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11話 ご褒美がもらえるらしいよ!

バーゼフの背中へと照準を合わせ、俺はひとつ息を吸い込む。



「いくぞ……! これでトドメだ、バーゼフッ!」



俺はスキル『溜め突き』の準備をする。さあ、イメージだ。この世界はゲームの世界と似ているが、だけど違う点がいくつもある。それなら……【スキルの応用】だって効くはずだ。そして今まさに玉座の間から抜け出ようとするバーゼフめがけて俺は大きく槍を振りかぶった。



「溜めて溜めて溜めたものを……解き放つっ! 『とうてき』!」



ビュオンッ! まるでジェット機が通り抜ける時のような特大の風切り音と共に槍が一直線に飛んでいく。



「ナッ⁉」



バーゼフには、振り返るヒマすらなかった。

ズバァンッ!



「グ、ガァッ……!」



恐らくできるだろうとやってみたスキル『溜め突き』と『とうてき』を組み合わせた技の威力は絶大だった。槍はバーゼフの胸へと大穴を空け、そしてこの玉座の間の端の壁にも大穴を空け、その先の王城の廊下の壁へと深く突き刺さっていた。



「ナン、ダト……!」



バーゼフは膝を着き、そして倒れ込んだ。それきり、ピクリとも動かなくなった。



──『レベルアップ。Lv24→26。『とうてき』のスキルレベル上昇。LvMAX。『とうてき』から『バリスタ』にスキルが変化。『バリスタ』→大きな槍を一直線に投げて相手を貫く強力な攻撃をする。この攻撃には破壊効果が付随ふずいする』




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グスタフ Lv26 ←【レベルUP】

次のレベルまでの必要経験値 237

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~スキル~

『バリスタ』 Lv1 ←【レベルUP】

→大きな槍を一直線に投げて相手を貫く強力な攻撃をする。この攻撃には破壊効果が付随ふずいする

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レベルアップの知らせが脳内に流れた……ということはバーゼフは死んだらしい。



「みなさん、終わりました。バーゼフは死んだようです」


「おおっ、よくぞやってくれた!」


「さすが、王城の英雄殿ですな」



国王もモーガンさんも手放しで俺を称えてくれる。



「グスタフ様っ!」



振り向けば、レイア姫が駆け寄って来ていた。いや、そんな風に走ったら……。



「あっ」



やっぱりだ、戦闘の際にできた床の傷に姫は足を引っかけてしまう。



「っと、危ないですよ、姫」


「グ、グスタフ様……すみません」



地面に転がるすんでのところで姫の体を受け止めることができた。危ない危ない。



「立てますか?」


「は、はい……」



よいしょ、と。姫の体を起こす。



……うん? 足でもおぼつかないのだろうか、姫が腕にしがみついて離れない。



大丈夫かな、転んだ時に足を痛めてなければいいけど。



「私ったら、いつもいつも助けていただくばかりで申し訳ありません」


「いえいえ、姫たちを助けるのが俺たち衛兵の仕事なんですから」


「グスタフ様……そう仰っていただけると救われますわ」



まあ職務上というのはあくまで建前で、実際のところは俺が姫を想ってしまっての行動がほとんどなわけで、つまり完全に私欲なんですけどね。


しかし衛兵の仕事なんて言ったけど、勇者アークの強引なやり口から姫を守ったり、姫を狙う魔王軍を撃退するみたいな職務って本来は完全に衛兵の枠を越えた行動だよな。普通は王城内の見回りとか主要な門を守ったりとかがメインなはずで……。



……あっ、そうだ、ひらめいたぞ。



「国王陛下へいか、褒美の件でひとつよろしいでしょうか」


「うむ、許す。申すがよい」


「ありがとうございます」



バーゼフという脅威が倒されて安堵あんどの笑みを浮かべている陛下はとても鷹揚おうように頷いてくれた。



……これなら言い出しやすいな。何とも不遜ふそんな願いにはなってしまうだろうけど……それでも俺にはひとつだけ、英雄だとかなんとかまつり上げられている今この一時的だけではなく、これからもずっとレイア姫の側に居られるすべがあるのだ。



「陛下、俺を──レイア姫直属の護衛の職務に就けてはもらえませんか?」



その内容に、国王もモーガンさんも、そして姫も、みんな一様に目を丸くした。

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