目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
第32話《笑顔の国篇》新たな国

ルミエールside

「ふんふふ〜ん!」

私は鼻歌を歌いながら、《シエル》でリファと一緒に飛んでいた。

「ウキウキですね?結構きな臭い噂のある国に行くというのに」

「大丈夫な気がするんだよね!」

「何を根拠に?」

「だってリファが一緒なんだから!」

私はそう言ってリファに笑いかけた。

「そうですか。私は不安です。ルミ様と一緒なので」

「あ〜!酷いこと言った〜!」

「酷くありません。事実です」

「事実じゃないもん!」

「では、ライアスやビーストリアンの件はどう説明するんですか?」

「いや、だってあれは私悪くないし!」

「結果的に首を突っ込んだのはあなたですよ?」

「そうだけど〜!」

「まあ、いいですよ。どうせ今回も首を突っ込むんでしょう?冒険者として」

「問題があればそのつもりだよ?」

「本当に好きですね。厄介ごとに首を突っ込むの」

「そういう性分だからね〜!」

私は側から見るとただのお人好しなのだろう。

確かに私は人助けは好きだ。

でも、今回首を突っ込むのは別の理由だ。

今回の狙いはへスマイルとラルジュ王国の関係改善のためだ。

数年前からへスマイルとの関係は悪化していた。

お父様も原因はよくわかっていなかったが、今回のことでよくわかった。

へスマイルの内部が変わったことによって、外交関係が崩れたのだろう。

ならば、その内部を変えてしまった犯人を〆れば外交関係を回復させられるではないか。

そう考えたから今回首を突っ込むつもりだ。

「さて!そろそろ着くよ!」

「はいはい。わかってますよ」

私の考えなど知らないであろうリファは若干呆れながら言ってきた。


─────────────────────


へスマイルに到着した私達は門の前に来ていたのだが………

「どうぞ!」

私たちを通してくれた守衛の人は笑っていたがその笑顔はどこか嘘っぽく、目の奥が笑っておらず、不気味な雰囲気がした。

やっぱり、何かあるな……

あまりに笑顔が嘘くさい。

「ルミ様」

「うん。多分黒だね」

確実に心からの笑顔じゃないことがわかる。

すなわち、噂は本当だと言うことだ。

それが本当だとして、問題は裏から操っている奴がどこにいるかだ。

国王を洗脳しているのであれば怪しい候補は宰相などの側近が犯人候補に上がる。

しかし、リモートで操作できるタイプだったら、リスクを減らすために、近くにいないだろう。

なんにせよ情報が少なすぎて、絞れない。

とりあえず情報を集めなければ!!

そう考えた私は一旦宿を取り、作戦を考えることにした。

「ふぅ〜!」

私はベッドに飛び込んだ。

「ルミ様、汚いですよ」

「わかってるよ!」

リファに言われて、私はベッドから降りる。

「とりあえず今日はお風呂入ってもう休もっか!」

「そうですね。私も疲れました」

私とリファはお風呂に向かった。

「ふんふふ〜ん!」

私が鼻歌交じりに服を脱いでいると。

「それで、どうするつもりなんですか?」

リファが唐突にそんなことを聞いてきた。

「どうするって?」

「この国の問題ですよ。どう解決するおつもりなんですか?」

「そのこと?全然決まってないんだよね〜!なんせ、状況が一切掴めてないからね……」

「それはそうですけど……」

「だから作戦を考えてるんだけど、いまいち、ピンとくるものがないんだよね〜……」

潜入してもいいが、毎回それだと味気ない。

いっつもリスカルに頼ってばっかだったからな〜……

自分で調査する術も身につけておかないと!

