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第38話《砂漠の国篇》乾いた国

ルミエールside

へスマイルを出立して二日、私たちは《デザーサンド》に到着していた。

「着いた〜!にしても……」

「「暑い……」」

私達はハモった。

ま〜じで暑い……

40℃くらいあるんじゃないの……?

「考えてることは一緒みたいですね」

「それ以外考えられないでしょ!」

「とりあえず衣装チェンジです」

マジでやばいのは靴だ。

蒸れすぎて気持ち悪い。

素足履きだから尚更気持ち悪い。

私とリファは早速服屋に入る。

「とりあえず靴から見よう!」

私はすぐにでもブーツを脱ぎたかった。

この国では裸足で歩いている人も珍しくはない。

けど、この日光によって地面はアツアツ鉄板くらいになっている。

だから裸足で歩くと足裏を火傷してしまう。

そんな時こそ、私が開発して輸出したサンダルの出番だ。

サンダルといってもたくさんの種類がある。

トングサンダルやグルカサンダルなどなど。

でも今回はスポーツサンダルにする。

理由は二つある。

まず、動きやすい。

他のサンダルだとどうしても脱げやすかったりするから適任だ。

もう一つは単純に好きだからだ。

こういうスポーツサンダルに私は謎のエロスを覚えていた。

なんか、縛られてるみたいでいいじゃん?

靴はこんなところで服は単純なワンピースだ。

武装はどうするんだって?

そんなのはオニキスの影に潜ませてるに決まってるじゃん!

「決まりました?」

「うん!」

その後会計し、店の外へと出た。

ところで日光すごいけど、日焼け大丈夫かって?

そんな物日焼け止めを開発してるに決まってるじゃない!

日焼け止めは意外と作るのに苦戦した。

まず、日焼け止めに必要なのは水や油などのベース、紫外線吸収剤 、紫外線散乱剤 、保湿成分などのその他添加剤の4つだ。

ベースはいいとして、残り三つを見つけるのに苦労した。

あ、ちゃんとノンケミカルバージョンも作ってある。

これを自国で販売したら物凄い人気になった。

まあ、私の作る発明品は色々と人気なことが多いけど!

