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第35話《笑顔の国篇》この国の過去

ルミエールside

私達は王宮の地下を慎重に歩いていた。

「これ、トラップないんじゃないですか?」

「それを言ったら……!」

するとリファの方からガチャッと音がして、地面のレンガが凹んだ。

「「あっ」」

そして、次の瞬間。

私は下半身が地面に埋まった。

「な、なに!?」

「ルミ様!?大丈夫ですか?」

「う、うん……別に何も感じない……」

私はこの後、知ることになる。

私の下半身がどんな目に遭っていたのかを。

それから少しして私は引きずり上げてもらえた。

服は一見すると何も起きなかったように見えていたのだが、引きずり上げられてから数秒後。

「あひゃはやはひゃやはははややははっやはひゃはひゃははややははははははっひゃひゃ!!足裏くしゅぐったいいいいひいいひいひひいいひ!!あひゃはややはうあやはうあやはっはやややはや!!」

ダメだ……!

イク……!!

途中から股間もくすぐられるような感覚に陥り、腰がビクンッと波打ち、イってしまった。

「あっ……♡♡」

「ルミ様、大丈夫ですか?」

「なんで急に…… ♡♡」

「真面目に考察するのであれば、あの穴では感覚遮断が行われているのではないでしょうか」

「真面目に…… ♡♡考察しないで…… ♡♡」

私は余韻を引きずりながら、リファに言った。

回復するのに少し時間がかかったが、気を取り直して進んでいく。

うぅ〜……パンツがぐしょぐしょだよ〜……

そんなことを思い、壁に手を突くと、ガチャッという音がして壁のレンガが凹む。

「へ?」

次の瞬間、わたしは壁に飲み込まれた。

「ルミ様!」

リファは手を伸ばすが、ギリギリ届かなかった。


─────────────────────


それから数秒後、再びリファと相見えた。

顔と手足以外が壁に埋まった状態で。

俗にいう壁足だ。

「何やってるんですか?」

「私にもわかんない」

おまけに靴は脱がされて裸足になっており、更には感覚があるのは顔と手足しかない。

「何がしたいんだろ」

「さあ?」

私たちがそんな会話をしていると、私の足指が壁に張り付くように拘束された。

嫌な予感がしてきたんだけど……

すると足と足の間の壁に文字が現れる。

「なんて書いてるの?」

「簡潔に纏めますと、一定時間くすぐられなければ解放されないという旨のことが書かれていますね」

「なんでそんなにくすぐりに固執するの!?」

「もしかして、マッサージのやつ見られたんじゃないですか?」

「あっ!」

確かにあの時、目の前に人がいた。

だからトラップが全部くすぐりなんだ!

「ちょっと待って。全部くすぐりってことは私しか引っかからない想定!?」

「はい。そうでしょうね」

「馬鹿にするな〜!!」

「いや、実際引っかかってるじゃないですか」

うん。まぁ、今の情けない格好を見たらそうなるよね……

「では、先に行きますね」

「なんで!?」

「いや、ルミ様がそんな状態なんで」

「だからって放っていかないで!?私、リファの師匠なんだけど!?」

「ちょっと何言ってるかわからないです」

「分かれよ」

「で、どうしたいんですか?」

「ここから出たいに決まってるじゃん!」

「じゃあ懇願してください」

くっ……!こんな時まで要求させてくるのか……!

「私の足裏をくすぐってください……!」

「仕方ありませんね」

そう言ってリファは私の足裏をくすぐり出した。

「あはやはやはややひゃあひゃはひゃはやあひゃはやはひゃはやはやひゃはひゃ!!くしゅぐったいいいいひひひいひひいいひいひい!!ひゃはややはやはややははやははははっやひゃや!!」

リファは入念に色んなところをくすぐってくる。

「指の間らめええええっへっへっへえええへっへっへえへええへえへへっへへへ!!あひゃはやひゃやはややはややはっひゃはひゃは!!つちふみゃずもらめなのおおおほほおおほおおお!!」

