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第24話《獣人の国篇》差し込む光

ルミエールside

私が気がつくと牢に入れられ、服は下着も奪われて、ボロ布一枚になり、足元は裸足だ。

首輪をされ、手首には手錠がされ、足首には足枷が付けられていた。

うわぁ〜!本物の奴隷みたい!

私はその場でペタペタと足踏みをする。

「起きて」

私はリファを揺らす。

「起きてます。」

「そ、そうなの?」

すごい冷徹な声で、返して来た。

「お、怒ってる?」

「ええ、当たり前です。大人数で女性を襲うなんて許せるわけないでしょ?」

「そうだね……」

リファ……

やっぱり相当怒ってるよね……

「でも」

「でも?」

「ルミ様の全裸を見られたのが何より許せません」

前言撤回。

やっぱダメだわ

そんなことを思っていると男が一人入ってくる。

「おい、立て」

そう言われて、私達は立つ。

「いくぞ」

そう言って男は首輪に繋がれた鎖を引っ張り、歩かせる。

ペタペタと足音を立てて。

さて……この黒幕は誰かな……?

「お前らは上玉だ。だからあの方に見てもらう」

あの方、ねぇ……

「抵抗はやめておけ。その首輪には魔法封じが施されている」

私には影響はないけど、リファには影響がありそうだ。

そう思い、チラッと後ろを見てみると、リファは余裕そうな表情だ。

じゃあ問題はなさそうかな。

すると男が立ち止まる。

そしてドアをノックする。

「失礼します。」

ガチャリとドアが開かれ、その先にいたのは。

「連れて参りました。ノースター様」

ノースターと呼ばれる人物だった。

それを見てすぐに感じ取った。

コイツは、ケイオスに及ばないにしてもサウスターくらいは強い。

なるほど、コイツが黒幕か。

「へぇ?中々の上玉じゃないか」

そう言いながら社長椅子から立ち上がったノースターは私に近づいて来て。

「私が襲いたいくらいだ。」

「どうしますか?片方はノースター様が買いますか?」

「どうしようかな?」

ノースターは私のつま先から指先までを舐めるように見つめた。

「こっちは私が貰おう」

「わかりました。おい、お前は出品だ」

そう言ってリファは連れていかれる。

それに関しては対して問題はない。

作戦の内だ。

今回の作戦、それは単純明快。

どちらかがオークションに出品される。

そのタイミングであらかじめ大量に分裂していたオニキスが入り口を塞ぎ、参加者をぶちのめすというものだ。

だからどちらかが欠けても問題ないように、リファの影には《アムールエスパーダ》と服とオニキスの分裂体を大量に忍ばせている。

私の方も同じだ。

だからこのパターンも想定済みだ。

あとはリファに任せて、私はこっちの相手をしよう。

「君、ここに座りなさい。」

私はノースターに言われ、少し高めの椅子に座る。

ちょうど足がプランとするような。

すると私の足元にしゃがみ。

「いい形だ。」

足を観察し始めた。

そんなにじっくり見られると恥ずかしい。

まぁ、そんなことを言っている状況ではないのだが。

私の足裏は勿論汚れている。

裸足で地面を歩いたので当然だ。

それを気遣ったのかどうかはわからないがノースターは私の足を拭いてくれる。

「これで綺麗になった。」

あれ?もしかして悪い人じゃない?

