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第147話《記憶喪失篇》メモリー・オブ・カーニャ


ルミエールside


「───っん、う〜ん……」


私が目を覚ますと。


「ルミ様!!」


心配そうに覗き込んでくる女性がいた。


「ここは……」

「《エグゼイド》ですよ」


《エグゼイド》……?


「日本じゃ、無いの……?」

「日本……?」


私は体を起き上がらせて、周囲見る。

外国人のような風貌の人たちに、中世の様な建物。


「私……誰……?」

「えっ……?冗談ですよね?ルミ様……?」


引き攣った笑みでそんなこと言ってくる。


「ルミ……?」

「それが私の名前……?」


日本人の名前じゃ無い……

どういうこと?


「まさか、記憶を……」


医者っぽい風貌の女性が言ってくる。


「そんな……」


ショックを受けた女性は病室を出て行った。

それから私は色々と説明してもらった。

ちょうど説明が終わった頃。


「ルミ様……?」

「───あなたは、誰?」


入ってきた二人にそう聞いた。

すると二人は硬直してしまった。


「覚えてないんですか……?」

「ごめん……何にも思い出せない……」

「そんな……」

「───悪い。外す」


そう言って一人が病室を出て行った。


「は、初めまして、リファリア=リヴェルベロです……」


リファリアと名乗った子は声を震わせながら言ってくる。


「思い出せなくて、ごめん……」


リファリアに私は目を合わせられなかった。


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リュウキside


私のせいだ。

私があの魔石に魔法を使ったから……!!

病室を出た私は椅子に座って頭を抱えていた。


「リュウキ……」


カーニャが心配そうな声をかけてくる。


「私のせいで……」

「違います」

「違わない」

「違います!!」


カーニャが私の両肩を掴み、声を荒げる。


「ルミ様は言ってました……実験に失敗は付きものだと。ルミ様はこれまでに何度も失敗してきました。私はルミ様を信じています。あの人なら、きっと戻ってきてくれると。だから、私はルミ様に話そうと思います。私達の記憶を」

