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第25話《獣人の国篇》深まる繋がり

ルミエールside

王宮に戻った私たちは部屋で一息ついていた。

「ふぅ……」

「疲れましたね……」

「そういえばさ、リファって足裏汚れてないの?」

「足裏ですか?」

めっちゃ気になる。

結構汚い場所を裸足で歩いたんだ。

だからあの綺麗なリファの足裏も汚くなってるだろうと思い、めっちゃ見たい。

いつもあんな澄ました顔のリファの足裏が汚いのはなんか興奮する。

「そんなに気になります?」

「うんうん!!」

「分かりましたよ。どうせこの後、お風呂に入りますしね」

そう言ってリファはブーツと靴下を脱いで裸足になる。

足の形はエジプト型だった。

そして私に足裏を見せてくれる。

それはそれは見事に黒かった。

「真っ黒でしたね」

「なんか、ちょっと嬉しい」

「どういうことですか?」

「いや、いつも綺麗なイメージがあるリファの足裏がこんなに汚れてるのが嬉しいんだよね〜!」

「そうですか。ルミ様はいつも汚いですし、臭いますよね」

「く、臭くないもん!!」

「どうでしょうね?汚いのは否定しないんですね」

「べ、別に汚くもないし!!」

とは言うが実際には若干汚い。

じゃ、若干だから!!

臭いはちょっとするかも……

まぁ、理由は単純明快。

「裸足でブーツを履くのが悪いんですよ?」

「だって靴下嫌なんだもん!!」

「でも、私は好きですよ?ルミ様の足」

そう言って私にはにかんだ。

その表情にドキッとした。

「あれ?ドキドキしちゃいましたか?」

「し、しし、してないし!?」

「まあ、いいですよ?とりあえずお風呂いきましょうか?」

「う、うん!」

リファはそう言って靴下とブーツを履き直し、お風呂に行く。

それからお風呂に入った。

「はぁ〜!作戦明けのお風呂は沁みるね〜!」

「おじ様みたいなこと言わないでください。ルミ様はレディーなんですよ?」

「へぇ〜!私を女として扱ってくれるの?」

「ええ、だって……」

リファは私の耳元で。

「大体の場合主導権は私が持ってるじゃないですか」

言われて赤面する。

戦闘面以外は基本的に私はリファの尻に敷かれている。

まぁ、理由はわかる。

単純に戦闘面以外がズボラだからだ。

例を挙げればキリがないが、まずアトリエに篭れば作業着に裸足でスリッパすら履かない。

勿論、溶接とか危険な場面では靴を履く。素足でだけど。

それに散らせば散らかしたまま。

そして煤や埃で汚くなった足で家中を歩き回る。

最終的にリファとカーニャに怒られるんだけど。

まぁ、そういったこともあってリファには逆らいにくい。

ちなみにカーニャには逆らえない。

カーニャはすぐにエッチな方向に持って行きたがる。

私が喜ぶことを知っているから。

でも、それはリファにはバレてない─────

「それに、ルミ様は責められる方が好みなのでしょう?」

と思っていた時期が私にもありました。

「そ、そそ、そんなわけ……」

「へぇ?嘘つくんですか?」

「い、いや?嘘なんか────」

「自分では気付いていないでしょうけど、ルミ様は嘘をつくときに足をモジモジさせる癖があるんですよ?」

「!?!?!?」

何で!?何で私の知らない癖を見抜いてくるの!?

「で?どうなんです?」

「えっと……それは……そのぉ……」

赤面して言い淀む。

「どうかしたんですか?」

「いや……はい……責められるのが好きです……」

「声が小さくて聞こえませんでした」

「嘘だ!」

「嘘じゃないですよ?」

コイツぅ〜!

弟子のくせに〜!!

