竹のコップは好評だったので、暇を見ては、無理しない程度に量産をしている。
家はそこまで広くないけど、まだ十分置ける。
余裕だと思って、毎日のように作っていたら千個を超える数ができてしまった。
リズもドロシーももうやすり掛けと磨きのプロになりそうだった。
遊ぶ時間は相対的に減ってるけど、まあいいんだ。これも半分は遊びみたいなものなので。
コップだけではいまいちなので、竹を縦に半分に割って作るお皿も作ってみた。
これでコップとお皿になる。
フォークは面倒なので無いけど、竹串みたいなものも作ってみた。
これで肉串とか売るときに必要そうなセットになると思う。
ちょっと遅い夏野菜が収穫できた。トマト、キュウリ、ナス、カボチャ、トウモロコシだ。
「これがトマト? 赤くてすごいね」
「カボチャでっかいにゃん」
「キュウリは細長くて面白い。とげとげしてるわ」
「トウモロコシ、背が高いにゃ!!」
「ナスは変な色。これ本当に美味しいの?」
とまあ、二人もおおはしゃぎ。
毎日見てるから、知ってるだろ、とか突っ込んではいけない。
ドロシーとリズもうちにきて、トウモロコシを
「なんだかいい匂い」
「楽しみにゃ」
「はい、トウモロコシが茹で上がりましたよ」
「「わーい」」
こうして二人がトウモロコシを初めて食べるときがやってきた。
一斉にかじりつく。
食べ方が分からないとかも言わないようだ。
「「あまーい。おいしーい」」
二人はどんどん、かじかじしていく。あっという間に一つ目を食べ終わると、すぐに二つ目にかじりついた。
こうして茹でたトウモロコシはカエラたちの分を残して全部食べてしまった。
「あははは、トウモロコシ大好き」
「わたしも大好きにゃん」
「ああ、取れたてはこんなに甘いんだな。俺もびっくりした」
このトウモロコシはかなり甘かった。
本当かどうかは知らないが、取ったすぐはすごく甘くて、時間が経つと甘みが抜けてしまうという話を聞いたことがある。
こうして、夏の間、トウモロコシを頻繁に茹でることになった。
時期を少しずつずらして、何回か種を蒔いたので、長く収穫できるはずだ。
トマト、キュウリはサラダで大活躍している。
ナスとカボチャは、主に炒め物とかに使っている。
トマトの残りなんだけど、トマトスープとかにしている。
「トマトスープ、これはうまいな」
「美味しいわね、あなた。野菜の種類が増えてうれしいわ」
「それもこれもブランのおかげだな」
「へへん」
俺はちょっとうれしくなった。
こうして料理の幅が広がって、美味しい食事を食べられるようになれば、俺の生活もよくなる。
ジャガイモの収穫第一弾も始まった。
ジャガイモそのものは、すでに試食しているので、味はみんな知っている。
今回はちょっと違うものを作ってみようと思う。
それは「じゃがもち」と言われるものだ。
ジャガイモをすって小麦粉と混ぜる。それをフライパンで焼く。
そうすると、もちもちの美味しいものになるのだ。
醤油があるとなおよいが、もちろん無い。
「ブランはどこで思いついてくるのかしらね」
「不思議だな」
料理過程を見ていた父ちゃんも母ちゃんも疑問に思うようだ。まあそうだろう。
「それでははい、完成、食べてみてよ」
「「いただきます」」
「うん、ふわふわしていて、美味しいな」
「柔らかくて食べやすいわ。美味しいわね」
両親ともに好評だった。
気を良くした俺はドロシーとリズにもじゃがもちを食べさせてみることにした。
「わわ、何が始まるんですか」
「見てのお楽しみ」
そういいながら調理する。
「すごく美味しそうだわ」
「もうよだれでちゃうにゃん」
じゃがもちが焼かれていく。そして完成。
「さあ召し上がれ」
「「いただきます」」
「なにこれ、もちもちしてるわ」
「おいしーにゃ」
二人はすごい勢いでじゃがもちを食べた。ちなみにご飯ではなくおやつだ。
まだまだ細い二人にはいっぱい食べさせて、健康的な体になってもらわないと。
田舎っぺの子供たちの切実な願いだ。
「「お代わり!!」」
「はいはい、今焼くね」
そう来ると思っていたので、ちゃんと次の分も用意してあった。
抜かりはない。大丈夫。
二人とももうちょっと大きくなーれ。
なんだか餌付けするみたいだな。