「カーニャ……」

「なら、私もやります」


ふと見ると、リファがいた。


「いつまでもクヨクヨしてられません。ルミ様ならきっと大丈夫ですから」


口では気丈に振る舞っているが、その手は震えていた。

カーニャはそんなリファの手を包み。


「そうですね。そう信じてますから」

「いいわね。確かに今のルミに私たちの知っていることを少しずつ話していれば思い出してくれるかもしれないわね」


いつの間にか現れたメディもそう言う。


「では、私行って参ります」


そう言ってカーニャは病室へと向かった。


─────────────────────

カーニャside


「失礼します」


私が病室に入ると、ルミ様は本を読んでいた。


「カーニャ、だっけ?」

「はい。ルミ様の専属メイド、カーニャにございます」

「ごめんね、迷惑かけて」

「いえ、いいのです」


私はルミ様のそばに椅子を置いて座る。


「何か話に来たんでしょ?」


私が何から話そうかと考えているとルミ様はそんなことを言う。


「変わりませんね……では、私との出会いから話しましょうか」


─────────────────────


今でも覚えている。

忌々しいあの記憶。

家族はバラバラになり、クソ貴族に仕えていたただの人形だった。

何の感情もない。

全てを受け入れていた。

暴力も、性暴力も。

ルミ様はそれを救ってくれた。


「君はもう自由だ。好きな様に過ごすといい」


私は決めたのだ。

この人に一生着いていくと。

それから色んなことがあった。


「分かったらこの子に二度と近づかないで」


迫ってきたお父様を撃退したり。


「ルミ……様……!!」

「まだお風呂入ってないから汚いよ?」

「そんなの構いません!!今は……今は……こうさせてください……」

「心配かけてごめんね、カーニャ。それと……ただいま!」

「はい!おかえりなさい!」


三ヶ月会えない時もあったり。


「カーニャ、リュウキ!ちょっといいかな?」

「はい。なんでしょうか?」

「もしかして《ロイヤルユートピア》の話か?」

「そう!二人にお願いしたいことがあって!」

「なんでしょうか?」

「カーニャには派遣部署ガジョンブの派遣総括長に、リュウキには訓練部署シュタルクの長官になって欲しいの!」

「ほう。別に構いませんよ」

「本当に!?」

「ああ。家族の願いを無碍にする奴がどこにいる?」

「ありがとう!後で色々と話すから!」


ルミ様が組織を作ったり。


「まさか、ここまで考えていたとは……」

「驚いた?」

「ええ。ルミ様が石化しているのを魅せられた時は絶望感が凄かったです」

「ごめんごめん!」

「やはりルミ様には敵いませんね」

「ありがと」

「助けて貰いましたし、今回の件は黙っておいてあげます」

「ほんと!?ありがと〜!」


石化された私たちを救ってくれたり。


「助かったよ……カーニャ」

「全く……あなた様はいつも無茶をしますね……!」

「そうしないと生きていけない性分なんでね?」


逆に命を救ったり。


─────────────────────


ルミエールside


「そんなことがありましたね」

「なんか、私結構壮絶な人生送ってるね」

「そうですね。あなたは本当に無茶苦茶です」


ひ、酷い……


「他はなんかあった?」

「えっと……ちょっとエッチな話になりますが大丈夫ですか?」

「エ、エッチ!?な、あ、え!?」

「まあ、話しますね」


カーニャはそう言って話し始めた。


─────────────────────


カーニャside


「っ……♡……んっ♡……ん……っ♡……んん……ああ……♡」

「どうしたんです?そんなにエロい声出して」

「っ……♡……これはっ♡……カーニャがぁ……無理やりっ♡……んん………♡」

「その割には嬉しそうですね?」

「んああっ!?……っあ、あ、あぁっ……♡」

「気持ちいいですか?」

「っ……♡……んっ♡……き、気持ちいいっ……んっ♡」

「んぁんッ♡♡♡ぅう、ふぅぅ♡♡♡♡ん、んんぁ♡♡♡♡」

「はぁはぁ…… 」

「では、終わりにしましょうか。」

「や、やぁだ…… ♡♡」

「何がですか?」

「もっとぉ…… ♡♡♡もっと気持ちよくしてぇ…… ♡♡♡♡」

「ほう?貴方は第四王女ですよね?それがこんな変態なんですか?」

「私は変態ですぅ……だからぁ……お仕置きしてくださいぃ…… ♡♡♡♡」

「いいですよ?変態王女さん♡」


初犯はくすぐり靴の際。


「さて、じゃあルミ、このコップの中に尿を入れてくれるかしら?」

「わかった」

「何?」

「どこに行こうとしているの?」

「トイレだけど?」

「ダメよ」

「なんで」

「逃げるかもしれないでしょ?だから目の前でしなさい?」

「嫌だ」

「じゃあ女王様に告げ口するわよ?」

「私の方が正しい!」

「いいのね?『ルミが尿検査を頑なに断って、殴ってきました』と告げ口しても」

「圧倒的風評被害!!」

「どうするの?」

「………」

「わかった!ここでするから!」

「よろしい」


健康診断で放尿を見たり。


「知ってますか?最近、暑いので足が蒸れてるんですよ」

「待って!」

「私の足の臭い、どうでしょうか」

「んぐ!?」

「おや、従者に踏まれただけで潮を吹いたんですか?」


ルミ様を踏んだり。


「無様ですね……」

「カーニャの足、くっさぁ……♡♡」

「さて……じゃあもう終わりにしましょうか」

「待ってぇ……♡♡もっとぉ……♡♡もっとくすぐりながら踏んでぇ……♡♡」

「はぁ……それが人にものを頼む態度ですか?」

「カーニャ様ぁ♡変態な私を踏みながらくすぐってください♡」


次犯はくすぐり靴のリベンジだったり。


─────────────────────


ルミエールside


「……………」


いや、私ド変態じゃん!!

私は非常に混乱していた。

え?

何それ!?

私凄すぎるでしょ!?

何くすぐり靴って!?

何!?

マミフィケーションのやつって!?

技術力おかしいでしょ記憶のある私!!