「どうしようかな〜……」

「オニキスって、影の中をどこでも移動できるんですよね?」

「そうだけど……」

「ルミ様が私の家に潜入した時は、オニキスに盗聴器を持たせていたんですよね?」

「そうだね」

「じゃあ、今回もその方式にしてみては?」

「なるほど……」

今回の目的は情報の選別。

だから、身を危険に晒すことは最低限にしたい。

オニキスの分裂体なら、万が一、気付かれてやられたとしても、犯人がわかる。

「どうでしょうか?」

「それいいね!!オニキスはどう?」

『いいよ〜!主の役に立てるの嬉しい〜!』

「よし!じゃあ決まりだね!」

こうして私達のへスマイル救出作戦は開始した。


─────────────────────


カーニャside

「はぁ……」

私は一人、アトリエでため息を吐いていた。

「ルミ様……」

ルミ様がワームホールに吸い込まれてから一ヶ月が経とうとしていた。

未だに帰ってくる気配は一切ない。

定期的にルミ様が生きているか、魔力を検知する機械で確認している。

魔力を検知するといっても、ルミ様の持っている魔石の魔力を検知するものだ。

その魔力の主は私なのだが、魔力の波長を変えて独自の物にしている。

「いつになったら帰ってくるんですか……あんまり心配かけないでくださいよ……」

そんなことを思っているとチャイムが鳴った。

「はい」

私がガチャリと入り口を開けると。

「来たぜ!」

「今日もお話ししましょうか!」

「いい茶葉が入ったんですよ?」

ルミ様のお姉様方だった。

この方達はルミ様が居なくなってから毎日のように来てくれる。

私と一緒にルミ様の話で盛り上がったり、ルミ様の残していた遊戯をしたり。

「今日は何をしますか?」

「私はカルタをしたいです!」

「ツイスターだろ!」

「トランプがいいです!」

「では、間をとってオセロなんて如何でしょうか?」

「「「間とってないですよ(だろうが)!」」」

御三方からツッコミが入った。

「だったら!」

「やるしかないようですね!」

「そうですね!」

「じゃんけんを!」

私達は片手を前に出した。

「行くぞ!最初はグー!」

「「「じゃんけんポン!!」」」


─────────────────────


『次の人は右足を赤だよ!』

サウンドボックスからルミ様の声でそんな指示が聞こえてくる。

そう、じゃんけんに勝利したのはマロン様だった。

「右足を赤!?」

「体の硬いマロンには無理かしら?」

「んだと?コラ?」

マロン様は煽ってきたテイル様を睨みながら、なんとか、右足を赤に置くことが出来た。

「へぇ?なかなか粘るのね?」

「当たり前だ!罰ゲームなんてやりたくねえからな!」

私達は毎回、遊戯をする時に罰ゲームというものを設けている。

念の為に言っておくが、私達は変態だ。

だから罰ゲームも変態的なものだ。

これまでも色んなことをやってきた。

最近は[[rb:ルミ様 > 性欲の捌け口]]が居ないこともあって、ドンドン過激になっている。

今回の罰ゲームは『最後まで残っていた人の足を舐めながら、自慰をする』だ。

まあ、プライドの高いマロン様はそんなことをしたくないだろう。

というかこの場にいる全員がそんなことはしたくない。

全員、ルミ様をイジメるのが好きなのであって、責められるのは慣れていない。

なら、やめればいいじゃないかって?