実に20分もの間、壁足というかなり恥辱的な格好でくすぐられた。

「はぁはぁ……」

条件をクリアすると元の格好で壁から排出された。

「お疲れ様でした」

「もうちょっと……手加減を……!この後、戦うんだから……!」

「すみません。楽しくって」

「もう……!!」

そんなことを言った後、再び進んでいく。

すると一人の女性が倒れているのを見つけた。

「大丈夫ですか!?」

私はすぐさま駆け寄った。

「ああ。大丈夫さ……獲物が来たからねえ?」

「えっ」

次の瞬間、私の背後にスライムのようなものが現れ、手足を飲み込んだ。


─────────────────────


「これもトラップ!?」

「じゃあ捕食の時間ね?」

そう言うと服がスルスルと脱げ、全裸になった。

「じゃあいただきま〜す!」

そう言ってスライムは私の全身をくすぐり出した。

「あはやはややっひゃはひゃやあはひゃはやひゃあひゃはやひゃはやひゃ!!くしゅぐったいいいひいひいひいっひいひいいひ!!あひゃはややあひゃはややっははっひゃはややひゃ!!」

無防備に晒された腋やスライムの向こう側で裸足で晒されている足裏などを徹底的にくすぐってくる。

「もういやああはああひゃっやっひゃひゃややははははははっひゃひゃはは!!」

それから十分ほど、リファの目に晒されながらくすぐられた。

「もう十分ですね。《ライトニングソニック》!」

「ぐあああ!!」

そんな断末魔と共に私を手籠にしていたスライムは倒された。

「はぁはぁ……もっと早く助けて!!」

「すみません。つい目の保養のために」

「私の醜態を目の保養にしないで!!」

「すいません」

文句を言いながらも私は服を着直す。

「もうトラップ引っ掛かりたくないから《シエル》でいくよ!」

「え〜……」

「不満そうな顔しない!!」

絶対許さない!

私達はシエルに乗って駆け抜ける。

事前にオニキスの分裂体から何処にいるか詳しく教えてもらっているため迷うことなく進んでいく。

「あそこだよ!」

「はい」

私達は見つけたドアに突撃し、破壊して中に侵入した。

「サウスター!!」

「ようこそ。ルミエール=ラウエル。それにリファリア=リヴェルベロ?」

「あなたを倒してこの国を救ってみせます」

「あんな卑劣なトラップを仕掛けて!!絶対許さないんだから!」

そう言って私は《ファンタズムエッジ》を、リファは《アムールエスパーダ》を構える。

「面白かったぞ?いい娯楽になった!」

そう言ってサウスターが指差した先には。

『指の間らめええええっへっへっへえええへっへっへえへええへえへへっへへへ!!あひゃはやひゃやはややはややはっひゃはひゃは!!つちふみゃずもらめなのおおおほほおおほおおお!!』

