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15. ペークヒェ町


 三日間馬車で移動した先は、ペークヒェ町だった。日本人にはちょっと変な名前だな発音しにくいなと思いつつ、そんなもんかとも思う。


 よくある定番の城壁のようなものは無いようだ。

 町の周りは全部畑地帯。町の部分は水堀と土塁どるいで囲われていて、一応防御力はそこそこありそうだ。

 土塁ってのは土の壁というか小山みたいに盛り土してあるだけのやつのこと。


 入口の場所だけには石造りの城門があり跳ね橋が架かっていて、警備の兵士が槍を持って立っていた。

 入市税のようなものもなく、すんなり中に入ることができた。


 この町の税金制度はどうなってるんだろう。

 聞いてみると領内は通行自由らしい。他領までいくと関税のようなものがあるようだった。

 ただそれも基本は丼勘定で馬車一台いくら、人何人でいくらだそうだ。

 個々の商品だと面倒だし覚えられないし計算もできないと言われ、さらにアイテムボックスや魔法袋があったら誤魔化せると言われれば確かにと納得した。

 アイテムボックス、初めて聞いた。俺以外、実在していたか、と感心した。


 門の中は目抜き通りがあり、露店が出ている。

 少し進むと広場がありそこも露店で埋まっている。


 朝市は終わっているようだけど、普通に市場は開いていた。ここでは一日中ものの売り買いがされているようだ。


 今日はここに一泊していく。

 まずは商会で商品の売り買いを見学した。

 特筆することはないけど、何となく勉強になった気がする。

 はははは。難しいことはよく分かんね。


 まだ時間があったので外の露店を見て回る。


「らっしゃいらっしゃい、今日はゴボウが安いよ」


 ふむ。ゴボウかと、置いてある商品を見てマールラ語を覚えていく。

 ゴボウはだめだ。

 栽培するには地面を深くまで耕す必要がある。うちの畑はそこまで深く耕していなくて、下のほうは石ばっかりだと思う。

 そこまでして育てるのは大変なのでパスしようか。

 いや、まぁあるならあるで料理のレパートリーが増えるし、短いのになるけど試しに栽培してもいいかもしれないと思いなおす。

 ゴボウを十本ぐらい買って、背中のリュックにいれる風に装ってアイテムボックスにしまった。


 ところで、ゴボウってどうやって増えるの?

 ゴボウ買ったけど、切って千切って植えれば増えるのかね。


 現代の地球では、多くの品種が1F種、じゃないかな、えっとF1種という雑種でできている。

 品種なのでもちろん開発者がいて、そして農家などは種を購入しているんだよね。

 それで交雑種の品種は、種を付けても同じ品質のものが来年は育たないので、普通は来年も種を購入する。

 こうして品種を作る人たちにもお金が回って、うまいこといってるんだけども。


 そうなると農家では品種によっては来年の種蒔き用に種を取らなかったりするので、そういうノウハウというか話題もあんまりなくなってきて、よく分からなくなっちゃうわけですよ。


 でゴボウの種はよく分からん。まぁしかたがない買ったゴボウを植えてみよう。

 芽が出て花が咲いて、種ができたら儲け者だ。

 この辺は異世界では、F1種ではないはずなので、種ができるなら大丈夫だろう。

 他の種類も同様。一度手に入れたら毎年作れるとうれしい。貧乏性なので。


 そもそもの話、露店の人に、ゴボウを育てたいから種は無いか聞けばいいのかもしれない。

 あんまりいい顔はしないかもしれないけど、種を売るのだって商売だろう、たぶん。

 今度なんか欲しいときには聞いてみよう。



 色々なものを売っている。基本的には買取露店はほとんど無いみたいだ。

 買取は顔なじみで元々付き合いがあるとかそういう人なのだろう。

 町だから野菜屋とかがあって、そこにみんなが売りに行けばいいと思うんだけど、そうでもないらしいな。

 店は少し離れた場所から商人が買い付けてきたものとか、そういうのが多いみたい。



 町で一泊したら活動もそこそこに、次の村へ行き、町から三日目、ついにマーリング辺境伯のいるマーリング町に到着した。


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