ヤマモモジャムを試食した。
そのために小麦でいつもの薄焼きパンを焼いた。
小麦と水と塩だけのいつものやつだ。
「おお、ジャムをパンに乗せるんだね」
「そうだよドロシー」
「
「うん。僕たちで食べてしまってもいいけど、貴族様用の商品にするつもりだから」
「じゃあ、あんまり自分たちでは食べれないんだね」
「そうだね。でもノイチゴジャムもあるし」
「なんにゃとおおお」
「ノイチゴの収穫手伝ってね。期待してる」
「任せてくださいですわ」
「任せるにゃん」
時期になったので、村の明るいところに群生しているノイチゴをみんなで収穫した。
これには大人たちも全員で参加して、どんどん取っていく。
ドロシーもリズも、自分で食べたくて頑張って取ってくれた。
ここのノイチゴは多年草というか低木なので、実を全部取ってしまっても、来年生えてこなくなるということはない。
まぁ少しだけ取らないでおくのがいいと思う。
ノイチゴジャム用にまたほかの巣箱から蜂蜜を取った。
こっちは壺で三つ分ぐらい。ちょっと多めに。
作成手順はだいたいヤマモモジャムと同じだから、あまり特筆することはない。
ノイチゴを丁寧に水洗いして、ごみを除けて、そして蜂蜜と一緒に煮ていく。
煮すぎないように、焦げないようにしつつ、ヘラでかき混ぜながら煮詰める。
煮ている間、ずっと後ろでドロシーがそわそわして、リズがよだれを垂らしてもじもじしていた。
二人ともしぐさが可愛い。やっぱり女の子はいるだけで癒しだ。
試食してみる。雑味とかも無いし、俺はやっぱりノイチゴジャムが好き。
ヤマモモジャムも悪くはないがノイチゴには敵わないと思う。
「私はどっちも好きだわ」
「わたしはヤマモモが好きにゃん」
「俺はノイチゴだな。見事に好みが分かれたね」
両方のジャムは親たちとカエラばあさんにも試食してもらって、みんな美味しいと言ってくれた。
一応でも売り物なので、しょっちゅう食べることはできないけど、少し手元にも置いておくことにする。
長期保存には、乾燥、塩漬け、砂糖漬けなどがある。蜂蜜漬けでももちろん大丈夫なはずなんだ。ただ実際に試したわけではないから、どれくらい持つかは分からない。
領主の町まで六日以上はかかるので、それなりに日持ちしてほしいなという希望的観測。
そうそう、俺の家というか集落では、まだ豆類を栽培していなかった。
今度持ってきてもらうつもりだけど、味噌、醤油欲しいよね。
ということで、おままごとと称して実験をする。
ドロシーとリズを働かせて、カラスノエンドウらしい雑草を収穫する。
この時期にはもう茶色くなっていて、完全に熟している。
なおカラスノエンドウは名前に反してソラマメの仲間なので、サヤがすぐ固くなる。
サヤエンドウみたいな見た目なのに、そこそこ固い。それに青臭い。
葉っぱなんかは、アブラムシが集まってくる前に天ぷらとかにするといいらしい。
「というわけで、ちょっと味噌っていう調味料を作りたいからさ、手伝って」
「「はーい」」
「きっとまた美味しいもの、甘いものとかだわ」
「やったにゃん!」
「残念。味噌は塩味だからしょっぱいよ。でもうまいんだ」
「美味しいんだろうね。楽しみだわ」
ということで、遊びを兼ねて集落中からカラスノエンドウの豆を集める。
中身だけあればいい。
結構大変。
いや、かなり集めるの大変。
小さいからサヤから出すコストは大きい豆と一緒なのに、面倒なこと面倒なこと。
とにかく量が欲しいからたくさん、それはもうあちこち行って集めまくった。
それを一日水につけて置く。
それができたら
ここ適当。運要素も大きいが、大丈夫だと思う。
同量か少ないくらいの塩を混ぜる。
味噌玉みたいにして壺の奥に押し付けるように空気を抜いて入れていく。
今回はカラスノエンドウで量があんまり無いので大丈夫。
そしたら、あとは一年か二年ぐらい待ったらできたらいいね。
もう知らない。味噌、できるといいな☆
「今すぐ食べれないのね。残念だわ」
ドロシーが落ち込んでいた。
次来たら、大豆なりソラマメなりサヤエンドウなり豆系統の野菜も育てるようにドドンゴに言っておこう。
空き地はまだ広いので、豆と小麦のほら、よく現代知識チートとかで出てくる輪作とかいうのやるといいと思う。
あと次来たときにはトウモロコシも欲しい。ただなんていう名前なのか分からないので注文が難しい。
黄色いとは限らないし。原種か何かは紫だったりするみたいだし。