「これで心置きなく舐められる」

前言撤回。

コイツただの不健全な足フェチの変態だわ。

そう思った直後、私の右の足指は生温かさを感じる。

「ひゃう!」

「いい声を出すじゃないか。足が弱いのか?」

本当にヤバくなったら倒そう。

それまではちょっと従っておこう。

私はノースターの問いに頷いた。

「それは好都合だ。」

そう言ってノースターは私の足指の間をチロチロと舐めてみたり、土踏まずを舐めてみたり。

変な感じはするが声を出すほどではない。

ある程度時間が経つと、舐める足を左に変えた。

右の足は唾液でベトベトだ。

そして左足も同じようにしゃぶられた。

「はぁ〜……美味しかった。じゃあ仕上げに君の処女を頂こうか?」

そう言ってノースターはズボンに手をかけた瞬間、ドカーンという音が聞こえて来た。

「な、何だ!?」

どうやら始まったようだ。

「君はここにいなさい。私が見てくる」

そう言ってノースターは慌てて部屋を飛び出した。

「さて……オニキス」

私が呼ぶとオニキスは私の首輪と手錠と足枷を外してくれた。

私はタオルで足を拭くと。

「ネタバラシに行きますか!」

私はそのままの格好でオークション会場に急いだ。


─────────────────────


リファリアside

ルミ様と分かれた後、私はすぐさまオークション会場に連れて来られていた。

裏の部分からすでにオニキスの分裂体は入り口の影に入り、待機中。

「それでは本日の目玉商品!獣人の子供です!」

そう紹介され、私はペタペタとステージの中心に向かう。

私がステージの中心に立つと、オニキスの分裂体は影を移動して入り口を固める。

私が行動を起こすタイミングは一つ。

「では、白金貨50枚から始めましょう!」

オークションで競り落とされた瞬間に!

