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第200話記念話5 百合、揺らめいて5

「へひ……あうぅ……っ♡」


「ふう、堪能したぁ。由那ちゃんみたいに柔らかくて大きいのも良いが、やっぱりたまにはちっぱい成分も補給しないと」


 数分間、私は胸を揉みしだかれて。ようやく解放された頃には身体が熱々に火照ってしまい、息も絶え絶えだった。


 薫さん、多分胸を揉み慣れているんだろう。強く揉まれているのに、全然痛くなくて。少し気持ちい……ん゛んっ。と、とにかく止めてもらえてよかった。


「ひなちゃん、反応まで可愛いなぁ。ついつい弄りたくなっちゃうぜ。ごめんな?」


「い、いえ……」


「由那ちゃんは不意をつけば揉めるんだけど、有美はそうはいかないんだよなぁ。猫みたいに警戒心強いし。その点ひなちゃんは隙だらけっ。そんなんじゃ狼な男どもに言い寄られた時抵抗できないぞ〜?」


「うぅ、そんなこと言われても。と、というか薫さんだって不意打ちして来たじゃないですかぁ……」


「あっれ? そうだっけ。まあ気にしない気にしない!」


 私が抵抗しなかったのは薫さんが相手だからです、なんて。言えるはずもない。


 薫さん以外の人にこんなことをされたらきっと死ぬ気で抵抗するし、大きな声も出す。触ってもらいたい人は、私にとってはたった一人だけだから。


(薫さんの鈍感……)


 後ろを振り返ると、きょとんとした目でこちらを見ている。


 ズルい。一人だけ満足してて……いや、私も薫さんに触ってもらえてある意味満足というか。ちょっぴり幸せになっちゃったりしたけど……。


「ふふっ、まあそう怒んないで」


「お、怒ってなんて、ないですもん」


「じゃあ拗ねてる?」


「拗ねても、ないですっ……」


「もぉ〜、じゃあその膨らんだ頬は何なのさぁ!!」


 つい無意識に頬が膨らんでいたらしい。


 そしてその理由は、自分でも分からない。


 薫さんが私の好意に気づいてくれないからか。それとも、胸をもっと触って欲しいなんてえっちなことを考えてしまっていたのか。


 いくつか候補は浮かぶけど、すぐに水泡として消えていく。考えてすぐに違うって分かったから。


「あっ、分かったぞ。ひなちゃんが怒ってる理由」


「へっ!?」


 も、ももももしかして薫さん、私の気持ちに気づいて!?


 一度身体の力が緩み落ち着いていた心臓の音が、また爆音で体内に響き始める。


「私だけ揉むのは不公平だもんな。ほれ……ひなちゃんもいっとけ?」


「………………へ?」


 違った。違った、けど……


(わ、わわわわ私が、薫さんのを────っ!?)


 も、揉むって動詞を使う対象なんて、一つしかないよね? 


 つ、つまり私は今、薫さんの、その……お、おっぱいを……触る許可を得たって、こと?


 ぽよんっ、と視界の端で、薫さんのたわわが揺れる。


「あ、あわっ、あわわっ……」


「自慢じゃないが私のは大きい。揉み心地は極上だと思うぜぇ?」


 くるっ、と私の身体は簡単に反転させられてしまい、薫さんの太ももに座った状態で向かい合う。


 少し先には、さっきまで背中に押し当てられるだけだった大秘宝。多分私が大きく広げても収まりきらないであろう、巨峰のような胸部。


 触りたい。触ってみたい。薫さんに触れられるならどこでも良いのに、よりによってこんな女の子にとって大事な場所。触りたくないはずがない。


(お、落ち着いて、私。がっつき過ぎたらえっちな子だって思われちゃうから……)


 触ることは確定として、問題はどう触るか。


 つんっ、とつつくだけなのか。それとも少しだけ手のひらで触るのか。はたまた包み込むようにして、本当に揉んでしまうのか。


 頭が過去最高に回り続け、スパコン並みの速度で思考を繰り返す。


 けど、私は思い知る。今している行為は敵意剥き出しの獣の目の前で座り込み、どうやって逃げるか考えるという自殺行為さながらなものなのだと。


「えいっ」


「ひゅっ────」


 もにゅっ、ぽよん。


 私の左手に、柔らかな感触。


 肌がそれに触れたことを感じてからしばらく。ようやく脳の処理が追いついた、その瞬間。


「…………あぁっ♡」


「へへ、ひなちゃんも小ぶりなままでも充分可愛いけど、いっぱい食べて私みたいにおっきいのを目指すんだぞ〜、なんて。……あれ、ひなちゃん? ちょ、鼻血!? てか目がヤバいッ!! おぉい、それ意識あるのか!?」


「あ、あへっ♡ 柔かぁい♡」


「おわっ、垂れる! 鼻血垂れかけてるって!! あと顔溶けてるぞ!? ひなちゃ、戻って来てくれェェェ!!!」




 快楽の許容限界を超えて。オーバーヒートしてしまったのだった。


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