ということで引き続き、出来たての空き家の鶏小屋でおままごとをしている。
下は地面だけど麦ワラのゴザを敷いてある。
「ご飯、美味しー、ごくごく」
「このスープ、すごく美味しいにゃ」
俺は二人がスープを美味しいといいながら飲むのがなんか、変な感じがしつつ俺も真似をする。
「ああ、美味しいなぁ」
「ちょっと、ブラン、棒読みよくない」
「演技下手にゃ」
怒られてしまった。
気を取り直して、そのまま続いた。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまですにゃ」
「ごちそうさまでした」
この世界でも、食前、食後の挨拶に相当するものはある。
「それじゃあ、お待ちかねの、寝る時間です」
「うにゃぁあああ」
ドロシーが宣言すると、リズがうれしそうに猫みたいに鳴いた。
「さ、並んで寝るわよ」
俺を二人が左右から挟む形で両手を取られて、もう一枚のワラのゴザみたいな布団の代わりを上からかけられる。
これで年齢が十六歳ぐらいだったらアレだけど、まだ十歳、わずかな柔らかさがあるだけの、ほぼぺったんこ。
両方から暖かいぬくもりが俺の両手を掴んで胸に抱いている。
そして足を絡めてくる。どこでそんな技覚えてきた、おまえらぁ~。
柔らかいおっぱいは無いが、両手に花、温かさは本物だ。
そして、右を向いたらエルフのドロシーと目が合った。一丁前に頬を赤くして、しかし余裕たっぷりにウィンクしてきた。肌が白いから顔を赤くすると目立つんだ。
耐えられなくて左を向いたら、猫耳のリズが目を見開いてじっと見てきた。
こちらも無理だったので、上を向いて天に祈る。
「チュッ」
「チュッ」
次の瞬間、両方の頬っぺたに温かくて柔らかい小さな不思議な感触があった。
キスだった。
唇が離れると、濡れた頬がわずかに冷たく感じる。
またぶちゅっっと二人とも対抗してキスしてくる。
もう俺は精神がいっぱいいっぱいだった。ただの十歳児なら「なんだよお前ら気持ち悪い」とか言って逃げればいいんだけど、俺の精神年齢は二四歳相当なので。
動けなくて、でもどこか幸せで、いつまでも彼女たちを感じていたい。
「むぅぅう」
「むぅううにゃああ」
ドロシーとリズが対抗意識をさらに燃やしてしまい、抱き着き攻撃に変更になった。
全身でくっついてくる。体が温かい。
まだまだどちらも肉があんまりついてなくて、柔らかさが足りないかもしれない。
なんというか全体的には骨っぽい。
もっといっぱい食べて、健康的になってくれ。
そのためには俺もそれなりに頑張って、お金またはご飯をもっと増やさないと。
そのまま、二人は興奮していたけど、いつの間にか本当に寝てしまった。
真ん中で挟まれて、掴まれてる俺は、動くこともできず、そのまましばらく放置された。
起こしてしまうのも、なんか気まずい。
そのまま俺もいつの間にか、昼寝になった。
夢の中では二人とも、いいお姉さんになっていて、俺を取り合ういけない夢だった。
実にけしからん感じだった。いいぞもっとやれ。
しかし現実に戻ってくれば、まだ
起きたらまたゲーム、三並べをする。
五目並べというのもある。マス目がいくつかなんて覚えていない。それに先手必勝だったはずだ。禁じ手ルールを加えた遊びになるのもあるがやはりルールは知らない。
小さいうちは三並べでも十分だ。
そういえば、この前ドドンゴが来たとき三並べの対戦をした。あまり強くなかった。手加減してるのか、本気なのかちょっと分からない。
魔法ごっこをしてみる。
この村では一人でいる時間はほぼないといっていい。
ということで、何をするにも自分だけでひっそりおこなう事ができない。
魔法の実験も、みんなでするしかない。
「魔法を手から出すぞ~」
「「おぉおお~」」
俺たちは外で並んで手をかざす。
ボッと音が鳴って、俺の手から小さな火が出ていた。暖かい。
「すごい! ブランばっかりずるい」
「わにゃにゃ」
「へへん」
俺は得意になって、鼻の下を指でこすって優越感に浸る。
「どうやったらできるかな? 教えなさいよ」
ちょっとドロシーちゃんの気迫がすごい。
「えっとね、まず魔力を手の先に集めるんだよ」
俺がそういい、ドロシーと手を
「あ、なんか魔力が流れてくるのが分かる気がするわ」
「そうそう、それだよ。自分でも流して見て」
「うんっ、これならできそう」
ドロシーは手を放して、再び手をかざす。今度はちっちゃな火の玉が一瞬だけ燃えていた。
「わわわ」
「にゃっ」
「おー。ドロシーもできるじゃん」
ドロシーは何回も火の玉を出しては、練習していた。
そしてリズはこの日、結局火は出すことができなかった。
これからも魔法の鍛錬も遊び半分で、日常生活に追加しよう。