『【ヤバい】自滅帝とかいう正体不明のアマ強豪www【十段おめでとう】Part44』
名無しの728
:SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE
名無しの729
:マジで良かった
名無しの730
:最高や
名無しの731
:いい戦いだった
名無しの732
:うおおおおおおおおおおお!!おめでとうライカ!お疲れ様自滅帝!!
名無しの733
:二人とも最高の試合だったぞ
名無しの734
:レべチだった……
名無しの735
:絶対アマチュア同士の試合じゃなくて草
名無しの736
:コイツらリアルではまだアマチュアの県大会クラスやぞ?やってることえぐいて……
名無しの737
:まさか自滅帝が負けるとはな
名無しの738
:時間切れはしゃーない、それだけ集中してたって証拠や
名無しの739
:いい歳したオッサンだが感動しちまったよ
名無しの740
:相入玉戦から点数勝負できないと踏んで絶無指し繰り出したのほんまエグかった
名無しの741
:王様逆走してくんの怖すぎよなw
名無しの742
:これ自滅帝の力をすべて発揮した試合なんじゃないか?
名無しの743
:これはまごうことなき全国クラスの将棋、いやプロレベルまである
名無しの744
:なぜ奨励会に在籍してないのか謎
名無しの745
:今プロの順位戦見てるんだけど、なんか物足りないって思うの俺だけ?
名無しの746
:>>745 大丈夫、ワイもや
名無しの747
:>>745 みんな思ってる
名無しの748
:>>745 分かるw
名無しの749
:>>745 プロの方が上のはずなのに……
名無しの750
:普通ならアマとプロじゃ歴然の差があるわけだけど、今回のライ帝聖戦に限っちゃプロに引けを取らないレベルの見どころがあった
名無しの751
:全国大会マジで期待してるw
名無しの752
:全国ではこの二人が無双するんだよな……マジで楽しみだわw
名無しの753
:水原さん次回も棋譜取り&棋譜載せがんばってくれw
名無しの754
:二人とも熱い試合をありがとう!
『将棋配信者ライカの応援スレPart16』
名無しの88
:ライカ!俺のライカ!!
名無しの89
:おめでとおおおおおおおおおおおおおおおおおお
名無しの90
:惚れた
名無しの91
:お前が大将や!!
名無しの92
:あそこから勝つのかよ……
名無しの93
:おめでとう!!
名無しの94
:おめでとう!
名無しの95
:非公式戦とはいえ最高の試合だった
名無しの96
:おめでとうううううう!!
名無しの97
:時間切れとはいえ、あそこまで本気出した自滅帝に勝つってヤバい
名無しの98
:自滅帝があまりにも強大な敵すぎて負けイベントかと思ったぞ!?
名無しの99
:>>98 味方定期
名無しの100
:つーかこの二人同じチームに入れちゃダメだろw
名無しの101
:まさかライカが自滅帝と同じ高校生だったとは……
名無しの102
:今までの配信で「自滅帝に会いたいよぉ」って懇願してた夢叶ったやん
名無しの103
:ライカ生粋の自滅帝ファンだったからなw
名無しの104
:いつも配信でボロ負けしてた相手にここで勝つっていう胸アツ展開
名無しの105
:どうしてこんなに強くなるまで放っておいたんだ
名無しの106
:リアルでは無冠の女王とか言われたらしい
名無しの107
:そういや大会で一度も優勝したことないって前の配信で言ってたな
名無しの108
:>>107 マジ?
名無しの109
:>>107 うせやろ……
名無しの110
:ライカって大会優勝したことないのかよ……
名無しの111
:この強さで大会優勝したことないの草
名無しの112
:でも今日は県大会優勝したっぽいし良かった、マジでおめでとう!
名無しの113
:仲間に恵まれたんやな、よかったやん
名無しの114
:はー俺も自滅帝とチーム組みてぇ~
名無しの115
:分かる
名無しの116
:お前らは学生じゃないからムリ
名無しの117
:このスレ今までの比じゃないくらい伸びてて草
名無しの118
:リアルではめっちゃ可愛い女の子だってバレたしな
名無しの119
:しかもJK
名無しの120
:自滅帝そこ代われ
名無しの121
:絶対自滅帝のこと好きだよなライカ……
名無しの122
:>>121 そんな……ライカ……ライカぁぁぁぁ……!!