「せ、責められるのが好きなの!!」

私がそういった後、カポーンと桶を落とした音が聞こえた。

振り返ると。

「ル、ルミエール様……そうだったんですね……?」

そこにはルナイトがいた。

そしてルナイトは浴場から出て行った。

「待って!!ちょっと!ルナイトォォ!!」

私の絶叫が浴室に木霊した。


─────────────────────


「どういうつもりですか?」

お風呂から上がった私は、リファをベッドに押し倒していた。

「リファ、さっきのわざとでしょ?」

「さぁ、どうでしょうね?」

「はぐらかさないで!お陰で私が変態みたいな扱いになったじゃん!!」

どうやらあの宣言が脱衣所まで聞こえていたらしく、そこにいた侍女が一瞬で『ルミエール王女殿下は責められるのが好きな変態だ』と吹聴して回っていた。

お陰で王宮内では変態扱いされている。

はぁ……

「別にいいじゃないですか。事実なんですし」

「普通に考えてそれが広まったらマズいでしょうが」

「何故ですか?」

「いや、王女としてのメンツというものが……」

「元々威厳もへったくれもないじゃないですか」

「うるさい」

「で?どうしたいんです?」

「私を変態と言ったリファにお仕置きします」

「はぁ……?」

若干呆れた声で返してくるリファの脇腹をガシッと掴み。

「こちょこちょ〜!」

「アハハハハークスグッタイデスー」

「なんで効かないの!?」

「ルミ様が弱すぎるだけですよ」

そう言って、リファは私の腋に手を入れてくる。

「ひゃぁ!?」

「ほら弱いじゃないですか」

「き、効いてないし……?」

「へえ……?試してみます?」

「い、いいよ……?」

やった!くすぐってくれる!!

そう期待した瞬間、手が離される。

「やっぱりやめました。効かないなら意味ないですしね」

「えっ」

「どうかしたんですか?」

「い、いや別に何でもないよ……?」

「え?もしかしてくすぐって欲かったんですか?自分は変態じゃないと言いながらそれを待ってたんですか?」

「うぅ……」

リファは的確に私の羞恥心をくすぐってくる。

「そ、そそ、そんなわけないよ……?」

「そうですか。では、私は寝ますね」

そう言ってリファは部屋を出て行こうとする。

一回そのモードに入ったら簡単に終わるわけがないじゃないか。

「ま、待って!」

「?何ですか?」

「う、嘘ついた!ほ、本当は弱いのに弱くないって嘘ついた!」

「へえ?で、なんですか?」

コイツぅ〜……!!

「わ、悪い子にはお仕置きしないとでしょ……?」

「そうですね。本当にそれだけですか?」

「え?」

「吐いていた嘘はそれだけですか?」

くっ……!!

「ホ、ホントは……責められると興奮する変態です……」

「そうですか。ではお仕置きはやめておきましょう」

「な、何で!?」

「責められると興奮するんでしょう?ではお仕置きの意味がないじゃないですか」

「それは……」

「それとも何ですか?無様にお願いしますか?『この変態にどうかお仕置きしてください』と」

ヤバい……リファがドSすぎる……!!

「こ、この変態にどうかお仕置きしてください……!!」

「そうですか。では、お仕置きとして……」

リファは私に近づき。

チュッ

その音と共に、私の唇に何かが触れる。

「へ?」

「お仕置きですよ?私のハートを奪った変態さんへのね?」

え?私今キスされた?

え、あ、え?

私は赤面していく。

「あれだけ好き好きアピールしておいて、されるのは恥ずかしいんですか?」

「だ、だってぇ〜……ズルいよぉ〜……」

私は口元を押さえながらいう。

でないとニヤニヤしている気持ち悪い顔を晒してしまうことになる。

「やっぱりルミ様は可愛いですね?」

そうしてもう一度口付けをしようとした時、ガチャリとドアが開く。

「「あっ」」

「や、やっぱりそういう関係なんですね!?」

ルナイトが部屋に入ってきて言った。

なんて間の悪い子なんだ!!

「ご、ごゆっくり!!」

「気を遣わないで!!」

ルナイトは勢いよく部屋から出て行った。

「な、何だったんだろう……」

「おそらく晩餐かと」

「なるほど!じゃあ行こうか!」

「私は少し部屋で整えて来ますね」

そう言ってリファは自分の部屋に戻って行った。

ルナイトが入ってきたせいでそういうモードは終わっていた。

それにしても……

「あんなの反則だよぉ〜……」


─────────────────────


リファリアside

せ、責めすぎた!?

ルミ様の唇に口付けをした後、私は部屋に戻って反省していた。

なんかカッコつけて色々と言ったけど大丈夫かな!?

ルミ様に引かれてないよね!?

でも、あの表情からして喜んでくれたはず……

よし!落ち着くのよ、リファリア=リヴェルベロ!