私も一度提案した。

すると全員揃って。

「「「この二人に屈辱的なことをさせたいんです(んだよ)!!」」」

そんなことを言った。

この方達は本当に人をイジメたいんだなと思った。

更には自分にとって苦手なゲームで勝つことで、より優越感を得ようとしている。

その結果、勝率は五分五分になっている。

そして今回は。

『じゃあ次の人は、左足を黄色に!』

「はああ!?」

順番は一周し、もう一度マロン様に戻って来ていた。

体の硬いマロン様にとって、左足を黄色に持っていくことは不可能だった。

「うあああ!」

バランスを崩し、マロン様その場に倒れた。

「はい!マロン、罰ゲーム決定で〜す!」

テイル様はとんでもなく憎たらしい声で言った。

「クソが!」

「敗者は黙っていてくださいね?」

カルマ様はマロン様に手厳しい言葉をかける。

その言葉にマロン様は悔しそうに、グッと奥歯を噛み締めていた。

後は最後まで勝ち残る勝者を決めるだけだ。

『次の人は右手を青で!』

それから私達は粘りに粘った。

「長えよ!!」

マロン様が痺れを切らすほどには時間が経っていた。

そして。

『次の人は右手を黄色に!』

「それは無理です!!」

まずリタイアしたのはカルマ様。

「残念でしたね!」

「悔しいです!」

「後はあなただけですよ?」

テイル様は、すごい格好で私に不敵な笑みを浮かべて言った。

「お手柔らかにお願いします」

それから30分。

「もう、限界……です……!」

粘りに粘った私だったが、無理ある体勢に限界き、バランスを崩した。

「やりました!私の勝ちです!」

「うげ……お前かよ……」

「ええ!凄く嬉しいです!貴方に屈辱を与えられるのですから!」

本当にこの姉妹は、ヤバいのしかいない。

上から三人はサディストで、末っ子はマゾヒスト。

改めて考えるとヤバいな……


─────────────────────


テイル様は椅子に腰掛けた。

そして右の靴と靴下を脱ぎ、裸足になる。

するとエジプト型の綺麗な足が露わになる。

「さぁ、罰ゲームですよ?」

その足をマロン様に向けて言い放つ。

マロン様は心底悔しそうな表情でその場にしゃがみ、左手で、テイル様の足首を掴む。

そしてマロン様はテイル様の足指を咥える。

「なかなかにいいですね……さぁ、空いている手で自慰してください?」

テイル様はマロン様に催促する。

「くっ……!!」

マロン様はまるでオークに捕まった女騎士のような目つきでテイル様を睨みながらも、自分の秘部に手を伸ばしていく。

そして衣服の中、下着の中へと手を入れていき、クチュクチュという音が聞こえてくる。

それをすると同時に忘れずにテイル様の足指をチュパチュパと舐める。

「これ、癖になりそうです……!!」

テイル様が他の貴族には見せられないような恍惚の表情を浮かべている。

なんだこの光景。

「羨ましいです……」

「何を言ってるんですか」

ホントにどうしようもない変態姉妹だ……

こんなことを口に出してしまえば、全員が口を揃えて、『お前が言うな』と言われるのだろう。

まあ、確かにいじめるのは好きだ。

でも、そこまで変態ではないのではないかと思う。

そんなことを考えていると、マロン様の指を動かす速度が上がる。

更には舐める勢いも増していく。

「いいですね!快楽を求める姿!!」

テイル様もテンションが上がっている。

それから数刻。

「んんっ♡!!」

マロン様の体がビクンッ、と波打った。

「マロン、あなた今、イきましたね?」

テイル様の言葉に、マロン様は足指を咥えたまま頷いた。

「凄くいいです!この、生意気な子が私の足を舐めながら、自慰に耽る……!最高ですね……!」

この人、末期だ……!!

「たまにはこういうのも悪くねえな……」

私はマロン様がボソッと言ったのを聞き逃さなかった。

「今のはどういう意味ですか?」

どうやら隣のカルマ様も聞き取っていたらしく、マロン様に問いかける。

「あら、気に入ってくれたのかしら?」

「う、うるせえ!!馬鹿野郎が!!」

「年上になんて口の利き方!許しませんよ!」

そう言ったテイル様はマロン様の首根っこを掴む。

「ちょっ!離せよ!」

「ちょっとお仕置きが必要なようですね!!」

抵抗するマロン様の足をカルマ様は持ち上げる。

「何する気だ!!」

「なにって……懲罰室に入れてあげますよ?ルミのマシンに死ぬほどくすぐられてくださいね?」

「おいやめろ!カーニャ!助けてくれ!!」

「一回痛い目を見た方がいいと思います」

私はそう言って連れていかれるマロン様に対してサムズアップをする。

「薄情者があああああ!!」

アトリエにマロン様の悲鳴が響いた。


─────────────────────


???side

「ルミエール=ラウエル……リファリア=リヴェルベロ……」

俺は物凄い近い未来で対峙することになるであろう二人の名を呟いた。

この二人のことは聞いている。

ケイオスに楯突いた奴らだと。

更にはビーストリアンを活動拠点にしていたノースターを倒したと言う。

ノースターはなかなかの実力者だ。

それを倒すとは……

ライアスの時に一度会ったことはあるしな……

どうやら俺はアイツらの実力を侮っていたようだ。

だったら俺も全力で対応させてもらおう。

四天王が一人、サウスターがな!!

「ふふふ……ふははははははははははは!!」

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?