俺は暑い夏なので、最近、魔法の練習の遊びは、違う魔法を試している。
「はい~、アイス」
「ああ、ドロシーにもくださいです」
「にゃにゃ、リズにもちょうだいにゃん」
「はいはい、順番ね」
こうして俺は氷魔法を使ってアイスを作る。
アイスって言っても、ただの氷の塊なんだけど。
「にゃん、冷たいにゃん」
「最高ね」
二人にも好評だ。
もっとも俺たちの村では、流れてる沢の水は湧水なので、夏でもそれなりに冷たくて、少し涼しいのが欲しければ、沢の水のところに行けばいい。
空気は乾燥していてとても暑いけど、水のおかげでそれほど辛くはない。
ということで、アイスは
「そうだ、アイスの魔法が使えるんだから、あれ作ろう」
「なんだにゃん?」
「また何か始めるにゃんか」
「うん、まあね」
俺は冷蔵庫を作ることにした。
冬は正直、あまり必要性がないけど、夏はあるといいような気がする。
でも、よく考えると、何入れるんだろう。
余ったときの卵ぐらいだろうか。肉は干し物になっているし、小麦とか冷やしてもしょうがない。
水を冷やして飲むにしても、最初から沢の水は冷たいから、意味ないし。
まあないよりいいだろう。
あれだな、現代社会とかと違い、冷蔵庫無いなら無いなりの生活ってのがあるんだなと。
冷蔵庫を作るのは簡単だ。
棚の仕切りをいくつか作って、それで箱を作るだけ。
一番上の部分に、氷魔法で作ったアイスを入れるだけで完了だ。
ということで、うちには冷蔵庫が設置された。
意外というかなんというか、リズのばあさんのカエラがこれに興味を示していた。
そりゃそうか、確かに素材の中には冷やして保存したほうがいいものもある。
「おほほほ。冷蔵庫ねえ、いいねこれは。うちにも一台作ってくりゃれ」
「カエラがそこまで欲しいならいいよ」
「ありがたい」
「いつも山に連れてってくれるから恩返しだね」
「そうだね」
こうしてカエラの冷蔵庫もできた。
そしてカエラも氷魔法が使えるので、自分で氷を設置するらしい。
カエラとまた山に行った。
今日の目標は、山ブドウだ。
この世界では、それなりにいい感じのブドウが自生している。
去年もちょっとだけ食べたので覚えている。
「わーい、ブドウだ、ブドウ」
「にゃにゃん、ブドウ」
「そんなに騒ぐでないぞ」
「「はーい」」
うれしそうに騒ぐ、ドロシーとリズを横目に見ながら、ブドウの生えている山まで登っていく。
といってもすぐ近くだ。
「わーすごい」
「ブドウいっぱいにゃん」
大きな木が生えていない、比較的日当たりのいい斜面が、一面ブドウ畑みたいになっていて、たくさん実っているのが見えた。
籠にいっぱいになるまで、ブドウを収穫した。
ナイフだったら枝を切るのはちょっとコツがいるが、収穫用ハサミがあるから簡単だった。
「おもーい」
「あはは、おもーい」
ドロシーもリズも楽しそうだ。
みんなで籠を背負って帰った。
家に帰ってきたら、さっそく作業をした。
ブドウを煮る。何をしているかといえば、ブドウジャムにする。
蜂蜜は家のもあるけど、この前町に行ったときに投資として、購入した分があった。
ただブドウは町でも多少は流通しているらしいので、ノイチゴジャムほどレアではないということはある。
だから値段は前回ほど高くないとはいえ、やはりそれなりになるはずだ。
この辺のことは、ドドンゴと話してある。
ブドウを入れた鍋をぐつぐつしていくと、いい匂いが漂ってくる。
それに蜂蜜を投入して、ジャムに大変身させる。
もう後ろのドロシーとリズはよだれが垂れそうだ。
「はい、これぐらいでいいかな。ほい試食して」
「わーい」
「やったにゃん」
スプーンでちょっと
ついでに俺も試食してみる。
「甘い!!」
「美味しーい!」
ほっぺに手を当てて、喜んだ。
「そりゃよかった。これも売れるかな」
「うん、売れる、売れますわ」
「売れるにゃんね」
「二人は何か欲しいものとかある?」
「え、どういうこと?」
「なににゃんです?」
二人は売れるとは言ってくれるけど、売れて何か買えるという視点はあまり考えていないみたいだ。
そりゃそうだ。この村にいると、購入はドドンゴが持ってくるものに限られるから、
なるほどなぁ。