彼女はジェシカ、翼人族。
肩甲骨あたりから、大きな鳥の純白の翼が生えている。
ちょっと寝るときに仰向けだと寝にくいんじゃないかとか、どうでもいいことを心配したくなる。
年頃の女の子の知り合いは初めてだ。
こういっては何だけど、やっぱり思春期の美少女は、こう、ぐっとくるものがある。それが天使もかくやという翼人族で、笑顔が飛び切り可愛いから、もう反則だ。
「翼人族はね、この国では准騎士爵相当の扱いを受けていて、爵位はないけど、大切にされているの」
「ふむ」
「それで苗字を名乗ってる。仕事は伝令だよ。ただボクたちはそれほど人数がいないから、どうでもいいところとか、安い案件はお馬さんの仕事だね」
「そうだよね、早馬だってあるし」
「うん、でもこの裏街道は、早馬制度がないからね、こういうところでは困るでしょ」
「うん」
そうなのだ。アベルスタン王国と
管理は軍で情報を届けるのが主任務だけど、平時は暇なので、民間の手紙も配達してアルバイトもとい経費の相殺をしているわけだ。
でもこの裏街道は道がちゃんと繋がってないので、早馬制度がない。
この前とかにも出した手紙は、普通に馬車とかで領都まで配達することになってる、らしい。
そして、そういう未発達のところに、異世界ファンタジーのチート、空を飛んで運ぶ、が登場ということだ。
「伝書鳩と一緒だね」
「やめてよ。ハトなんかと一緒にしないで。彼らはそれなりの確率で戻ってこないわよ」
「そうなの」
「うん」
そうらしい。伝書鳩ってちゃんと届けてくれるのかと思ってたけど、戻ってこないやつがいる。
だから普通は複数の伝書鳩で同じ手紙を一度に出すらしい。
でもハトが誰かに捕まったら情報が漏れてしまうし、確実性とか機密性とか費用対効果もよくない。
「その点、ボクたちの知能は人並みだし、ちゃんと正確に届けるから、確実なのよ」
「すごいんだね」
「そうよ、えへへ」
照れて笑うと、むちゃくちゃ可愛い。
「顔も可愛いけど、その羽、すごく白くて綺麗だね。天使の羽みたい」
「羽、綺麗……、う、うん、その、うれしい」
なぜかジェシカは顔を真っ赤にして、羽を広げて見せてくれる。
なんやかんや、ちょっとお姉さんだと思ってたけど、
やっぱ
この世界には、ほら、こういうまだ染まってない綺麗な子がいるんですよ、素晴らしいですな、げへへ。
「ブラン、その、一緒に空飛ぼうか?」
「え、俺、飛べないけど」
「抱えてあげる」
「ああ、そういう」
「うん」
「わかった。よろしく」
あっと思った時には、何やら首らへんにおっぱいが当たっている。
なにこれすげえ柔らかい。いい匂いもする。魔性だなこの天使ちゃんは。天然タラシかもしれん。
「いい?」
「ああ」
「では、まいります」
翼を開いたまま羽ばたいて、膝を使ってジャンプしたと思ったら、一気に斜めに上昇していく。
なんというか短距離離陸機という特殊な飛行機みたいだな。
女の子だからこれが本当のメスプレイなんちって。
それにしても、この翼、フクロウみたいに静穏性能が高いみたいで、ほとんど羽ばたく音がしない。
だから羽ばたいているのがすごい不思議。
地面からどんどん離れていく。最初は怖いかなと思ったけど、一定値を超えたらなんかもう飛行機で飛んでるのと同じで、落ちるという感覚がなくなって、むしろ周りが広く見えて、とてもすごい。
「大丈夫? 俺重くない?」
「うん。ボクが飛ぶにはぎりぎりぐらいだけど大丈夫、重くないよ」
「それならいいや。すごいね。村があんなに小さくなってく」
「うん」
五軒の家と建築中の六軒目が見える。
周りは空き地と畑が半分。その畑も収穫した場所が多いので、空き地みたいになってる。
「あぁすごい。あれトハムン村じゃないか」
「うん、隣村まで見えるね」
「実は隣じゃなくて、うちの地区もまだトハムン村なんだけどね」
「そうなんだ。そのうち独立するんだよね」
「まあね。そしたらうちの父ちゃんが村長だな」
うん。すごくいい景色。そして首元にある暖かいおっぱい。俺を落とさないようにしっかり抱かれてるから、おっぱいも押し付けられてる。
さすがに女の子に、おっぱい当たってますとか言えない。
最初見たときは少しあるな程度でそんなにボリュームなんてないと思ったけど、感触は全然違うな。
こうしてしばらく、偵察、
ようこそスモーレル地区へ、ジェシカ。