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17. お家へ帰ろう


 午前中のうちに宿へと戻ってくる。

 ドドンゴと一緒に商会を回って、品物を売ったり買ったりしていった。

 どんなものが高いか、またどんなものが安いかとか分かりやすい。


 俺たちはとある商会で金貨を払って蜂蜜を購入した。

 村でも採取できるようになったけど、量から言えば、もっと欲しい。

 蜂蜜をいいジャムにすればそれだけ値段が高くなり差額が儲かるのだ。

 ドドンゴが購入して持っている。彼が投資ということにして、俺たちがされる側になる。


 種を多く扱っている商会に行ってきた。

 色々な植物があったので、あれこれと買い集めた。少量ずつならそれほど高くない。


 残りの竹のコップ五十も一度に売ることができた。

 もっとあるならもっと欲しいと言われてしまった。




 その次の日にマーリングを出発してから、六日目、現在位置はあともうちょっとで集落に着くところまで来ている。

 俺は色々な植物、動物の名前を憶えてきた。

 ついでに色々な制度、あるもの、そして存在していないだろうものなどにある程度の目星がつくようになった。


 商品や露店の販売で使う葉っぱのお皿も多いが、竹のコップはなぜかほとんど流通していなかった。しかし需要はそれなりにある。

 俺個人の量では作れば作っただけ売りさばけるようだ。


「やっと村まで戻ってきた」

「あははは、まぁ色々ありましたね」

「俺はもう村の外は当分いいや」

「そりゃ、ごくろうさまです」

「お、おう」


 村が見えてくる。

 この日に帰ってくるとは言っていないので出迎えはなかったが、声をかけるとすぐに寄ってきた。


「ブラン、わああああ」

「ブラン、にゃあああ」


 ドロシーとリズだ。俺を見つけるなり走ってきて飛びついてくる。

 俺は同じ体格ぐらいなので、吹っ飛ばされそうになるのをなんとかこらえて二人を抱きとめた。

 こんなに歓迎されるとは思ってなかった。


「うぇええええん。ブラン遅いよおおおお」

「にゃおおおおおんんん」


 体も顔も押し付けてきて、ぐりぐりされた。


 往復で十三日かな、うん、結構時間がかかった。

 これだけかかるなら、新鮮な果物がだめになることもあるってのも納得だった。



 今まで農業スローライフすると言いつつ、どちらかというと「野草を食う」みたいな感じだったので、少し農業をしよう。


 持ってきた各種種のうち今蒔けるもの、あと芋とか植えても大丈夫な奴とかを植える。

 ゴボウは七本を植えてみた。残りは試食用にしよう。


 最近は鶏糞と山から取ってきた葉っぱの腐葉土などがあるので、肥料にする。

 なんでも再利用だ。

 小さい体でくわを振るうのは結構疲れる。しかし俺には魔法による身体強化が少しだけできる、ああ、少しだけだけどね。

 俺たち子供三人で、まだ空いている土地に新しい畑を作っていった。

 そういっても実験農場みたいな場所なので、そんなに大量ではない。

 それから果実園を作った。こちらは広めにとってある。樹木栽培は毎年種蒔きしたり雑草取りをしたり色々あんまりしなくていいので、楽だと勝手に思っていて、楽してお金を稼ごう大作戦なのだ。


 これで農業スキルで種創造とか栽培促進とかあればいいんだけど、そんなものは無かった。レアスキルはアイテムボックスぐらいしか使えない俺だった。


 ちょっと時期が過ぎてしまったけど、まだ大丈夫だと思う。夏野菜を植えよう。トマト、キュウリ、ナス、カボチャ、そしてトウモロコシだ。

 収穫時期も後ろにずれ込むかもしれないけど、この辺は暖かい地方だから十分育つと思う。


「えいしょ」

「こらしょ」


 三人で腰をかがめて、直接種を植えていく。日本ならたぶんポットで苗の間は育てて、間引きして植え替えてとかするんだろうけど、ポットも無いし作業も面倒なので、畑に直接種を蒔いていった。

 あとは芽が出るまでお楽しみ。


 こういうとき成長促進魔法が、と再び思うけど、自然に任せるほかない。


 水をく。撒くといっても畑の周りには水路が伸びていて、普段は水が入ってこないように木の板で塞いである。

 それを外してうねの間に水が通っていけばおしまい。


 ふぅ。久しぶりに全力で働いて疲れた。


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