないか? と、思うほどルノはオレの名を呼んだ。 

 オレの名前がミカエルで、ルノがオレを愛していて、オレの体はそれに応える。

 何度も、何度も、体に刻み込まれるように教えられる。

 オレの中で暴れ回る熱が、欲なんだって事を教え込まれる。

 ヨダレ垂らして、涙流して、吐き出した精液やらなにやらにまみれながら。

「愛してる……ミカエル……ぁあっ」

「ぃっ……ぁいあっ……はっ……」

 欲の繋がる先には愛があると。

 オレに刻み付けるようにして教えてくるんだ、ルノが。

 こぇえな、アルファって。

「ぁあっ……ぁッ……ミ……」

「っ……ぃいっ……はっ……」

 ルノの体が大きく跳ねてオレの体が痙攣するように震える。 

 オレの奥に再び熱い液体が放たれた。

 なんだか終わりそうにないけど、そろそろ何か食べないと死ぬと思う――――。

† ♡ *: ◇ :* ♡ * ☆ * ♡ * † * ♡ * ☆ * ♡ *: ◇ :* ♡ †

 意識を手放すようにして眠ったオレが目覚めると、日はすっかり高くなっていた。

 夕食も食べずに盛っていたのか、オレたちは。なんて小っ恥ずかしいことを。

 オレはうっそり笑ってベッドに突っ伏した。

 ヒート明けの日々をどう生きたらいいのか分からねぇ。

 オレたちがヤッちゃったことを屋敷中のヤツが知ってるんだぜ。

 すっげぇ恥ずかしい。

「起きたのか?」

 ひとりジタバタするオレの頭上からルノの声が降ってきた。

「んっ」

 答えたオレの声はガラガラだ。

「水飲む?」

「うん」

 上半身をベッドの上に起こし、ルノから水の入ったコップを受け取る。

 ルノはガウンを羽織っていて、オレの肩にもガウンを羽織らせてくれた。

 そういや素っ裸だったな、と、思いつつも、怠くてキチンと着る気にはなれない。

「自分で飲める?」

「んっ」

 水くらい自分で飲めるっつーの。

 飲みながら喉がカラカラになってたことを知る。

 黙って空いたコップを差し出せば、ルノが水を注いでくれた。

 それを飲み干しながら、ルノが部屋に持ち込んだワゴンの上を眺める。

 パンやらベーコンやら目玉焼きやらが乗ったワゴンの上には、お湯と大量のタオルも積まれていた。

 用途は考えたくない。

 ルノが甘えるような声で言う。

「ねぇ」

「なに?」

「首は噛ませてくれないの?」

 ヒートの最中、アレをしながら首を噛むってことは、番になるということだ。

 オレの答えは決まってる。

「ヤダ」

 ルノの眉毛がへにょりと下がって面白い間抜けな顔になったけど目的はそれじゃない。

 今は番いたくないんだよ、オレは。

「ヤらせてはやる。それで我慢しろ」

 ちょっとだけルノは複雑な表情を浮かべたけど。

 食事を摂った後に押し倒された。

 ヤってヤってヤりまくりの時間は続き。

 結局、オレのヒートが収まるまでには、五日ほどを要したのだった。

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