じゃじゃじゃ~ん♪
お店の制服に着替えて、頭と腰に猫耳猫尻尾のアタッチメントを取り付けて完成~! 姿見の前でくるっと一回転すると、ふんわり紺のスカートが広がってその下から覗くふわもこ尻尾がぷるんと揺れてたまらなく可愛いですぅ。
そして、セミロングの黒髪からひょっこり、ふわピンとした猫耳!
きゃはーっ、これですよ! これこれ!
時折、ぴくぴく動いてまたきゃわいーの!
「まなみちゃーん、ど~お~?」
「うきゃっ!?」
あまねさんがひょっこり。面白そうにこっちを見てる~!
「やだ~」
「うふふ。何、恥かしがってんのよ? ほらほら、見られてこその華なんだから~」
「は、はわわわわ」
半ば引っ張り出される様に、そそくさと更衣室を出ると……
「わ~、可愛い!!」
「似合ってるぅ~♪」
「ふ……私の目に狂いは無かったわね」
わっと先輩方に囲まれてもみくちゃにされちゃう。
は、恥い~!
「じゃあ、次は呼び込み行ってみよっか」
「あ、はい~!?」
え、えええ!? あ、あまねさん、もう!? もうですか~!? こ、心の準備が~!
「度胸付けにゃん」
「そ、そんにゃあ~」
にっこにこのみゃおさんに腕を引っ張られ、後ろからあまねさんがぐいぐい押すんで、あっという間に連れ出されちゃって、さぶっ!
昼の日中だから、お日様がほんわかあったかなんだけど、やっぱっさっぶ!
「うえ~ん」
「ほらほら。笑顔笑顔」
「笑顔にゃん」
右と左からぎゅぎゅっと押され、目を白黒しちゃう。あ、でもあったかいかも。
「お願いしま~す! すぐそこなんですう~!」
「お兄さん、来てね~! 待ってるにゃ~ん!」
そう言いながら、持ってきたチラシを渡して行くんです。こ、これは負けてられませんね!
「お、お願いしまーす……」
ちょっとビビりながら差し出すんだけど、受け取って貰えないよ~。ショック! ちらっとも見て貰えなかった~。
「めげないめげない」
「どんどんいくにゃん」
「は、はい! お、お願いしまーす」
かつーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん……
「あら? 何か獣臭いと思ったら、尻尾娘たちじゃない」
不意に嫌味ったらしい声が。
あまねさんもみゃおさんも、パッと身構えるんだけど、私はぽかーん。
そこには、白銀のいかにも戦乙女って感じの人達が三人、立ってました。手には長柄の槍? なんだか北欧系って感じで、全然アジア人じゃない小顔でスラっとした、超美形軍団! 一応下調べで注目してたんだけど、とてもレベルが高くて無理~っと思ってたとこだわ! なんか、周りにふわふわひらひらしたのが浮いているし!
「出たな、ヴァルキュリアの銀狐!」
「ここは日本! 田舎に帰るにゃん!」
「あら? だったら貴方たちもお帰りになったらいかが? 帰る故郷があるならね」
「?」
「ぐぬぬ……」
ん? ん? 一体、この人、みゃおさんと何の話をしてるのかしら???
その三人の内、真ん中に立つ綺麗な人が、余裕のある笑みでこう続けたの。
「まあ、お好きになさいな。ここは秋葉原。世界中からありとあらゆる人と物、そして不可思議が流れ着く場所だわ。これ迄も、これからも。仲良くしましょう」
「どの口が言うにゃん!」
「ふふふふ……じゃあね」
「んべー!」
みゃおさんがあっかんべーして、彼女たちはくるりヒールを返してあっちの十字路へ行っちゃった。うわ~、歩き方も何か別格って感じ~。
何だか良く判んないんだけど、秋葉原って何か色々あるんですね。これ、聞いちゃって良いのかしら?
おっかなびっくりとみゃおさんの横顔を見ると、くるっと向き直って満面の笑顔。
「ん? どうしたにゃん?」
「えと……」
「にゃはははは、ヤな事はパッと忘れて、配り終わっちゃうにゃ」
う~ん……何なんだろう?