韓国
言わずと知れたお隣の国。
みぱぱが黒帯を持っているテコンドーの国
~*~*~
「びままさん、ご相談が」
「何でしょうが、みぱぱさん」
結婚生活も落ち着いた頃、みぱぱはびままさんに相談を持ちかけました。
「じつはうちの両親って海外行ったことが無いんだよね。それで、両家の両親含めて六人で海外旅行に行かないか?」
「良いですね」
元々旅行好きのびままさんは二つ返事で賛成してくれました。
そうすると、びままさんの質問はひとつです。
「それで、どこに行きますか?」
「初海外だし、六人もいるから近場で、韓国なんてどうだろうか?」
「良いですね。じゃあ、実家に連絡して、観光雑誌を買って、さあ、準備しなきゃ!」
みぱぱ、びまま両家の韓国旅行が決定しました。
日程を決めて、準備をします。
さあ、ここでびままさんのターンです!
びままさん、旅行の時はきっちりスケジュールをたてて、まるで行くまでの一回旅行は終わってしまっているかのようです。
「みんなで、これを見ましょうよ」
びままさんが指した先は、『民族舞踊』。オプショナルツアーに入っていないので、自分で予約しなければなりません。
仕方がなので、みぱぱは自分で電話をします。
「あいむ こーりん ふろむ じゃぱん。ぷりーず りざぺーしょん しっくす ぴーぽー。え、ああ、はい」
電話を切ったみぱぱにびままさんが尋ねます。
「どうでした?」
「なんか、予約無しで当日チケットを買えば良いみたい」
頑張って電話したのに無駄骨でした。
さて、びまま家が九州と言うこともあり、福岡空港集合します。それは初海外旅行のみぱぱ家両親の為でもあります。
福岡空港を出発した飛行機はあっという間にソウルに到着しました。
所要時間約一時間半。羽田~福岡よりも短い飛行時間です。
韓国に着いたみぱぱたちを迎えてくれたのは、若い女性ジウさんでした。
黒いリムジンに乗って、ソウル近くの河、漢江を横目に見ながらホテルに向か言う途中に、ジウさんが尋ねます。
「お客さんたちはどういった関係ですか?」
「私たちは夫婦で、その両親です。家族旅行なんですよ」
みぱぱがそう答えると、ジウさんはにっこり笑いました。
「そうなんですね。韓国では、家族とても大事にします。楽しい旅行になると良いですね」
「はい。そういえば韓国と言えば焼き肉ですよね。良いお店を教えてください」
「分かりました。こちらで予約と送迎の車も用意しておきましょうか?」
とりあえず、初日の晩ご飯の予約をして、ホテルにチェックインしたみぱぱ達は、ジウさんの手配してくれた車が来るまでのあいだ、自由にすることにしました。
みぱぱ両親とびまま両親は慣れない海外で少し疲れたと言うことで、ホテルで休むようです。
その間、みぱぱとびままはちょっとソウルの街を散策することにしました。
ソウルは都会なのですが、高層ビルと同時に昔からあるような古い建物が混在し、ちょっと裏道をみるとゴミが散乱しています。経済的に急成長して、街が追いついていない感じがします。それはおそらく、高度成長期の東京に似ているのではないかと、みぱぱは街を歩きながら、考えていました。
ホテル周りの街の様子を見て回ったみぱぱは、ホテルのすぐそばにあるコンビニに入りました。
日本と基本的に変わらないコンビニ。
お菓子もつまみもソフトドリンクも、もちろんお酒も置いています。
値段を確認すると物価は日本よりも安いです。大体、半分から三分の二程度でしょうか。
日本で見かけるお菓子も置いてあり、輸入品になるためか、他のお菓子よりも若干高めの価格でした。
さて、迎えの車に乗って行く焼き肉店。
「ん!?」
「どうかしましたか? みぱぱさん」
「お客が日本人ばっかりですね」
広い店内に長テーブルが多くあり、そのテーブルのほとんどはお客で埋まっていました。そのお客は日本人らしき人々でした。
「旅行雑誌に載っている店なんですかね?」
ジウさんにお願いして店を予約していたので、詳しく調べていませんでしたが、地元のうジウさんのチョイスなので、地元の人がよく行くお店だと勝手に想像していました。
みぱぱ両親は慣れない外国なので、周りに日本人がいることにすごく安心した様子でした。
メニューを見ても、写真に日本語で書かれており、頼みやすいメニュー表でした。
韓国の焼き肉と言えば、骨付きカルビ。
骨がついたままの長細いカルビをびろーんと焼きます。
カルビについたタレの焦げるおいしそうな匂い。これだけでビールが進みます。
良い感じで焼けた頃、おばちゃんがやってきて、はさみでチョキチョキと切ってくれます。
それをサンチュに巻いていただきます。
しっかり、味がつているのでそのままでもおいしく、カルビのうまみ脂をビールで流し込みます。
韓国のビールは東南アジアのビールと同じように軽めでグビグビ飲めちゃいます。
さて、お腹がいっぱいになったみぱぱ一行は会計をしようと、みぱぱが財布を取り出そうとします。
「みぱぱ、ここは私が払うから」
なんとみぱぱママがここを払う言うのです。旅行の費用はみぱぱ夫婦が出したので、食事は出すというのです。
「いいよ。めったにできない親孝行のつもりだから」
「いやいや、旅行代を出してくれたんだから、ここは私が払う」
「いいや、大丈夫だから」
どっちが払うか押し問答して前に進みません。そこにびままママが口を開きました。
「ここはわたしが払います」
びままママがそう言った瞬間でした。
「どうぞ、どうぞ」
みぱぱとみぱぱママが頭を下げて手を出したまま、同時に言いました。
「なんでやねん!」
びままの冷静な突っ込みで、みぱぱママが払うことになりました。