台湾
日本から近くて、日本のような島国。日本語が通じる方も結構いて、治安も良いと思います。
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「おい、みぱぱ、パスポートを持っているか?」
上司のこの一言から始まった、みぱぱの生まれて初めての海外旅行はパスポート作りから始まりました。
卒業旅行で海外に行く人もいるから、新入社員のみぱぱでもパスポートを持っている可能性もあります。
「いや、持ってませんよ」
貧乏学生だったみぱぱは、卒業旅行は九州一周だったため、パスポートなど持っていませんでした。
一応、海外相手に仕事をしている水処理メーカーの就職した時からには、いつかは海外出張に行ってみたいと思っていたみぱぱに早々と海外に行けるチャンスが回ってきたのです。
「じゃあ、すぐ作ってこい。勤務時間に行ってきていいから」
「了解です! で、どこに何しに行くんですか?」
「台湾だ。客先のポンプが壊れたから、新品を持って取り換えてこい」
「ところで、僕と誰がいくんですか?」
「あ!? そんなもん、一人で行くんだよ」
「え!」
国内のメンテナンスは経験があるが、海外は初めての新入社員のみぱぱ。
不安を隠しきれないみぱぱはパスポートを作って、新しいポンプが入庫してくるまで、ポンプの交換のトレーニングを受けました。
慌てて英語の電子辞書を買いに走り、地球の歩き方も購入。
そして、初めての海外。
成田空港から台南へ。
その前に成田空港でひと悶着。
「ポンプが重いんじゃ~エキストラチャージ(追加料金)払え~」
「あ、すみません。カードでいいですか?」
「ええんやで」
一人当たりの預けられる重量が決まっていいることをここで初めて知りました。
普通に海外旅行に行く程度なら、特に気にすることではありませんが、重量物をもっているみぱぱはチェックインで引っかかってしまいました。
そんなひと悶着も日本語なのでまだまだ対応可能。
そして無事に台湾に到着。入国審査場を通り、荷物を受け取り、初めて異国の地へ。
うん、なんか中華料理っぽい匂いがします。
くっそ重いポンプをカートに乗せて、迎えの人を探す。
びくびくしながら出迎えてくれたおっちゃんに連れられて、ホテルへ入るとこの日は終了。
次の日の朝、現場に到着。
「ど~も~。はじめまして、みぱぱと申します」
ポンプが壊れたので相手が怒っていると思っているみぱぱは、ビクビクしながら挨拶をします。
「お~、うぇるかむ、うぇるかむ! 遠い所ようきたな。お茶を出すから、まあ、ここ座ってまっときや。ポンプはこっちに預かるわ」
「それじゃあ、お願いします」
そう言って台湾人のリーさんはポンプを持って応接室を出て行きました。
一人、応接室に残されるみぱぱ。
そわそわしながら、座って待っていたが、待てど暮らせどリーさんが帰ってきません。
早く仕事を終わらせて、落ち着きたいみぱぱはしびれを切らして応接室を出てリーさんを探します。
「お、いた! え!?」
リーさんは数人でポンプを換え始めていました。
あれ? お~い、リーさん、僕はここですよ。なんで勝手に仕事を始めているのですか?
真剣に作業をしているリーさん達を邪魔できず、見守るみぱぱ。
ん? なんかおかしいぞ。
「リーさん、リーさん」
「なんや、みぱぱはん」
「これって上下逆じゃないですか?」
上下似ている形のポンプなので間違うのも仕方が無いのです。でも、よく見ると上下が逆なのですよ。
「おー。みぱぱはん、ありがとね」
「いや~仕事ですから」
「ん?」
「ん?」
そんなやりとりをしながら、無事に修理完了!
運転開始は午後。その前にご飯を食べようとなりました。
お昼は、お弁当が届けられ、みんなと同じお弁当を渡されたみぱぱ。
プラスチックの容器にご飯、その横におかずがどーん。
お米は日本のものとそんなに変わらず問題なし。おかずも一品だけですが、回鍋肉みたいな炒め物で味は濃いけれど、こちらも美味しい。
問題は、それに付いてくる汁物。
お吸い物みたいなものに、レバーが入っている。味も普通。
問題はその入れ物。
なんと、金魚すくいでお持ち帰り用にもらうビニールのような袋。
もうね、中にあるレバーが金魚みたいで、完全に金魚すくいじゃないですか。
それをお椀に移すでも、ストローがついているでもなく、直接飲みます。
美味く飲むリーさん達。見よう見まねで、慣れないみぱぱの口の横からこぼれる汁。
しょうが無いので、外でたべるみぱぱ。天気が良くて良かった~。
午後からの運転確認も順調で、お仕事終了!
「さんきゅー、みぱぱはん」
「いや~無事に稼働して良かったです」
「それじゃあ、あしたは8時にホテルに迎えに行くな」
そう、仕事も終わって、さあ帰国……とは行かないのですね。
帰る飛行機の便が決まっているので、それまでは台湾に居なくてはいけない。
用意されたホテルに泊まり、異国の地で夜出歩くのも怖かったので、ご飯を食べてこの日は終了。
次の日の朝、言われたように8時に迎えのお兄ちゃんがやってきた。
原チャリ、ニケツ、ノーヘルと昭和中期感漂う送迎で連れて行かれるみぱぱ。
「いや~風が気持ちいい~」
そして連れていかれたのが、サンドイッチ屋さん。
メニューはよくわからないので、お兄ちゃんにお任せ。
サンドイッチとミルク。
この字づらだけでは、うん、普通の朝ごはん。
サンドイッチ、パクリ。
「甘い。妙に甘い。甘いよ~」
思わず、みぱぱはつぶやきました
ミルク、ゴクリ。
甘い。
脱脂粉乳に大量の砂糖。
ちなみに、どちらかと言うと甘党のみぱぱ。
でも、朝が弱く、あまり朝ご飯を食べるほうでないのです。
それが朝から甘い物。どちらかが甘くなければよかったのですが、甘い+甘い。逃げ場がありません。
食べ物を残すともったいないお化けが出るので、なんとか完食。
さて、ご飯つながりで夜ご飯で困ったことがみぱぱにありました。
あちらの食堂では、材料が置いてあり、材料をチョイス。調理方法を指定。ご飯か麺か決めて出来上がり。
うん、中国語は話せません。
身振り手振りでなんとか注文。
材料の所に並べてある豚の顔もみぱぱを笑っているようでした。
ちくしょう、勇気を出してあの豚面を食べてやればよかった。
さて、大きなトラブルもなく、帰国したみぱぱは会社に報告しました。客先が勝手にポンプを交換し始めたと。
「ああ、向こうには日本の兄ちゃんがポンプを持って行くからって、言っておいたから」
「はぁ?」
どうやら、宅配便で送るより、みぱぱが持って行った方が、早くて安かったからだそうです。
どうりで、現地の人の対応がおかしかったわけでした。
現地の人はみぱぱをポンプの配達人だと思っていたようです。