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第12話 悪戯

 微睡む累の頭上に窓から入る光が差し込み、その眩しさに思わず目を瞑る。

 気が付けば温かい場所で寝ていて、温かさの源に触れると僅かに吐息が漏れた。穏やかに眠っている薫の寝顔は安らかで、思わず口元が緩んでしまう。

「…かおるさん、気持ちよさそうに寝てる…かわいいなぁ…っ!」

 ふとそれに気づいた累は自分の目を疑う。昨晩初めてにも関わらずあんなにも盛り上がった後、そのまま眠落ちてしまったようで、まだ自分の胎内なかに彼のモノが挿入されている感触が残っていた。身動きすればどろりとしたものが敏感な箇所を掠め、更にもう一戦交えてしまいたくなる。しかし体力は尽きかけ、ほぼ限界だ。


 このままお互い裸でいる訳にもいかず、累は薫を起こそうと彼の肩を揺さぶる。一向に目覚めない様子の薫に、累は悪戯心がむくむくと立ち上がってきた。

 薫のあられもない裸体を見下ろし、胸元に手を這わせる。薄紅色の突起を人差し指で擽るように弾き、様子を見た。まだ起きないと分かればその指を増やし、二本の指で挟んで捩る。少しだけ呼吸が早くなったように思うが、覚醒までには至っていない。乳首にキスを落とし、少し前歯で甘噛みしても反応はなかった。

「かおるさん、起きないと…襲っちゃうよ?」

 重たい身体を持ち上げ、薫の腰に跨って尻を浮かせる。昨晩の仕返しをしてやろうとあと少し、というところで累の身体から力が抜けてしまい、尻もちをついた。薫のそれは生理現象故にすでに出来上がっていて、後孔から胎内の奥まで差し込まれたような声にならない刺激が累を貫いた。

「んあっ!?」

 おおよそ人の身体から聞こえたことのない音は、累の最奥──結腸を貫く音だった。自分の重みで自らを窮地に陥れたとは思わず、いわゆる”正常位”ではない状態でどうすれば良いのか分からない。ぺたりと薫の裸体に重なり、懇願するように薫の頬をぺちぺちと叩いた。

「ふぁっ!何、いまの…かおるさっ…はやく、助けて…」

「ふふっ…いっちゃんたら大胆だなぁ…こんな朝早くからエッチしたいの?」

 累の耳元で囁くように笑うと、累の首筋から背中にかけて総毛立つ。すでに目覚めていた様子の薫は累の腰に手を添え、下から腰を突き上げて累の中を掻き回した。ただただ累はされるがままになり、何度も奥を突かれて頭の中はすっかりぐちゃぐちゃになっている。

「ごめっ…なさい…!あぁっ!」

「いたずらっ子にはおしおきしなきゃ、ね?」

「やぁっ…!っむり、腰…砕ける…」

「そしたら僕がおんぶして一緒に帰ってあげるよ」

 コンドームをつけていない状況での性行為はお互い初めてで、累は肉壁で直に感じる薫の熱に浮かされている。すでに累の胎内は蕩け切っており、薫の欲棒をこれでもかとやわらかく包み込んでいる。

「はぁっ…かおるひゃ…きもちい…っ…♡」

 恍惚とした表情のまま、累は自ら腰をくねらせてさらに刺激を求めていた。鈴口の先端から色の薄い精液をぷしゃぷしゃと噴いて薫の腹を漏らしながら。

「ははっ…いっちゃん、すごいえっち…それじゃ、もっとあげるね…っ!」

 薫は思い切り腰を突き上げ、累の奥へと侵入する。身体を震わせて累の奥底に精を放てば、それは断続的に繰り返された。

「いっ、あぁっ、イくっ…!」

 累が腰を仰け反らせ、おおきく痙攣する。射精を伴わず絶頂していることに、本人は気が付いていない。薫が累の細越を引き寄せ、彼の乳首に触れると更に累の胎内は収縮し、薫自身を締め付けた。

「んっ…累…エロすぎるだろ…」

お互い薄れゆく意識の中で、『もう寝込みは襲わない』と心に決めたのだった。

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