「おい遥輝やっと戻ってきたか」
「... ...菜月の最後の言葉はなんだ。松井先輩?」
今日は神崎にしか連絡をしていなかったが、松井もやって来ていた。
「不審に思った神崎が俺に連絡をしていたんだよ。お前が死に向かおうとしているという話を聞いたときに、お前が菜月の最後の言葉を聞いていないと思いだしたからな」
松井にジロっと睨まれる。彼は松井菜月の兄松井冬弥。サッカー部に入っていた僕と神崎の部活の先輩で一番仲良くさせてもらっていた。彼は部活の頼れる兄貴というか松井菜月の兄だ。
「菜月の最後の言葉は花を見つけてほしいだ。お前なら何か知ってるかと思ったがその様子なら何も知らないようだな」
何も言葉がでなかった。知らないから言葉がでなかったわけじゃない。心当たりがあったのだ。
「なにも知りません。菜月からそんな事は...聞いたことない」
ぎゅっと紐で縛られるような苦しみから逃れたくて言葉を紡ぐ。
菜月君は何を伝えたいの?