「さて、どうする?」

「とりあえず、宿をとりましょうか」

「そうだね!」

私たちは手頃な宿を見つけ、チェックインした。

「じゃあ、ご飯食べに行こうか!」

「はい」

私たちが食事に行ったところで問題が発生した。


─────────────────────


「どうなってんだ!高すぎるだろ!!」

私たちが店のドアを開けるとそんな怒鳴り声が聞こえてくる。

「しかし、これが料金ですので……」

客に気圧され、店員は腰が引けている。

「はいはい!そこまでそこまで!どうしたんですか?」

「ここは大衆食堂なのに金が高すぎるんだ!」

「伝票見せてくれます?」

客から受け取った伝票を見ると、確かに普通の大衆食堂ではありえないような値段だった。

「昔はもっと安かったろ!!」

「すみません……深刻な食糧不足で……こちらとしても苦渋の決断で……」

「おじさん、ここは私が払うよ!」

「だが……」

「いいのいいの!これもきっと何かの縁だから!」

そう言って私はおじさんの分のお金を払う。

「ありがとう。助かったよ!」

「またどこかで!」

「ああ!」

そう言っておじさんは店から立ち去った。

「ルミ様」

「うん。わかってる」

「い、いらっしゃいませ?」

「二名で!」

「はい!」

店員はパアッと顔を明るくして、席に案内してくれた。

「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください!」

そう言って店員は奥に下がる。

「リファの言いたいことはわかるけど、とりあえず注文しよっか!」

「はい」

私たちは料理を注文した。

「ルミ様はどう思いますか?」

「何かあると思うな〜!」

到着した注文品を食べながら、リファに答える。

そう、私たちが引っ掛かっているのは『物価の上昇』だ。

この国に来てから色々とお金を使ったが、服もサンダルも宿の宿泊料金も他の国と変わらないような値段だった。

しかし、食料。

この一点だけに関しては他の国の二倍以上の値段になっていた。

《デザーサンド》の食料のほとんどは《アグリ農国》からの輸入だ。

あのアグリュート王のことだ。

結構多めに渡しているはず。

とすれば食料の物価が上がるなんてことはないはず。

可能性は二つ。

一つは前提条件の間違い。すなわち、アグリュート王が輸出を制限している可能性。

もう一つは輸入量は変わっていないが、誰かがそれを独占している可能性。

個人的には後者の方が高いと思っている。

まあ、確認しないと何の確証も得られないので、オニキスに頼んで影を移動して貰い、手紙を渡してもらうことにした。

「「ごちそうさまでした」」

しっかりと料金を払い、私たちはとりあえず、宿に戻った。

「疲れた〜!」

「ですね……」

「サンダルなんて久しぶりに履いたよ〜!リファは靴擦れとかしてない?」

「はい。大丈夫です。けど、足裏が砂だらけですね」

そう言ってリファはサンダルを脱いで、足裏に付いた砂を手で払う。

個人的にこの国の好きな点の一つだ。

周囲の人は意外と嫌がるのだが、リファはチャレンジ精神が強い。

田植えの件然り。

だから、リファがサンダルを履いてくれるという時点で個人的には舞い上がりたいレベルに嬉しかった。

私の発明品を使ってくれていることも嬉しかったが、何よりもリファの裸足が見られるというのが非常にいい。

リファも私と同じ、スポーツサンダルにしたのだが、足指が見えるのがなんかエッチな感じがしていい。

そんなことを思っていると。

「私の足で興奮しないでください。ルミ様の足裏も似たり寄ったりでしょう?」

「そうだけど」

「砂払わないんですか?」

「払うけど……」

そう言って私もサンダルを脱いで足裏を見てみる。

結構砂ついてるな……

自分の足裏が汚れていることにも若干の興奮を覚えている。

「よし!手紙書くか!」

砂を払い終えた私は、アグリュート王への手紙を書き、オニキスに渡した。


─────────────────────


リファリアside

大衆食堂での一件を終え、私達は宿に戻ってきていた。

「疲れた〜!」

「ですね……」

「サンダルなんて久しぶりに履いたよ〜!リファは靴擦れとかしてない?」

「はい。大丈夫です。けど、足裏が砂だらけですね」

そう言って私はルミ様とお揃いのスポーツサンダルを脱ぎ、足裏を見る。

結構砂ついてるな……

私が砂を手で払っていると私の足に視線を感じた。

払いながら、横目で見てみると、ルミ様が私の足裏をガン見していた。

本当にこの方は足が好きですね……

「私の足で興奮しないでください。ルミ様の足裏も似たり寄ったりでしょう?」

「そうだけど」

「砂払わないんですか?」

「払うけど……」

よし!上手いこと、ルミ様のサンダルを脱がせる方向に持って行けた!

嬉しすぎる!!

ルミ様の足裏なんて見るの久しぶりだし!

ウキウキが止まらない!!

そんなことを思っていると、ルミ様も私と同じように足裏に付いた砂を払い始めた。

私はバレないように横目でルミ様の足裏をじっくりと観察する。

ああ〜……いい形……

流石にさっきの発言がある以上、マジマジと見つめるわけにはいかない。

でも、このバレるかバレないかの狭間のスリルも足裏観察の楽しみだ。

「よし!手紙書くか!」

そう言ってルミ様は宿の机に向かってペンを執った。


─────────────────────


ルミエールside

オニキスによると、手紙を届けるのに片道一日はかかるらしい。

まあ、すごい離れてるしね!

ということで今日は、後者の可能性を調べるために図書館に来ていた。

食料不足がいつから発生していたかを確認し、その前後でめぼしい事件がないか確認するためだ。

私も《デザーサンド》には幼少期に来たことはある。

しかし、その時は食料は一切不足していなかった。

確か、私がこの国に最後に来たのは6歳の時だから、10年前か!