私の醜態が水晶玉に写されていた。

「なんで!?」

「面白いアイテムですね。私にもください」

「いいだろう。白金貨4枚から交渉だ」

「わかりました」

「敵と商売すんな!」

「そうでした。では、あなたを倒してそれを頂きましょう」

「まあ、貴様の醜態も見られたし、今度はこの国の醜態でも見せてやろう」

そう言ってサウスターが指を鳴らすと、私たちの頭の中に映像が流れ込んできた。


─────────────────────


とある部屋の一室。

そこの中央奥には椅子に腰掛けたサウスターがいた。

「やあ、サウスター?」

「ケイオスか?何の用だ?」

「『あの方』からのとっておきさ」

そう言ってケイオスはサウスターに手紙を渡した。

「へぇ〜……今度の狙いは笑顔の国、ねえ?」

「制圧後は好きなようにしていいってさ」

「わかった。俺の力の見せどころだな?」

「ああ。そうだよ?期待してるね」

「任せておけ」

そう言ってサウスターは椅子から立ち上がり、部屋から出ていった。

すると場面は切り替わり、私たちのいる王宮が映し出される。

「貴様!何者だ!!」

「何者か、か……その質問に答えるとすれば、新たな王ってところだ」

「何を言っている!怪しいやつめ!掛かれ!!」

そう言って兵士たちがサウスターに襲いかかる。

「雑魚が」

サウスターはそう吐き捨てると、兵士を地面に蹴り倒し、頭を踏みつけ、潰した。

その光景に思わず吐き気を催してしまう。

でも、逃げちゃダメなんだ。

目を逸らしちゃダメなんだ。

それがどんなに残酷なことでも事実なんだ。

サウスターは兵士たちを次々と虐殺していった。

満面の笑みを浮かべて。

「さて……次は……」

そう言ってサウスターが見据えていたのは王室。

「だ、誰ですか!?」

「どけ!!」

王宮内を歩くメイドを見るや否や、サウスターは首の骨をへし折った。

執事を見るや否や、サウスターは内臓を引き摺り出していた。

それの光景に私はただ、絶句するしか無かった。

そして王の間の前にたどり着いたサウスターはドアを開いた。

「お初にお目にかかります。国王陛下、女王陛下、王女殿下?」

「何者ですか!!」

王女は立ち上がり、剣を抜く。

「随分と武闘派な王女様ですね?」

サウスターは小馬鹿にするような声色で王女を煽る。

「舐めるなあ!!」

そう言ってサウスターに斬りかかったが、サウスターは人差し指を中指で剣を挟んで受け止めた。

「何!?」

「舐めるなだと?それはこっちのセリフだ!!」

そう言ってサウスターは王女を蹴り飛ばす。

「かはぁ!!」

壁に叩きつけられた王女は口から血を吐き倒れた。

「おっと!力が強すぎたみたいだな」

「アンジュ!!貴様!!」

「悪いがお前らを殺すつもりはない。俺の手駒になってもらう」

「誰がそんな!!」

王と女王は声を上げるが。

「俺の要求を飲まないというのなら、この国の民は皆殺しだ」

この発言に二人は息を呑んだ。


─────────────────────


「要求だと?」

「ああ。この国の支配権が欲しいんだよ。俺の上司がお望みなんでね?」

「貴様らは何者だ!!」

「俺らは、《デザイアガーデン》。世界を支配し、あの方の理想を叶える者たちだ」

《デザイアガーデン》……!!

それが私たちの戦うべき相手!!

「わかった。お前の要求を飲もう。言ってみるがいい」

国王は苦い表情を浮かべながら言った。

「人に物を頼む態度では無いだろう?立場を理解しろ。お前に拒否権はない」

「何をしろと言うのだ!」

それに対してサウスターは指を下に向けて。

「土下座だ。土下座して俺に懇願しろ。『言うことを聞くので国民に手を出さないでください』とな!!」

サウスターのその言葉に国王はゆっくりながらも地面に膝をつき、土下座した。

「言うことを聞くので国民に手を出さないでください……!!」

額を地面につけ、国王はそう懇願する。

それに対して、サウスターは国王の頭を踏みつけた。

「いいねえ!!この支配することによって満たされるこの感覚!!素晴らしい!!」

両手を広げて天を仰ぎながら言った。

「じゃあこの国は、俺のものだ」

そう言ってサウスターが指を鳴らすと、配置されていた水晶玉が妖しく輝き、国を包んだ。

そして王族たちの瞳は輝きを失い、サウスターの言いなりなるただの人形と化した。

国民たちも気味の悪い笑顔しか浮かべなくなった。

少しでも意思の残っている者がいれば排除された。

そうして今の国が出来上がった。


─────────────────────


「どうだった?この国の醜態は」

私とリファは俯いて震えていた。

そう、激しい怒りでだ。

「ふざけるなあ!!!」

「人をなんだと思っている!!!」

「人?そんなもの、あの方の目的を達成するための道具に決まっているだろう?」

「道具……?人には一人一人心がある!!それは誰からも自由なものだ!!」

「お前はそんな人たちの尊い心消した!!」

「それの何が悪い!人間の心は不完全だ!不完全ゆえに失敗する!不完全ゆえに脆い!それが消えれば完全だろうが!!」

「完全な人間なんていない!!誰かしら弱点はある!!」

「その弱点を他人と補って生きていくのが人間なんだ!!」

「うるさい!!お前らも消してやる!!」

「お前を倒してこの国を救ってみせる!!それが、私たちの今やるべき大事なことだから!!」

「行きましょう!ルミ様!!」

「ああ!!」

そう言って私とリファはサウスターに斬りかかるのだった。

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