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第7話《弟子と始まり篇》従者に負ける主人

何で……何で私、M字開脚状態で縛られてるの……?

しかも……何で裸……?

「さて……どうやらわからせる必要がありそうですね?」

カーニャは怪しげに微笑んだ。

あぁ……そうだ、私は──────

何故こうなったか、思い出してみる。


─────────────────────


それは昨日の深夜のことだった。

「完成だ〜!!」

アトリエで私は完成品を天に掲げていた。

完成したのは俗にいう『くすぐり靴』だ。

これで!!

遂にカーニャをギャフンと言わせられる!!

上下関係をわからせてあげる!!

私はアトリエの明かりを消し、『くすぐり靴』を持って忍足でカーニャの部屋に向かう。

スリッパを履いているとうるさいので勿論裸足だ。

新築なので木の軋みとかも全くない。

だから慎重にいけば、足音一つ立たない。

そしてカーニャの部屋の前に立つ。

よし!

私は屈んでゆっくりとドアを開ける。

するとギリシャ型の足先が見える。

ん?足?

その瞬間、全てを悟ってしまった。

そしてギギギという効果音が付きそうな感じで顔をあげる。

するとそこには凄い冷たい視線で私を見下ろすカーニャがいた。

「すぅー……」

私は深呼吸すると一言。

「部屋、間違えちゃった!」

凄い笑顔で言った。

それに対して、カーニャは。

「言い訳にしては苦しいですね?」

流石に誤魔化しきれないか〜!

だって発明品持ってきちゃってるもんね〜!

よし、逃げよう!

私が後ろを向いた瞬間、意識が刈り取られた。

うっそ〜ん……


─────────────────────


カーニャside

私はルミ様の専属メイドだ。

専属メイドになるまでには紆余曲折あったがそれはまた別の機会に。

まぁ、私の主人は自由人で悪戯好き。

そして何より筋金入りの変態だ。

ルミ様が五歳になるころにはすでに悪戯をしてはお仕置きをしてを繰り返していた。

それは十年も続いていた。

そんなことを繰り返した十年だったため、ルミ様の体を色々と開発してきた。

だが、完全に手を出したことはない。

そこまでしてわからせる必要はないと思っていたのだが……

「すぅー……」

ルミ様は深呼吸して一言。

「部屋、間違えちゃった!」

この人は、完全にやりにきていた。

寝巻き姿に裸足。

おそらく足音を立てないためだろう。

そして手には何やら靴型のカラクリを持っていた。

ルミ様の性格からして『くすぐり靴』とかその感じのネーミングだろう。

どうやら完全にわからせる必要がありそうだ。

私はルミ様が後ろに振り向いた瞬間、その意識を刈り取った。

さて……

私はルミ様をベッドに運び、とりあえず全裸に剥く。

そして俗にいうM字開脚状態に縛っておく。

体全体は椅子に縛り付けた。

それでルミ様が意識を取り戻すのを待った。


─────────────────────


ルミエールside

あ、そうだ……

私、カーニャに仕返ししようとして部屋に入って返り討ちにされたんだった。

「ちょっと!離してよ!」

「襲撃者が何を言ってるんですか?」

「しゅ、襲撃者じゃないもん!!お、お父様達に言いつけるから!!」

「仕方ないですね……」

へっ!チョロいな!

「告げ口出来ないほどにわからせてあげましょう。」

「え?」

するとカーニャは私から没収したであろう『くすぐり靴』をあからさまに手に取る。

「ねぇ……何する気?」

「少し楽しいことですよ?」

私の開発した『くすぐり靴』はダイヤル形式で強弱が変わる。

カーニャはそのダイヤルを私に見えるように、最大の『極』にする。

そして裸足の私の足にカパっと嵌める。

それと同時に靴の中で私の足指が拘束されるのを感じた。

これ、アカン奴や……

そう思った時、靴の中でブラシやら筆先やらが動き出す。

「《シャットサウンド》。」

カーニャは遮音結界を張った。

これ、ホンマにアカン奴や!!

