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第150話《記憶喪失篇》取り戻す記憶


リファリアside


ルミ様が狙われて以降、護衛が増えたためイチャイチャ出来なくなった。

気に入らないが仕方ない。

ルミ様を狙う悪党を倒せばいい。

そんなことを考えながら、《エグゼイド》の広間でお茶を飲んでいたのだが。

ドカーン!という音がルミ様の病室から聞こえて来た。

まさか……!!

ルミ様……っ!!

私は《アムールエスパーダ》を抜きながら病室へと向かった。

ルミ様の病室を見据えた時にはドアは開け放たれ、護衛が倒れていた。

そして、悪党がルミ様に剣を持って近づいていた。


「《ライトニングソニック》!!」


私は雷魔法と共に悪党に激突し、そのまま屋外へと吹っ飛ばす。


「ぐああああっ……!!」


悪党は腹を抑えながら立ち上がる。


「ルミ様から離れてもらいます」


そう言って私は《シエル》を展開して悪党と共に近くの平原まで移動した。


─────────────────────

「ぐっ……!!」


目的地に到着した私は悪党を地面に投げ捨てる。


「あなたは何者ですか?」

「これはこれは申し遅れました。私の名はジュジュ。ゲリオン様の忠実なる人形しもべにございます」


ジュジュと名乗った悪党は紳士的な挨拶をする。


「ゲリオンは死んだはずじゃ……」

「あなた方が知る必要はありません」

「なら、力づくで聞かせてもらうとしましょうか……!」

「私はあなたを倒してルミエール=ラウエル殿を殺すので不可能です」

「そう簡単には倒せませんよ?」


私は《アムールエスパーダ》を構える。


「そうですか。では、楽しませてくださいね?」


そういうとジュジュは容赦なく突っ込んでくる。


「ふっ!はっ!はああああっ!!」


剣での連撃は凄まじい速度で、普通の人間では目で追えないだろう。

これなら護衛達が軒並み倒されたのも納得がいく。


「《エアリアルボム》!!」


距離を詰めたらマズいことがわかったので、魔法で牽制し、距離を稼ぐ。


「どうしました?手応えがあまりないのですが」

「様子見していただけですよ。《バーニングストライク》!!」


私は炎を纏った斬撃を放つ。


「ぐっ……!!素晴らしい力です……!!努力量が伺えますね……!!」

「ありがとうございます」


私は距離を詰め、右足を踏み込み。


「《ハイドロ》!!」


水を纏った蹴りを入れる。


「ぐあああっ!!」


私の蹴りがヒットした直後、大きな爆発が起きる。

これはいつぞやの戦いでデリュートがやっていた技だ。

火属性と水属性を交互に放てば爆発が起きる。


「なかなかやりますね……おかげで剣もボロボロです」


そう言ってジュジュが剣を指で軽く弾くと、簡単に削れた。

これもルミ様が言っていた。

温度を極限まで上げた状態から一気に冷ませば、物体は壊れやすくなる。


「では、今度は肉弾戦といきましょうか」


そう言ってジュジュは構える。

私はそれを見て《アムールエスパーダ》を仕舞い、同じく構える。

日頃の練習の成果を発揮する時!!


「ふぅ〜……」

「「ふっ!!」」


私たちは一進一退の攻防を繰り広げる。

拳を放てば避けられ、放たれれば避け。

蹴りを放てば防がれ、放たれれば防ぐ。

それを凄まじい速度で繰り返す。


「「はぁはぁ……」」


あまりに互角すぎて、お互いに息を切らす。


「なかなかやりますね……どうです?一緒にゲリオン様の元で働きませんか?」

「冗談を」

「そうですか。残念な限りです」


私は右足を踏み込み。


「《ライトニング》!!」

「はああああああっ!!」


お互いに上段回し蹴りを放ち合い、頂点で膠着する。


「「はあああああああああっっっ!!」」


負けられない。

ルミ様を守るんだ……!!


