ホテルに帰ると、お酒大好きみぱぱパパとびままパパは良い感じで酔っ払って意気投合していました。
「まだ少し飲み足りませんよね。みぱぱパパさん」
「そうですね、もう少し飲みたいですね、びままパパさん」
そんな二人をとりあえず置いておいて、自分の部屋にもどるみぱぱとびままさん。
お酒を飲むのは良いですが、明日からの予定を確認しておかないことには、今日が終わりません。
部屋に戻って、予定表を取って、まず、みぱぱ両親の部屋に行ってみます。
そこには、みぱぱママしかいませんでした。
「あれ? お父さんは?」
「びままパパと部屋で飲み直すって言ってたよ」
「そう、ちょっと明日の予定を簡単に説明するから、いっしょにびまま両親の部屋に来てよ」
みぱぱ、びままさん、みぱぱママの三人はびまま両親の部屋に行きます。
「ちょっと明日の予定の確認を……え!?」
そこにはホテルの冷蔵庫に備え付けてあるビールを三本ほど開けている、みぱぱパパとびままパパがいました。その様子はまだまだ飲むようでした。
「ちょっと、それ、冷蔵庫から取ったの?」
「おう、みぱぱ。お前も飲むか?」
「お前も飲むかじゃないよ。ホテルの飲み物は高いんだって。ビールがいるなら、そこのコンビニで買ってくるから、ちょっと待ってて。びままさん、その間に明日の予定を説明しておいてください」
みぱぱはその場をびままさんを任せてコンビニに走ります。
ホテルの冷蔵庫に入っていた小瓶の値段より安い値段の普通サイズのビールを数本買い込んで、部屋に戻ったみぱぱでした。
次の日の朝、みぱぱ一行は古宮周りをします。でも、その前に腹ごしらえ。
ホテルには朝食がついていなかったので、近くの食堂で朝食をとることにしました。
「みぱぱ、朝ご飯は軽い物でお願いな」
昨日の夜、焼き肉をがっつり食べた上に、お酒もたらふく飲んだみぱぱパパはそう言いました。びままパパを見るとどうやら同意見のようです。
「みぱぱさん、ここなんてちょうど良くないですか?」
びままさんが指さした先はお粥店です。
二階に上がる階段の入口に看板があり、お粥の写真が載っていました。
観光客なんていなさそうな店構え。ローカルピープルが普通に食べているローカルフードを食べるのが、旅の醍醐味!
みぱぱたちが店に入ると、お店のおばちゃんが韓国語で話しかけて来るのを、たどたどしい英語で返すみぱぱ。
そのように店のお客がみぱぱたちを見ていました。
その顔には何でこんな店に日本人が? と書いてありました。
とりあえず、ハングル文字だけのメニューでしたが、写真が一緒にあったのでなんとか注文をします。
韓国のお粥は出汁でお米を煮ているため、ほんのり味が付いている上、キムチや牛肉の醤油煮などが付け合わせで出てきて、朝ご飯には最適です。
ほっとしたところで、みぱぱママが口を開きました。
「安いわね」
そう、一人前、日本円にして二~三百円。でも、コンビニで物価を確認していたみぱぱは言いました。
「そう? こんなもんじゃない?」
「でも、昨日の焼き肉は日本で食べるのと変わらなかったわよ」
みぱぱママの言葉にみぱぱの中の身体は子供、頭脳は大人がひらめいたのです。
安い物価。
日本人しかいない焼き肉店。
高い価格。
おそらく、あの焼き肉店は観光客用の高い値段設定のお店。おそらく紹介したジウさんにもキックバックが入っているのでしょう。
海外ではよくある話しです。
ボッタクリでは? と言われればそうなのでしょうが、びっくりするほど高かったわけではなく(日本人の感覚として)まあ、日本人が周りにいて安心して食事ができたのを考えれば、まあ良かったのかもしれません。
朝ご飯も済ませたみぱぱたちは地図を片手に、歩き始めます。びままさんとびままパパの二人が先頭で。
この日のためにどこを回るか調べていたびままさんと、旅行となると先頭切って歩くびままパパ。
似たもの親子です。
その二人を生温かな目で見守りついて行くみぱぱとびままママ。
最後に連れて行かれるままについて行くみぱぱ両親という三つのグループで、歩いて回ります。
ソウルには有名な古い宮殿が五つありますが、歩いて回ることができます。
古宮から古宮まで歩いて三十分かからないくらいです。
びままさんと、びままパパの案内で、どんどん回ります。
石畳に大きな建物。
それ自体は素晴らしいのですが、その建物のバックボーンを知らないみぱぱたちは、まるで勉強不足で京都旅行に来た修学旅行生状態です。
「疲れたな~」
思わず、みぱぱはつぶやきました。
「何言っているんですか、次は韓国の伝統舞踊を見に行くんですよ」
旅行になると俄然元気なびままさん。
お昼を食べて、伝統舞踊を見始めます。
舞台から扇状に配置された椅子に座ると、少し薄暗くなり、舞台の上では韓国の衣装を着た女性達が出てきました。
舞台の端には何カ国語かで説明が出ています。
朝から歩き回って疲れた上に、お腹が満たされたみぱぱはついつい、うとうととしてしまいました。
一時間ほど公演が終わり、会場から出ようとするみぱぱにびままさんが話しかけます。
「みぱぱさん、今、寝てたでしょう」
「寝てなんていませんよ」
「嘘だ~。ヨダレついてますよ」
そんな風にソウルを見て回ったみぱぱ一行は夕方、南大門市場に行ってみます。
近くには
しかし、次の日、最終日は朝から、ジウさんに連れられて、車でお土産店周りでした。
「あ、美味しい。キムチ買いましょうよ、キムチ!」
本場のキムチを試食したみぱぱテンション高めで、びままさんに言いました。
「良いですけど、飛行機に乗せられるのですか?」
「大丈夫です。ちゃんと飛行機に乗せられるように梱包してあります。キムチはお土産品でもナンバーワンですよ」
食料品を持ち帰る時には税関を通りかが重要です。そのあたりはジウさんが詳しくいですが、そもそも外国人向けのお土産屋さんに連れてきてくれている時点でそのあたりなんの問題もありませんでした。
そうして、お土産もたくさん買って、帰国したみぱぱたちでした。
帰ってきて、自分用のお土産のキムチを食べるみぱぱ。
「あれ? なんだか酸っぱくないですか? 大丈夫かな?」
「漬物だから、そうそう腐ったりしないですよ。あれ? 本当ですね。向こうで食べたより大分酸っぱいですね。大丈夫かな?」
日に日に酸っぱくなるキムチにみぱぱ達は不安を覚えました。
しかし調べてみると、韓国のキムチは発酵が進むと、酸味が強くなるそうです。酸っぱいのが苦手人は、豚キムチに使うと良いようです。
「いや~また、いつか皆で旅行行きたいね」
そしてそれから数年後、