「リファ、10年前の資料から調べていくよ!」

「はい」

私とリファは図書館にある本を10年前からの本に全て目を通す。

色々な事件がある。

誘拐事件に、殺人事件、強盗殺人事件に、詐欺事件。

やはり、犯罪は他の国並みにある。

だが、事件には一切関わりのあるようなものはない。

一体何が……

「ルミ様、これを見てください」

何が原因か分からず、困っているとリファが声を掛けてくる。

そう言って見せてきた内容は、5年前の記事だった。

そのタイトルは。

『デザーサンド国王、崩御』

「なるほど……」

私は何となく、この事件の本筋が見えた気がした。

王の交代が原因……?

でも、確証はない。

だからまず、アグリュート王の言質をとっておきたい。

だが、王が直接交易に関われるものなのだろうか?

少なくともラルジュ王国では、交易専門の貴族に任せている。

このことを鑑みると、交易専門の貴族がグルの可能性がある。

まあ、王は知らない可能性があるけど。

うん、色々と情報がない。

もう少し調べてみる必要がありそうかな……

「あの、もう閉館時間なんですけど」

「「えっ」」

私たちは外を見ると既に夕暮れだった。

「とりあえず帰ろっか!」

「はい」

私たちは宿に戻った。


─────────────────────


『主〜!手紙〜!』

宿に戻ってから少しするとオニキスが影から出てきて、手紙を渡してくれた。

「ありがと、オニキス!」

私はオニキスを撫でる。

『えへへ〜!』

私は届いた手紙を開いてみる。

『ルミエール殿。お手紙拝見致しました!《デザーサンド》との交易の件ですが、交易を始めて以降、輸出量は一切変えていませんな!ですので、《デザーサンド》の食料が不足することなんてあり得ませんよ!』

とのことだった。

これではっきりした。

今回の敵は100%貴族関係だ。

なら、確実な証拠を固め、潰すのみ!

それにしても《デザーサンド》の王が崩御、かぁ……

10年前の時点で40歳、5年前の時点で45歳。

流石に若すぎる。

病だという噂も聞かなかった。

何か裏がありそうだ。

まさかとは思うが、へスマイルみたいに国が乗っ取られているのか……?

「う〜ん……」

「そんなに悩んでどうしたんですか?」

「事件の本筋は見えたけど、色々と足りなくて……」

「じゃあ今日はとりあえず寝ませんか?」

そう言ってリファは窓の外を指差す。

すると真夜中になっていた。

「そだね、寝よっか!」

私たちは就寝した。


─────────────────────


翌日、私は事件についての情報を集めるため、私は聞き込みをしていた。

「あの、聞きたいことがあるんですけど!」

「なんだ?……って昨日の!」

「おじさん!」

「自己紹介してなかったな!俺はグラスだ。よろしく」

「ルミエール=ラウエルです!こちらは私の弟子の……」

「リファリア=リヴェルベロです」

「ルミエール=ラウエル!?」

「はい!」

「ラルジュ王国の王女じゃないですか!?」

「しーっ!声が大きいよ!一応そういう素生は隠して来てるから!」

「すいません!」

「それと敬語じゃなくていいよ!」

「しかし……」

「今ここにいるのは王女じゃなくて冒険者だから!」

そう言って私は冒険者カードを見せた。

「ミ、ミスリルランクですか!?」

「そうだよ!王女だからって舐めないでよね?」

「それで何を聞きたいんだ?」

「今のこの国の貴族と王族について」

「あ〜……その話題か……」

「何か不味いことでも?」

「あんまり大きな声では言えねえな」

「じゃあちょっと、どこか入りましょうか」

リファの提案に乗り、私たちは近くのカフェに入った。

「お金は私たちが持つから好きなの頼んで!」

「ああ!」

それから情報を色々と聞いた。

この国の貴族は王が変わると人が変わったようにクズになったという。

色々な事に手を出し、最悪なことに気に入った女性を何人も犯し、子供を孕ませては殺すという行為をする貴族も少なくないそうだ。

王族もまともなのは女王だったが、最近はなぜか姿を見せないらしい。

王女と王子は王に逆らい、投獄されているという。

「なるほど……」

これはもう100%やってますね。

どうやら王と貴族を潰す必要があるかな……

「どうやら方針は決まったみたいですね?」

「うん!この国を立て直す!」

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