「はあああああああっ!!」


私の蹴りはそのままジュジュを吹き飛ばす。


「ぐあああああっ!!」


ジュジュは地面を転がる。


「はぁはぁ……」


そんな時だった。


「リファ!!」

「ルミ様!?」


そこには何故かルミ様がいた。


─────────────────────


「おや……まさか獲物の方から寄って来て頂けるとは……私、俄然やる気が出て来ましたよ」


ジュジュから先程までとは比べ物にならないほどの魔力を感じる。


「これは……!!マズい……!!」

「すべて消え去りなさい!!」


ジュジュは魔力の塊を放った。


「ルミ様っ!!」


私はすぐさまジュジュとルミ様の間に割って入る。


「ルミ様っ!!逃げてください!!」

「でも……!!」

「いいから!!逃げろ!!」


私に言われてルミ様はその場から離れる。

そして、私が耐えるのも限界を迎えて。


「うあああああああああっっ!!」


その攻撃をまともに喰らい、その場に倒れ伏した。


「ルミ…様……逃げ、て……」


そして、そのまま意識を失った。


「リファああああっ!!!」


─────────────────────


ルミエールside


目の前でリファがやられた。


「リファああああっ!!!」


私のせいで……!!


「どうやら時間切れのようですね?」


そう言ってジュジュと呼ばれた暗殺者は剣を生成して振りかぶる。


『どんなルミ様でも、私が、カーニャが、メディが、リスカルが、家族が、国民のみんながきっと支えてくれるはずですから』


そんな言葉が聞こえた。


『迷ってる方が苦しむなら私は一歩踏み出す。何もない私が変わるために!だから、リファリア=リヴェルベロさん!私と、結婚してください!』

『はい!喜んで!』


なんで忘れてたんだろう……


「さようなら!!」


剣が振り下ろされる。


「悪いな、良いところだから邪魔すんな」


振り下ろされた剣をリュウギが完全に受け止めていた。


「何!?」

「はあああっ!!」


リュウギはジュジュを蹴り飛ばす。


「アイツに相手は俺に任せとけ」


そう言ってリュウギはジュジュの相手を始めた。


『私は受け入れる。私自身の弱さも、悲しみも、怒りも、疑問も、全部。それらを全部ひっくるめて私だから』

『ははは……随分と傲慢なやろうだ』

『勿論、あなたも!』

『いいだろう!!その傲慢さと心意気気に入った!貴様に力を貸してやろう!好きに使え!!』


そうだ……そうだった……!!


『でも、私はルミ様が悪いなんて一度も思ったことありません。むしろ感謝しています。あの時ルミ様がいなければと何度思ったことか……それにルミ様がいたからこそ今のみんながいると思いますよ?記憶関係なしにカーニャやメディ、リスカル達と会ったんじゃないんですか?ルミ様がいなければきっと、みんなが不幸な結末を辿ったはずです。しかし、あなたはそれを救った。違いますか?それでも自分を許せないのなら許せるまで戦い続ければいいじゃないですか。いつも、そうして全てを解決してきたように』


色んなことがあった。

嬉しいこと、怒ったこと、哀しかったこと、楽しかったこと。

どれも忘れたくない、大切な記憶の1ページ。

なんで忘れてたんだろ……

大好きなみんなのこと、好きで好きでしょうがない[[rb:婚約者 > リファ]]のことを。


─────────────────────


リファリアside


私はゆっくりと目を目開く。


「ルミ…様……?」

「リファ……」


その瞬間、私の唇に柔らかいものが当たる。

そして、速攻完全薬が流れてくる。


「後は任せて」


そう言ったルミ様の表情はいつもの凛々しく、たくましいものだった。

私は少し笑って再び意識を失った。


─────────────────────


ルミエールside


意識を失ったリファを木の根元に移動させると、ジュジュと対峙する。


「《ヴァニタスインパクト》!!」


私は一気にジュジュとの距離を詰め、お腹に一撃ぶち込む。


「あがあっ!!」


ジュジュはそのままかなり吹っ飛ぶ。


「全く……時間かかりすぎだっつうの」

「ごめんごめん!でも、もう大丈夫!」

「フッ、そうみたいだな」


そう言ってリュウギは私の体に戻った。

私は《パンドラ》を飲み、準備運動する。


『戦っててわかったんだが、アイツは人間じゃない。ただの木偶の坊だ』

『なるほど!』


魔物と一緒ってわけね!