大きな盛り上がりを見せたことで多くのアマチュアの目に留まることとなった『#ライ帝聖戦』。
それは真才たちと同じように、黄龍戦の県大会を勝ち上がってきた猛者にとって貴重な情報源となっていた。
「なに、これ……」
「こんなの、アマチュアの戦いじゃないっしょ……」
伊吹とて、生半可な強さで
しかし、目の前で行われていた対局はあまりにも常軌を逸している。
伊吹は震えた手でスマホを握りしめながら、二人の対局棋譜を覗き込んでいた。
「確かに尋常じゃない強さだ。……だが、底は知れた」
すぐ横で
「なんだよ……?」
そのまま席を立ち、伊吹の前を通り過ぎて窓際に向かった尾崎は、振り返って勝機を浮かべた笑みを見せる。
「あれが自滅帝の全力だ。あれより上はない」
「?」
「棋力の問題だよ、伊吹。自滅帝は今まで多くのアマチュアに恐れられてた。それは、どれだけ戦っても底の見えない棋風を持っていて、最後の最後、ギリギリになるまで手の内を見せない戦い方で勝ってきたからだ。……でも、今回の試合で自滅帝は本当の意味で全力を出した。手の内を全てバラしたんだ。それは棋譜を見れば一目瞭然だろう」
尾崎の言葉を受けて、伊吹は考え方を改める。
「……言われてみれば確かに?」
「自分の強さを
「なんでわざわざこんな、自分たちの対局棋譜を全国にバラまくような真似をしたんだ?」
「本気を出してぶつかり合う"青春ごっこ"でもしたかったんだろう。自滅帝とて未成年、思春期真っ只中の学生だぞ? ロマンチストなのさ」
「……あー、ウチらにもそーゆー時期あったわ~。なるほどね。尾崎、やっぱアンタ頭いいよ」
伊吹の軽口に尾崎はため息を零した。
「お前は頭悪いのに将棋だけは強いからな」
「将棋はゲームなんだって、ゲームに頭の良し悪しなんて関係ないっしょ?」
「そうだな……」
※
中央地区、黄龍戦の県大会が行われていたその会場から一人の少女が出てくる。
風に
そこで、向こうからやってくる一人の青年とすれ違う。
「なんだ、わざわざ来たのか。天竜一輝」
「麗奈たちを迎えに来ただけさ、対局に興味はない」
「せっかくの自滅帝の全力だぞ? 見ていて損はないと思うが?」
「冗談だろ。俺はメロンだと思ってメロンパンを食う馬鹿じゃない」
「上々」
まるで何もかも分かり切っているかのような二人の会話は、たったの数回で終わりを告げ、そのまま何事もいい合うことなく互いに背を向けあった。
しかし、天竜が何かを思い出したかのように歩みを止める。
「──そう言えば、アンタのことを少しだけ調べさせてもらったよ」
その言葉に少女はピタリと静止した。
そして、ゆっくりと振り返ると、ハイライトの無い目で天竜を睨みつけた。
「……なんのことだ?」
「俺には他人の事情にとやかく言うつもりはない。……が、アンタは何のために将棋を指してるのか、それだけが気になってな」
天竜の問いに、少女は迷いなく答えた。
「芸術だよ、少なくとも"この人"はそうしていた」
「……俺が聞いているのは、"君"なんだが」
「……」
振り返って目を合わせる天竜に、少女は殺気を込めた視線を向ける。
「──あまり身を滅ぼすような言動は慎んだ方がいい」
それは、それ以上踏み込んだら容赦はしないという意味が込められた目だった。
「……そうだな、出過ぎた真似をした。悪い」
天竜の謝罪に殺気を収めた少女は、一息ついて踵を返した。
そうして二人は再び背を向け、互いに歩き出す。
「……わたしは──」
ふと最後に少女が漏らした言葉が、天竜に届くことは無かった。