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第200話記念話3 百合、揺らめいて3

「ふぃ〜、やっと終わったぁ」


「はいっ! お部屋ピカピカになりましたね!」


 お部屋掃除を始めて三十分。床に散らばっているものを元の位置に戻し、埃をかぶっているところはティッシュで拭き取る。パンパンになっていたゴミ箱の中の袋は口を結んでまとめ、新しい袋のセットまで。


 完璧なお掃除。そして私はその過程で無事薫さんの中学の卒業アルバムを見つけ、見せてもらうことに成功。


 まだ髪の毛にパーマや茶髪といった手入れはされておらず、黒髪でまだ幼げのある薫さん。守ってあげたくなる可愛さだった。


「ありがと、ひなちゃん。本当に助かったよ。それにしても掃除の手際良かったなぁ。家政婦さんで雇いたいくらいだ」


「や、雇っていただかなくても、薫さんのためならいつだってお片付けに来ますよ! また散らかったらすぐに言ってください!!」


「お、マジか? へっへ、じゃあたまにお願いしようかな」


 しかも、この副産物。


 お部屋掃除という名目で、あっさりとまたここに来られる口実を得てしまった。


 どうしよう、上手くいきすぎて怖い。私なんて今日一回来られただけでも奇跡で、正直もう次は無いかなとすら思っていたのに。まさかこんな展開が待っていたなんて。


 ああ、薫さん。ずっとお世話してあげたい。お手伝いして養いたいよぉ……。


「よし、これでようやく遊べるな。どうするはなちゃん? ゲームならいっぱいあるけど」


「じゃ、じゃあそれで! やるゲームはお任せします!!」


「任された。じゃあこれからやるかな……」


 薫さんとゲーム? 趣味の共有……。


 ゲームは一つも持ってないし友達の家で少しやったことがあるくらいだけど。私なんかが相手で退屈させちゃわないかな。ああ、この事を予想してゲーム買っておけばよかった。事前に練習にておけばある程度相手は務められたかもしれないのに。


「ほい、コントローラー。って、やべ。椅子どうしよ。一つしかないや」


「わ、わわ私は床でも大丈夫ですよ?」


 か、薫さんに命令してもらえるなら、床に座るのもいいかも……。正座させられて、脚がつりそうになっても崩させてもらえなくて。限界まで痺れてしまった脚をピンッ、て。何度も突かれたり押されたり。小悪魔さんみたいな表情で、いっぱい虐められたら────


「いーや、良いこと思いついた。そうだ、一つしかないならこうすりゃいい」


「じゅる……へっ?」


 ゲーミングチェアに深く腰掛け、少しだけ背もたれを倒してから。薫さんはぽんぽんっ、と自分の太ももを二回叩くと、私の目をじっと見る。


 そして、ニヤりと笑うと。言った。


「私の太ももの上、おいで? こうすれば解決だ!」


「……へぇぇっ!?」


 う、嘘。私が薫さんの太ももの上に?


 そんなの恐れ多い……ああ、でも真っ白で柔らかそう。じゃ、ない! 私なんて床で充分で……すべすべ、もちもち! その上真後ろには薫さんがいて、体温をいつでも感じられ────ああ、でもっ!!


「ほら、早くっ。顔のいい女の子を後ろから抱きしめながらゲーム。私の夢なんだ〜!」


「……乗らせていただきます」




 欲望には、勝てないや……。

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