そして

「あははははははひゃははひゃはひゃはははははひゃはひゃあはははっはあはは〜ゆりゅしてええええへへへへへへへへえええへへへ〜あはひゃはひゃははひゃはひゃひゃははひゃははは〜!!」

「嫌です。」

カーニャが凄く冷たい視線で私を見る。

こんな無様な私の姿を見ている。

やばい、興奮してきた。

「ルミ様、興奮していますよね?」

「あはひゃはあひゃはひゃははははははひゃはっははっやははやははは〜し、してにゃいいいいいひひっひひいひいいひいい〜あはひゃはやはひゃひゃはやはっはひゃはやははは〜!!」

「証拠にホラ、乳首勃ってますよ?」

そう言って乳輪をクルクルと指で触る。

「あひゃひゃやはやはややははははははひゃはっはひゃはははっひゃ〜しゃわらにゃいでええへへへへえええええへへっへ〜あひゃひゃははははははひゃやははっっははっはは〜!!」

そんなことされ、軽くイった。

それに気づいたのだろう。

カーニャは『くすぐり靴』を止めてくれた。

「はぁはぁはぁはぁ……」

どうやらもう解放してくれそうだ……

「さて、第一回戦は終了です。」

ん?第一回戦?

「えっ……終わりじゃ……」

「これだけでは足りませんよ?夜の主従関係を教えるには」

「えっ……?」

「次は第二回戦ですよ?」

もしかして、私、従者に『わからせ』られる?

そう思ったと同時、カーニャの指は下の口に入ってくる。

激しく、そして的確に私の感じるポイントを触っていく。

部屋の中にはクチュクチュといういやらしい水音が響いていた。

「っ……♡……んっ♡……ん……っ♡……んん……ああ……♡」

「どうしたんです?そんなにエロい声出して」

「っ……♡……これはっ♡……カーニャがぁ……無理やりっ♡……んん………♡」

「その割には嬉しそうですね?」

そう言うと同時にカーニャが乳頭を弄り始める。

「んああっ!?……っあ、あ、あぁっ……♡」

「気持ちいいですか?」

「っ……♡……んっ♡……き、気持ちいいっ……んっ♡」

何で……何でこんなに上手いの……?

本当に気持ちいい……

あっ、もうダメ……

「んぁんッ♡♡♡ぅう、ふぅぅ♡♡♡♡ん、んんぁ♡♡♡♡」

そして私の胴が大きく波を打ち、腰がびくんっ、と跳ねる。

「はぁはぁ…… 」

「では、終わりにしましょうか。」

え、もう終わり……?

「や、やぁだ…… ♡♡」

「何がですか?」

「もっとぉ…… ♡♡♡もっと気持ちよくしてぇ…… ♡♡♡♡」

「ほう?貴方は第四王女ですよね?それがこんな変態なんですか?」

「私は変態ですぅ……だからぁ……お仕置きしてくださいぃ…… ♡♡♡♡」

この時の私は完全に快楽に飲まれていた。

「いいですよ?変態王女さん♡」

カーニャはそのまま耳元で囁いた。


─────────────────────


翌日、私は全裸の状態でカーニャのベッドで目を覚ました。

「あれ?私は一体……」

そして全てを思い出した。

主人が従者にあんな無様に快楽を強請るとかやばいじゃん!!

何やってんの私!!

「お目覚めになりましたか?」

「カ、カカ、カーニャ!!」

「何をそんなに驚いているのですか?」

「な、何でもない……」

夢……?

でも全裸だし……

そんなことを思っているとカーニャが近づいてきて、

「昨日は凄かったですね、変態王女さん♡」

その一言に、私の顔は真っ赤に染まった。

「服を着て、降りてきてくださいね?朝食、用意していますので」

カーニャは本当に私の行動を先読みしている。

それは10年以上も一緒にいれば私の行動くらい読めるか……

それにしても昨日の……めっちゃ良かったな……

今度、オトナの玩具でも作ってみようかな……

とりあえず朝ご飯かな!

私はパジャマを着直して、一旦一階に降りて行った。

「二人とも、おはよ〜!」

「おはようございます、ルミエール様。」

「ルミエールじゃなくてルミでいいよ!弟子なんだし!」

「は、はい!ルミ様……」

リファは少し顔を赤らめた。

「大丈夫?顔赤いけど……」

私はリファに近づいて、額と額を合わせる。

「え、ちょっ、ルミ様!?」

「熱は無さそうだね!引っ越しの疲れが残ってるのかな……じゃあ今日もちゃんと休んでてね!」

「え、あ、は、はい……」

私はサクッと朝食を平らげ、自室に戻って服を着替える。

ポーチよし!

中身もよし!

投げナイフよし!

《クレシェンテアルク》よし!

《ラファールランス》よし!

《ファンタズムエッジ》よし!

それと《シエル》もよし!