事前情報でこのオークションはすべての商品の落札が終わった後に受け取りとなっている。

だからそれまでは基本的に誰も出られない。

ルミ様曰く、期待を高めて高めて高めて、そこから落とすのが人が一番不幸を感じるらしい。

個人的にもそう思う。

「白金貨55枚!」

「55枚!55枚が出ました!」

「70!」

「おっと70!70だ!」

「130!」

「急激な吊り上げ!130!他にいませんか!」

「200!」

「出ました200!他にいらっしゃいませんか!?」

どうやら落札額は決まったらしい。

「200で落札と……」

そして私は声を張り上げる。

「0!」

「「「は?」」」

全員の反応が一致した。

なんせ、鎖に繋がれた商品がいきなり発言をしたのだから。

「何を言ってる?」

若干イライラしたような声色で言ってくるのはオークションの司会者。

「聞こえませんでしたか?0だと言ったのです。私は誰にも落札されませんよ?」

「何を言って……」

それと同時に、私の影からオニキスの分裂体が現れ、拘束具を外し、早着替えをする。

「じゅ、獣人じゃない!?」

「何だと!?」

そんな驚きの反応をしつつ、ステージ側からは私を連行した男が現れる。

「よくも騙しやがって!!」

「誘拐しておきながらそんなことを言うのですね」

私は《アムールエスパーダ》を抜いて構える。

「やれ!!」

男が命令すると、ステージ側や客席から大量の傭兵達が現れる。

それは見たことのある、私たちを襲った奴らだった。

「来るなら来なさい。殺すつもりはないですが、殺してしまったらごめんなさいね」

「舐めるなぁ!」

そう言って威勢良くかかってきた一人目を剣でいなし、肘打ちで意識を刈り取る。

「面倒ですね。《エアリアルボム》!」

剣先に風が集まる。

私はそれを天井に向けて発射する。

すると巨大な空気だけの爆発が起こり、その場の全員吹き飛ばす。

そしてほぼ全員の意識を刈り取った。

入り口を見ると《フレイムウルフ》に擬態したオニキスの分身体が待機していた。

「こんなものでしょうか」

私が一息ついていると。

「な、何だこれは!?」

ノースターがやって来た。

「ノ、ノースター様……!!あの獣人は只者では有りませんでした……」

そう言って男は力尽きた。


─────────────────────


ルミエールside

「では先ほどの獣人も……?」

「That‘s right!」

私は獣人の格好のまま、ノースターの背後から現れる。

ノースターはすぐさま距離を取る。

「何者だ!!」

「私は……」

少し溜めている間に早着替えを済ます。

「ルミエール=ラウエル、冒険者だよ」

「ルミエールだと……」

ノースターは驚愕の表情を浮かべる。

「私のこと知ってるの?」

「ケイオスがどこかに飛ばしたとは聞いたがまさかこんなところにいるとは……」

「ケイオスと知り合いなんだ」

「えぇ。昔からの中でね。私は四天王と呼ばれていますよ」

「四天王?」

「そうです。サウスター、イースター、ウェスター、そして私、ノースター」

「情報ありがとう」

「ええ、冥土の土産にどうぞ!!」

そう言ってノースターは飛びかかってくる。

それを見たリファがすぐさま踵落としで地面に叩きつける。

「かはぁ!!」

そしてリファは冷徹に言い放つ。

「私は怒っているのです。守るべき存在である女性と子供を攫い、お金に換える。私はそう言った下衆が最も嫌いなのです。ですのであなただけは許しません」

そう言ってお腹を蹴り飛ばす。

「かはぁ!!」

ノースターは椅子に叩きつけられる。

「こんなところで終われない!!うあああああああ!!」

ノースターが雄叫びを上げると体は膨張し、角が生えた。

「魔人化……」

これはもう、救えない……

「リファ!」

「問題ありません。私の実力を見ていていください」

そう言ってリファはノースターに飛び掛かり、頭を蹴る。

「うおおおお!!」

ノースターは張り手でリファを吹き飛ばそうとする。

リファはそれをすぐさま感知し、飛んできた張り手の腕に手を突いて空中に舞い上がる。

「はあああ!!」

リファは落下と同時に、何撃か突きを入れる。

「強い……」

するとノースターは口から炎を吐こうとする。

「オニキス!」

『わかった〜!』

私の命により、オニキスはケイブセンチピードに姿を変え、顔面に一撃入れる。

「リファ!今だよ!」

「ありがとうございます!」

そう言ってリファはノースターのお腹に剣を突き立てて。

「丸焼きにしてあげましょう!《バーニングストライク》!!」

その宣言と同時、剣先は炎を纏う。

「はあっ!」

リファが剣を抜くと同時、炎がノースターを包み、焼き尽くした。


─────────────────────


その後、連絡しておいた騎士団が到着した。

「ル、ルミエール様!?」

その場にきたルナイトは驚きの声を上げた。

まあ、当たり前か!

「な、なぜここに?」

「なぜって、この問題解決したの私たちだし」

「え!?」

「まあ、ほとんどはリファのおかげだけどね〜!」

「い、いえ。私は何も……作戦を考えたのだってルミ様ですし……」

「謙遜しない!作戦を立てたのは私でも実際に色々したのはリファじゃん!」

「ルミ様……」

「リファ……」

私たちは顔を近づけて……

「んんっ!!」

触れ合う直前、ルナイトの咳払いで止まった。

「あの。公衆の面前でイチャイチャしないでください。他の者がガン見してます」

そう言われ、私達は顔を赤くする。

「い、いや!そういうつもりじゃなくて!!」

「そ、そうです!」

私達は必死に弁明した。

「わ、分かりましたから!」

「もっとやってくれていいですよ〜!」

「黙って仕事しなさい!!」

ルナイトはヤジを飛ばして来た部下にそう言った。

「それにしても大丈夫ですか?」

「怪我はしてないよ?」

「そういうことではなく、一国の王女が他国の内情に干渉したのはマズいのでは?」

「No problem!」

私は右の人差し指を立てて言った。

「どういうことですか?」

「あれ?騎士団には話は通ってないの?」

「もしかして、冒険者ギルドから……?」

「その通り!」

「ですがリファリア様は冒険者ではないはずでは……?」

「それがね、リファも冒険者になったんだよ〜!」

「はい」

そう言ってリファは冒険者カードを取り出して、ルナイトに見せる。

「お、おぉ〜!」

「私の計画通りに動いてくれたからね!」

「まさか、国王様に冒険者ギルドに依頼するように唆したのは……」

「私だね!」

「ルミエール様、すごいですね……」

「そうかな?」

「こりゃ、《謀略の王女》だな!」

「失礼だぞ!すみません、ルミエール様、部下が失礼を……」

「いいよいいよ!私は気にしないし!」

「そうですか……ありがとうございます。でもどうしてこの国のことにここまで全力で?」

「人が犯罪を起こすのに理由はあっても、人が人を助けるのに理由なんていらないでしょ?」

「ルミエール様……」

「「「かっけ〜……」」」

「お前らは仕事しろ!!」

そんなことがあったが、私達は依頼を完了し、報酬の白金貨60枚を受け取り、そろそろ出立するため、挨拶のために王宮に戻った。

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