色々種を入手して、植えてあった植物の中には、実は
今日は秋の新蕎麦が収穫できる。
蕎麦は米みたいに水が多くなくても育つし、寒冷地でも育ちやすい。
このへんは温暖な気候だからあんまり関係ないけど、荒れた土地でも育てやすいというのは大変助かる特性だ。
だから心配とかはしていなかったけど、うまくできたようだ。
蕎麦の実をどんどん収穫していく。
これには父ちゃんと母ちゃん、それからドロシーの両親のバドル、メーラも協力してくれた。
「えいやこら」
「「「えいやこら」」」
「ほいさっさ」
「「「ほいさっさ」」」
俺たちは掛け声を上げながら蕎麦を収穫した。なんか三人娘が復唱しながら言ってくれるので、ちょっと面白い。
回収した草から種を脱穀して、使う分だけ臼で
うまいことモミ殻を除いて粉だけにしたものを回収する。
蕎麦粉に少量の小麦粉を混ぜて、そしてお湯を混ぜてこねていく。けっこう大変。こねこねこね。
こねこねしたものを、伸ばしていき、麺棒で伸ばして、伸ばして、折りたたんで、そして包丁で切るとですね、はい完成。
麺のほうの蕎麦が完成です。
醤油と出汁のスープが最高なんだけど、醤油はないのでコンソメスープみたいな野菜と塩ベースのスープをご用意しました。
「ささ、
「へえ、これが麺なの?」
「まあ蕎麦はあんまり麺とは言わないけど、まあ麺料理だね。蕎麦は蕎麦っていうね」
「へえ」
お湯に少量塩を入れてあるものに、蕎麦を投入していく。
さすがにフォークというわけにはいかないので、菜箸を用意してありますぞ。
ぐるぐるお湯の中で踊る蕎麦を眺める。
美味しくなーれ、と唱えるといい気がする。きっと神様、女神様にも届くかもしれない。
お湯を捨てて、出来上がった蕎麦をザルに上げる。
スープと合わせて、まだ暑い季節だけど、熱い蕎麦の完成だ。
「わー、なにこれ」
「だから蕎麦だよ」
「へえ、なんだか面白いね」
「細長いにゃんね」
うん、小麦でパスタとかうどんとか作ってもいいはずだけど、うちはずっと薄焼きパンばっかりだからね。
まあ麺類は珍しいよね。この前、町に行ったときも麺は見かけなかった。
とにかくこうして、西洋風スープの蕎麦もどきが完成した。
「あちち、でもなにこれ、美味しいね」
「食べにくいけど、固くないから好き、です」
「美味しいにゃん」
まあ、普通の感想だけど、喜んでもらえたようで何よりだ。
ついでに蕎麦を切った残りを、丸めて蕎麦
味付けは薄い塩味で、中に塩漬けの葉っぱ、漬物みたいなやつを入れてある。
「これも、なんだか変わった食べ物だね」
「美味しいにゃん」
「熱いけど、美味しい、です」
若干一名、美味しいとしか言わない語彙力が低い子がいるけど、気にしてはいけない。
彼女は感覚で生きているのだ。野生の勘もあながち侮れない。
うちの両親とかにも蕎麦を提供して、みんなも食べた。
蕎麦粉は普段から小麦粉と混ぜてパンとかにしてもいいから、応用が広いはずだ。
補助食品としては優秀なのではないでしょうか。
畑で小麦だけだと連作障害とか発生する可能性があるので、蕎麦もローテに加えておくと、たぶん安全性とか生産性とか向上すると思う。
そういえば、蕎麦でヨーロッパといえばガレットか。
ガレットのようなものならできるかな。薄くしてフライパンで焼けばいい。
ということでおやつには蕎麦のガレットを作った。
少量蜂蜜を垂らして、はい、いただきます。
「「「いただきます」」」
蜂蜜をかけたガレットをくるくる巻いて、ぱくっと
「「「おいしー」」」
これは好評だった。甘いものみんな大好きだもんね。
ジャムの残りとかも少し出して、塗って食べたけど、美味しかった。