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第3話☆バスケの試合


歓声が鳴り響いていた。相手は強豪チームで、あろうことかリチャードのチームは劣勢だった。

僕はこのままリチャードが負けるわけがないと信じて疑わなかった。

「いけぇ!リチャードぉ!!!」

観客席で大声を上げると、一瞬、コートの中のリチャードの視線とかちあった。

ニヤリ。

リチャードは笑った。

ボールを手に入れてドリブル。見事なダンクシュート!

観客席が湧いた。

ああ!悔しい!なんで僕は観客席にいなきゃならないんだ?

来季は絶対、あそこへいってやるんだ!

あの場所には確かに何かの力が満ちている。僕はそのただ中に行ってその恩恵に預かりたかった。

勢力逆転。

リチャードの活躍でチームは勝利した。

金のトロフィー。それをその手につかんだリチャードをチームメイトが胴上げした。紙吹雪が舞い、熱狂した人の顔・顔・顔。

「すごかったわね!」

帰り道。ライラが興奮冷めやらぬ口ぶりで言った。

僕は試合に熱中するあまり、彼女の存在をすっかり忘れてしまっていて、危うく置いて帰りそうになったが、幸い彼女には気づかれてないようだった。

「ああ!でもこれが終わったら期末テストよ!切り替えられる?!」

「やらいでか!負けないぜ」

リチャードなら?絶対全部とっていく!

僕だってやれる!

僕は家に帰るとイヤホンで音楽を大音量で聞きながら外界をシャットアウトして苦手な数学の教科書をノートに書き写して覚えた。集中力!研ぎ澄ませ!

期末テストは学年で五位だった。

二学年上の廊下に貼られた順位を見に行った。リチャードは学年トップだった。

僕は蒼い炎が自分から立ち昇る錯覚を覚えた。

負けるもんか。

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