私はルミ様より落ちついているところを見せるの!

「とりあえず、晩餐に行こう……」

そうして私はルミ様の部屋にもう一度向かい、共に晩餐に向かった。

そして翌日。

「よし!」

服を着替え、髪を整えた私はルミ様を起こすべく、部屋の前に立っていた。

そして決意を固め、ドアをノックし、開ける。

「ルミ様、おはようございます。朝ですよ」

「───っん、う〜ん……」

「おはようございます」

「リファ……?」

「はい。あなたの愛しのリファですよ」

私のその声に、ルミ様はガバッと起きて。

「昨日、キスしたよね?」

そんなことを言って来た。

「はい。しましたよ?」

私の返答に、ルミ様は顔を赤くしつつも、満足気な表情を浮かべる。

何この可愛い生き物。

尊すぎる。

「早く着替えてください。リーゼルテ王に挨拶に行くのでしょう?」

「そうだった!!」

先ほどの表情から一変、焦り顔になり、バタバタと準備を始める。

「カーニャがいれば手伝ってくれるのに〜!」

「自立してください」

「すんません」

そんなやりとりをしながらも、準備を進めていく。

時々転んだり色々していたが、30分ほどで準備を終えた。

「よし!準備オッケーだよ!」

「忘れ物はありませんか?」

「うん!パーフェクトなり!」

「では参りましょうか」

そして私たちはリーゼルテ王の部屋へと向かった。


─────────────────────


ルミエールside

私は挨拶したらすぐに出立できるように準備して部屋の前に立っていた。

「よし!ノックするよ?」

「はい」

私はドアをノックする。

「「失礼します」」

言いながらドアを開けた。

「ルミエール殿!リファリア殿!」

「リーゼルテ王、お話があります」

「とりあえず、腰掛けたらどうかな?」

「ありがとうございます」

そう言って私達はリーゼルテ王に向かい合うように座った。

「それで話とは何だね?」

「そろそろ出立しようと思いまして、そのご挨拶に」

「もう行ってしまうのか?」

「ええ、大切な家族が心配していると思うので」

「そうだな……いつまでも引き留めておったらそれこそ国際問題になりかねんな……」

「私たちを王宮に泊めて下さりありがとうございました」

私が頭を下げると同時にリファも頭を下げた。

「いや、こちらこそありがとう」

リーゼルテ王は頭を下げる。

「頭を上げてください!!私達は何もしてませんよ!?」

「いいや、オークションの件はルミエール殿達が片付けてくれたのだろう?」

「まあ、そうですけど……」

「さすが《謀略の王女》だな!」

「それ、リーゼルテ王にまで伝わってるんですか!?」

「ああ、ルナイトの部下から聞いた」

「そうですか……」

なんかまた二つ名増えちゃったな……

ま、いっか!

《戦乙女(パンドラ)》は冒険者での二つ名だし!

王女としての二つ名は初めてだし!

「お陰で『時には他人に頼る』ということの大事さがよくわかった」

「それならよかったです!」

「ルナイトから聞いたが、オークションの件を受けてくれた理由は感銘を受けたぞ!」

「あ〜……」

「ルミ様がカッコつけたやつですね」

「うるさいよ〜?」

「でも、実際カッコよかったですよ?」

そう言ってリファは私に向かっていたずらっ子のような笑みを浮かべた。

それに私は思わず赤面する。

「もう!バカ!」

「少なくとも発明以外ならルミ様よりは頭がいいと思いますよ?」

「リーゼルテ王!リファが酷いこと言いました!!」

「本当に君たちは仲良しだな」

「ええ。ルミ様は私のこと、そういう意味で好きなんですよ」

「リファ!!」

「そうか!ではリファリア殿はどうなんだ?」

「私ですか?」

おっ!リファが詰まってる?

そんなことを思っていたら。

「好きですよ?」

「ぶふっ!!」

思わず飲んでいた紅茶を吹き出した。

「おぉ〜!」

「ほ、本気!?」

「えぇ、いつからかは『まだ』教えませんが」

「教えてよ〜!!」

そんな感じでわちゃわちゃして挨拶は終わった。

「本当に馬車はいらないのか?」

「はい!」

《シエル》に乗っていくし!

「じゃあ、ありがとうございました!」

そう言って私達は《シエル》に跨った。

「次の国へ!Let's go!」

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