ジュジュは立ち上がり剣を抜いて切り掛かってくる。


「行くよ?」


私は《ファンタズムエッジ》を抜いて鍔迫り合いする。

右足を踏み込み。


「《ダイナマイトヴァニタスキック》!!」

「ぐあああああっ!!」


私の蹴りが側頭部に直撃し、ジュジュは吹き飛ぶ。


「その程度じゃ相手にならないよ!」

「くっ……!!」


するとジュジュは分身した。


「これならどうですか!!」

「分身の相手はすでにしてるよ!」


私は魔石を取り出し、《ファンタズムエッジ》へと変え、二刀流で全部殲滅していく。


「見つけた!!」


本物を見つけた私は、両足で踏み込み。


「《ダイナマイトヴァニタスキック》!!」


ドロップキックをかました。


「ぐああああっっ!!」


ジュジュはそのまま後方に大きく吹き飛ばされる。


「さあ、決めるよ!《[[rb:諸刃の剣 > リミット・オーバー]]》!」


二本の刀身を長くして。


「《ツインダイナマイトヴァニタススラッシュ》!!」


私は二刀流で連撃を放った。


「ぐああああああっ!!」


そしてそんな雄叫びを上げ、ジュジュは土塊へと変貌した。


「泥人形ってことだったんだ……」


私は武器を仕舞い、リファを後ろに乗せて、《エグゼイド》へと戻った。


─────────────────────


「ルミっ!!」


私が《エグゼイド》に着くと、不安そうな表情のメディが話しかけて来た。


「ありがと」

「え?」

「みんなが色々頑張ってくれたのもちゃんと覚えてるから!」

「もしかして……?」

「うん!思い出したよ!」

「よかったっ!!」


そう言ってメディが抱きついてくる。


「全く、本当に美味しいところだけ持っていくんですから」

「リファ!起きてたの!?」

「ええ。戦闘の最後の方から起きてましたよ?」

「じゃあ、自分で乗ってよ〜!」

「いやです。心配させた罰です」

「ごめんって!!」

「あとついでに言っておきますけど、例え記憶を失ったとしても、私は絶対に思い出します。あなたを忘れることはないですから」


そんな会話をした後、アトリエに戻った。


「たっだいま〜!!」

「ただいま戻りました」

「「ルミ(様)!!」」


そう言って二人が飛びついて来た。


「すまん……私の魔力のせいで……!!」

「良いの良いの!あれは私も悪いんだから!」

「どういうことですか?」

「そうだ!リファ!これに回復魔法をかけてくれない?」


そう言ってリファに《魔法封印魔石》を渡す。


「良いですけど……《ヒール》。出来ました」


私はそれを指輪の金型に入れて、自分に傷を作る。

すると。


「回復した……!!」


成功だ。

二ヶ月間かかった実験がついに成功した!!

これで理想の構造に落とし込むだけだ!!


「フッフ〜!!」


私は興奮気味に工房へと入っていった。


「あの人は相変わらずですね」

「あれでこそルミ様です」

「だな!」


そんな言葉も聞こえてはいなかった。

─────────────────────


今回のために発明したのが《魔力金属》だ。

これは魔石の金属版といった性能をしている。

これをリング状に加工して……

それで、内側に回復魔法の魔法陣を刻んで。

ついでにR&Lとも刻んでおこう。

もちろんRはRihwa(リファ)で、LはLumière(ルミエール)だ。

それで、今まで魔石を嵌めていたところに、宝石を嵌めれば……!!


「完成!!」


私は完成した指輪リカバリーリングを箱に入れて、工房を出て、ソファーでゆっくりしているリファに声をかける。


「リファ!」

「なんですか?」

「ちょっとこっちに来て!」


私はリファを呼ぶ。

そして、片膝を着いて。


「改めて、これからもよろしくお願いします!」


そう言ってケースを開いた。


「おぉ〜!」

「ようやっとですか……」


外野がうるさいが気にしない。


「ルミ様……!!」


リファは涙を溢していた。


「リファ、手を出して」


リファは言われた通りに手を出す。

そして左手の薬指に指輪を嵌める。


「私にも嵌めて?」


そう言って指輪を渡して手を出す。

リファはそれを受け取り、私の左手薬指に指輪を嵌めた。


「これに魔力を込めると、お守りになるの!だから、リファ、この二つに魔力を込めて?」

「わかりました」


そう言ってリファが魔力を込めると。


「宝石が光った……!」

「綺麗でしょ?これ、怪我したら自動治癒してくれるんだ〜!私、このために魔力の相性のいい人探してたんだ!」

「だからあんなことを………」


カーニャが納得したように言う。


「ルミ様、ありがとうございます!」


リファは満面の笑みを浮かべた。


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