「じゃあ私、冒険者ギルド行ってくるね!」

「行ってらっしゃいませ。」

私は玄関を開け、《シエル》に跨り、冒険者ギルドに向かって飛んでいった。


─────────────────────


リファリアside

ルミ様はズルい。

本当にズルい。

「なんなんですか……もう……」

「ルミ様は本当にズルいと思います。」

「カーニャもそう思いますよね!?」

「はい。可愛らしいところもあれば、急にカッコいいところを見せてきて脳を破壊されるんですよ。」

「でしょう!?」

「あの方は優しいんですよ。」

「そういえばルミ様とカーニャって仲良いですよね?」

「そうですね。何故それをご存知で?」

「一度だけ見かけたことがあったんです。テイル様の誕生祭で。」

「そうでしたか」

「羨ましかった……」

「関係が、ですか?」

カーニャの問いに、頷く。

「私には居ませんでしたから。本質を見て、仲良くしてくれる人なんて。私は昔から変わらない能力のないリヴェルベロ家という名前のある『人形』なんですよ」

「『人形』、ですか……わかりますよ、その気持ち。」

「え?」

意外な返答が返ってきた。

カーニャが人形?

「あれほど仲が良いのに貴方は『人形』なんですか?」

「どちらかと言えば、『元』ですけどね」

「『元』?」

「はい。お話しましょう、私が人形ではなくなった理由、ルミ様との出会いを」


─────────────────────


カーニャside

私自身、もともと王家に使える身ではなく、この国の貴族に仕えていたただの使用人だった。

当時の私には『感情』がなかった。

「おい!お前、さっさと料理を出せ!!」

「只今」

主人の言うことを聞いて、

「ふざけるな!!」

主人は私を殴る。

「申し訳ありません」

そんな暴力を振るわれたり、

「さっさと脱げ!!」

「はい」

私は全裸になり、主人の陰茎を自分の膣内に入れる。

「お前が動け!」

「承知しました」

私は腰を動かす。

もちろん中に出される。

このように体を差し出したり、奴隷のように扱われた。

そんなことに対して私は何も感じなかった。

これまでやってきたこと、そしてこれからもそうすることが『当たり前』だと思っていた。

自分にはそうする他生きる道が無いとそう思っていた。

そんな暗く深い闇の中に差し込んだのは当時四歳のルミ様だった。

「いくぞ!!」

「はい」

その日もいつも通り仕えていた。

だが、ただ一つ違っていたのは、この王宮に、付き添いで来たことだった。

それが私のターニングポイントだった。

その貴族が国王様に謁見していた時のことだった。

「国王様、お久しぶりでございます!」

「あぁ。元気そうで良かった。」

「お父様!」

「どうしたルミエール?」

「この人、悪い奴だよ!」

「なっ!?」

主人の表情が曇る。

「どうしてそう思ったんだ?」

国王様は優しくルミ様に聞く。

「この人のメイドさん、傷だらけだよ?」

驚いた。

四歳にも関わらず凄い観察力だ。

「そ、そんなの勝手に怪我したんだろ!」

「それにしても傷が多すぎない?」

「コ、コイツがドジなだけだろ!!」

「じゃあ腕を見せて?」

「な、なんでだ?」

「メイドさんの指に血がついているからだよ?」

本当に凄い。

この王宮に来る前に、主人に暴力を振るわれた。

その時、たまたま爪が引っかかり、主人に傷を与えていた。

その時の指をそのままにしていたのは誰かに気づいて欲しいという深層心理から来ていたのだろう。

その後、私への不当な扱いがバレた主人は死罪となり、私は解放された。

「良かったね!」

そう言ってルミ様は私に微笑みかけた。

この時、『安心』という感情を思い出した。

そして私は涙が溢れた。

「君は自由だ。好きなように過ごすと良い。」


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リファリアside

「そして決めたのです。私を人形から解放し、感情を思い出せてくれたこの人に生きる限り、尽くそうと」

「カーニャ……」

「だから私はルミ様専属メイドなのです。貴方にもきっとこの気持ちがわかるはずです。貴方はこれから救われるのですから」

「これから?」

「ええ、貴方はまだ本当の意味で救われていない。ルミ様は全てを解決してくれますよ」

カーニャの目はまるで全てを見通しているような目をしていた。

この時の私はまだ知らなかった。

カーニャの言葉の意味を。

そしてもう一つ知らなかった。

──────ルミエール=ラウエルの凄さを。

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