「お前本当に絵だけが取り柄って感じするな。」
「それは…自覚してるけど、言わないでよ。」
私をそっと励ますように、夕日がそっと美術室に光を差し込む。
「自覚しているなら2時間も絵を描くな。」
「たったに2時間だよ!」
美術しか目がない私をこうして気にかけてくれた、彼の顔は、日が指しており眩しく見えなかった。
「そんなに言うなら今日はやめるよ。」
「おう、はよ帰ろう。」
荷物を軽くまとめ、ふと空を見上げた。
なにか…
「舞。今日の夕飯は?」
夕焼けが私達を照らす。
「また来る気なの?」
「いやぁまた小説書いたから見て欲しくてさ。」
彼は小説家を目指しており、本好きな私のために見せてくれるのだ。
「今回はどういう設定?」
「今回は学園ファンタジーだね。」
おぉ…心が浮き立つ
「設定は!年齢は!」
「勢い…さっきの言葉撤回する。お前は本と美術しか目がない。」
私は本のためなら一生をかけられるよ。
「…私は本棚と紙とペンがあれば生きていけるからね!」
「うーん勢い!」
ねぇ覚えてるこの会話?
電子音がぴっぴっと規則的になる部屋の中私は必死に彼に語りかけていた。
1週間前まで笑顔で隣にいてくれたのに