「大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫……記憶のある私にちょっと混乱していただけだから……」

「そうですか……」

「では、私はこの辺で失礼しますね」


そう言ってカーニャは出て行った。


「はぁ〜〜………………」


私は長く深いため息を吐いていた。

何でこんなことに……

そして私はそのまま眠った。


─────────────────────


「ここは……?」

「記憶失くしてるからわかんねえか」


畳とちゃぶ台があり、座布団の上には一人の男が座っていた。


「あなたは?」

「俺はリュウギ。お前の仲間だ」

「そうなんだ……」


私はリュウギと向かい合うように座布団にあぐらをかいて座った。


「俺も、お前の記憶修復に協力しようと思ってな!」

「ホント!?」

「ああ、俺との出会いと和解をな!」


そう言ってリュウギは語り始めた。


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リュウギside


「うおおぉぉぉぉぉ!!」

「届けえぇぇぇ!!」

「行っけえぇぇぇぇ!!」

「グロウオォォォォ!!!!!!」

「《[[rb:諸刃の剣 > リミット・オーバー]]》!!!」

「はああぁぁぁぁぁぁ!!!」

「グロウオォォォォ!!!!」


俺はルミとの対決に負け、命を落としたはずだった。

しかし、ルミが《パンドラ》を開発したおかげで、ルミの中で魂だけ生きながらえた。

なのにルミは俺に見向きもせず、力だけを求めた。

だから、俺は時々体を乗っ取ってやっていた。


「あなたが私の《スタンピード》状態の時の主人格ね?」

「ああ。やっぱり俺も暴れたいからな」

「だからって人の命まで奪う必要はなかった!!」

「それはそうかもな」

「だから私はあなたを倒してこの力を制御する!!」

「お前ごときにそれが出来るとでも思っているのか?」

「うん!!」


ようやく振り向いたアイツは俺と戦った。

俺を倒して制御するために。


「ふふふっ」

「何がおかしい?お前は追い詰められているんだぞ?」

「追い詰める……?これが?私の心を読める癖にダメだね〜!」

「なんだと?」

「むしろ感謝してるよ」

「は?」

「私に大事なことを思い出させてくれたことをね?」

「大事なことだと?」

「そう!あなたが言ったのは確かにその通り。そう思ってるよ」

「だったら!!」

「でも、私はそんなのを気しないくらい今が好きなの!リスカルがいて、メディがいて、カーニャがいて、オニキスがいて、リファがいる。そんな家族との日々は私の弱さを埋めてくれる」

「だが、お前は俺には勝てない!!」

「もう勝つつもりはないよ!」

「なんだと……?」

「私は受け入れる。私自身の弱さも、悲しみも、怒りも、疑問も、全部。それらを全部ひっくるめて私だから」

「ははは……随分と傲慢なやろうだ」

「勿論、あなたも!」


その時に確信した。

コイツといれば面白くなる。

もっともっと高みを目指せる。

それと同時に、コイツを守ってやらなきゃという思いにも駆られた。


─────────────────────


ルミエールside


「ってのが、俺とお前の出会いと和解だな!」

「そうだったんだ……」


記憶のある私はちゃんと向き合ったんだ……

自分から逃げずに。

そういうのは尊敬するな〜……

今の私ならきっと逃げてしまいそうだから。


「大丈夫だ」

「え?」

「お前はお前だ。記憶を失ってもルミエール=ラウエルはここにいる」


そう言ってリュウギは私の胸に拳を当ててくる。


「絶対に思い出せるさ。お前なら、アイツら全員のこと、きっと」

「うん!それで、一つ聞きたいんだけど……」

「なんだ?」

「エ、エッチなことって……」

「ぷっ!ははは!あははははははは!!お前、やっぱり面白えわ!!お前、記憶無くなると変態じゃなくなるんだな!」

「えっ、や、やっぱり記憶ある私って変態だったの?」

「ああ!俺も長い時を生きたが、ここまでの変態は見たことがねえ!」

「そ、そんなに言う!?」

「ああ!それくらいには変態ってことだ!あはははははははははは!!」


リュウギは笑い転げながらそんなことを言ってくる。


「わ、笑いすぎだよ!!」

「悪ぃ悪ぃ!せっかくだから聞かせてやるよ!お前が一人で経験した変態的な行動を!」


そう言ってリュウギは語り始めた。


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