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第11話 蜜壺

 二人はズボンと下着を脱ぎ、ベッドの下に脱ぎ捨てる。

 ベッドに横たわる、一糸纏わぬ愛しいひとを見つめて薫は熱い息を吐いた。先程散々弄った乳首は少し赤く腫れあがり、白い肌に紅い鬱血痕が所々に花びらを咲かせている。ここまで煽情的な光景を目にしたことがなく、薫は素直にきれいだと感じた。甘えるように両手を伸ばす累に応え、その手に指を絡めて握った。

「いっちゃん、すごく…エロい」

「ふふっ…こんな身体にしたのはかおるさんなんだから…責任取ってくれよな」

「うん、いっぱいしてあげる」 

 累の身体に覆い被さり、既に頭をもたげているそれを腰ごと擦り付ける。力を失い柔らかくなっているそれに触れると、擽ったそうに累が笑った。

「ふふっ…かおるさん、こんなことどこで知ったの?」

「…知りたい?」

「俺は何だって知りたいよ、かおるさんのことなら」

「なら、教えてあげる…いっちゃんに会えない間、ずっと…頭の中で考えてた」

「えっ?」

「どうしたらいっちゃんの悦ぶ顔が見れるのかなとか、気持ちよさそうに啼いてくれるのかなとか…そして調べて、実行したまでさ。ぼくはドSだからね」

 累は自分の身体が火照って仕方がなくなった。目の前で涼し気な顔をしている麗人が、自分相手にいかがわしい事を妄想していたことなど考えたこともなかったからだ。薫の左手が離れ、そのままお互いの滾りを握り締め擦り合わせている。やわらかい先端同士が触れ合うと、それだけで言葉にならない声が漏れてしまう。薫が累の首筋、鎖骨、胸元と口づけを落とし、強く吸う度に悲鳴が上がった。

「んっ…んぅっ…かおるさっ…はげし…!」

「この後は、どうしようか」

「わ、わかんない…どうしてくれるの?」

「…れるのと、れられるのどっちがいいか選んでいいよ」

 何をどこに、と言う仔細に至るまで、累は本能的に分かっていた。先程ぐずぐずに溶かされるかと思ったあの行為よりも、更に深くまで入り込むのだろうというところまで。

「恥ずかしいから…1回しか言わないよ」

「うん」

「…その…お、俺の中をめちゃくちゃに掻き回して…欲しい…な」

 恥じらい潤む瞳を向けながら小声で懇願する累の顔を見つめ、薫が自分を落ち着けさせようと深く息を吸う。それが何を意味するのか分かっている薫にとって、理性を保つ限界が訪れようとしていた。

「いっちゃん、最初に言っておくけど…もし、苦しかったり痛かったら言って」

「ん、分かった…」

「あと、先に謝っておくね…。ごめん」

 累と繋いでいた手を離し、急いで枕元に備え付けてあるコンドームを手に取った。手早く臍まで反り返る自身に装着し、累の腰を両手で持ち上げる。ひくひくと収縮する累の後孔目掛け、充血しきった楔を宛てがい打ち込もうとした。累は喉をひゅっ、と鳴らしてその衝撃に身構える。

「っ…!」

 めり、と裂けるような衝撃に気を遣られそうになり、累の両手がベッドシーツを掴む。息を吸い、気を抜いた瞬間を逃さず薫が腰を沈め、一気に累の胎内はらに侵入した。

「きっつ…るい、力抜いて、呼吸止めないで」

「そん、な、ことッ…ぐぅっ…」

 薫の指の太さよりもより質量のある熱を感じ、累が涙目になりながらも息を吸い、薫を迎え入れた。

「あっ、あ、かおるさん、でかっ…」

「…これでもまだ、先っぽなんだけどね…。もう少し、入るよ?」

「うん、いいよ…その…おく、まで」

 薫は一瞬息を止め、更に腰を突き出した、すぐに腰を引き、再び沈めると湿り気のある音がする。その音で耳も犯されそうになり、累は喘ぐような呼吸を何度も繰り返した。

「無理…いっちゃんの中、やばい…っ…!」

「かおるさっ、あ、はげしっ」

「まだまだ、もっとちょうだい…」

 薫の抽挿が早く、深くなると先程累が絶頂したあの場所前立腺を強く掠めた。その瞬、間累の身体が歓喜を憶えたかのように反応し、嬌声となって漏れ出る。累の後孔からはいやらしい水音と粘度のある体液が溢れ、累が向かい合っている薫の顔は見たことのない妖艶さを醸し出していた。

「ふふっ…かおるさん、凄いえっちな顔してる…」

「おれは累の顔を見てるだけでイキそうだよっ…!」

 ひと際深く擦りつければ、累の括約筋がおもいきり薫を締め付ける。その締め付けは体感したことがないもので、薫の想像を絶する以上に大きな波が押し寄せてくる。

「ふぅっ…でそ…」

「んっ、いいよ…あっ…俺も無理…っ!」

「ぐぅっ…!」

 薫の先端が累の”いいトコ”を突くと、ほぼ同時に二人は精を吐き出した。累の先端が薫の腹に、薫の熱芯が累の胎内に向かって白濁をぶちまけ、頭の中が真っ白になり、目の前がチカチカと明滅して快感以外のものが吹き飛ぶ。

 息は荒く心臓が壊れる程に早鐘を打ち、全力疾走した時よりも大きな疲労感が押し寄せてきた。そのまま薫は累の身体に、汗ばむ肌を重ねる。

「はぁっ…はぁっ…」

「…どう?すごかった…?」

「その…薫さんがあまりにも…かっこよくて…」

 顔を赤らめる累の頬に、薫が口づけ耳元で笑う。

「…そこは『きもちよかった』、でしょ?」

「っ…!耳、だめ、反則…」

「今度は耳からイかせてあげるね」

 まだ知らない深い場所の快感に、累はうっとりと笑みを浮かべた。

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