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第200話記念話17 モブ男たちは2

 三代美女、一人目は江口由那。


 セミロングの白髪と全体的に小柄な可愛らしい容姿をした女の子。男子の中では密かに「天使」という呼ばれたり、「女神様」と呼ばれたり。その愛らしいルックスと明るい性格に一目惚れした者が多発したが、神沢勇士という悪き幼なじみによって夢は砕かれた。


 二人目は……


「あ、有美ちゃ〜ん、おはよ〜!!」


「おはよ、由那ちゃん。相変わらずデレデレのベタベタだね……」


「くっふふふ、そういう有美ちゃんも渡辺君とアツアツ登校してきてるけどにゃ〜?」


「へっ!? う、うううるさいな! 由那ちゃんにだけはアツアツとか言われたくない!!」


 中田有美。こちらは黒く長い髪に身を包み、少しだけ着崩された制服などからギャルのような雰囲気を醸し出しているが、実際にはただの可愛い女の子である。


 なんでも自分には可愛いものが似合わないとか、そもそも可愛くないとか。そんなことを常日頃から思っているんだとか。


 そういう少し自分に自信がなくてふと何かの瞬間に顔を真っ赤にしているところや、何より彼氏である渡辺寛司の前でのみ甘えんぼが爆発するらしいところが男女問わず人気で、特に女子からは少女漫画のヒロインみたいだと囁かれている。


「あ、中田さんだ。相変わらず可愛いなぁ……」


「な。あんなの好きにならない男子いないって。たまにちょっと怖い瞬間もあるけどめちゃくちゃいい子だもん」


「いい子て、何を偉そうに。江口さんと一緒で中田さんも充分に高嶺の花だろ」


「ぐぬおおぉぉ。なんで俺には黒髪ロング清楚ギャルな可愛い女の子の知り合いがいないんだ!! いたらアタックするのにィィィィィィイ!!!」


「いや要素。流石に盛りすぎで……って、それ全部中田さんに当てはまってるな」


 この世には「清楚ギャル」という幻の属性が存在する。


 清楚とギャルなんてそもそも真反対な言葉同士なのだから、共存するわけがないだろうと。そう言われ続け廃れかけていた文化だが、よく考えれば彼女はそれに強く当てはまっていた。


「クソッ、渡辺め。さわやかイケメンめぇぇぇ……ッッ!!」


「まああの二人に関してはもう高嶺カップルというか。正直渡辺には何一つ適いそうなところが無いからな……」


「ふっ、ふふふふふ。お前ら三代美人の話してるのか? ならいるだろ、俺たちにとっての最後の砦!! 唯一彼氏のいない美女がよぉぉぉぉお!!!!」


「え? あー……うん。いるにはいるな」


 ここまでは残念ながら彼氏持ちとなってしまい拝むことしかできない存在の二人。


 だが、最後の一人は違う。俺たち非リアにとってまさに「最後の砦」とも呼べる存在であり、唯一の希望だ。


「おーおー、やってるねぇ。おはようさんバカップルども。見せつけるのも大概にしとけよぉ?」


 その名を、在原薫。茶髪のゆるふわパーマをかけたギャルさんである。


 マイペースな変人で、男にも女にも分け隔てなく接する彼女はまさにこのクラスのバランサー的存在。その高いコミュ力に加えてオシャレで顔も良いと来たものだから、こちらもまた男子から絶大な人気を誇る。





 ただ……問題が二つ。三代美人の一人でありながら彼氏のいない彼女には、男子達にとって重大な問題があったのだった。

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