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E 消えた君

「バイバイ」

 ただ闇の中僕が一生愛した女性はそう呟いていた。

 いつもの彼女なら見せない幸せそうな笑顔で。

 愛していた人に裏切られるのってこんなに辛いんだ。そう、気づいてしまった僕。

 もうあの頃には戻れない。

 一番星のように輝いていた君。僕を裏切るなら、君は一番星じゃなくていい。

 「君は僕だけの...m」

 この時に気づけばよかったんだ。

 僕らが交通事故で2人とも重体で生死を彷徨う状況だったということを。

 そしたら彼女の...本当の意味を理解出来たはずなのに。

チリ、チリ、チリチリチリチリ

 いつものアラームいつもの天井いつもの部屋のはずだった。

 横には彼女 松井菜月がいたはずだったのに。

 僕らは先日山に星空を見に行った。そんな、星空デートの帰り道僕らが乗った車は、トラックににはねられてしまったのだ。

 僕らは意識不明の重体で僕だけ奇跡的に助かったのだ。僕だけ。

 彼女は事故にあってから5時間後、彼女の両親らに見守られながら亡くなったらしい。

25歳だった。

 僕が目覚めてからすぐ皆が

「君だけでも助かって良かった。」

 その言葉だけで、彼女を深く愛していた僕を自殺に追い込むのに十分だった。



 僕は、彼女が最後に見た星を見るために、飛び降り自殺しようと考えた。

 しかし夜だと巡回してる方がいらっしゃる。しかも4人。

 四方囲まれている状況で僕は突破出来る自信が無かった為、親友神崎汐を騙して星を見るために屋上に連れて行ってと言い、協力してもらう事にした。

 一瞬見つかりかけたが何とかこの体を引っ張り屋上まで行くことが出来た。

 親友に最後の電話をかけようとした途端、相手からかかってきた。

「もしもし。ありがとう。もうそろそろなつのところに逝くよ。」

『おい!お前は死ぬな!』

「はっ?おい。なんだよ!お前、この僕の気持ち分かるか?世界で1番愛していた人と別れてしまった、悲しみが」

『いや分からん。というか死ぬのなら、菜月の最後の言葉を聞いてからにしろ。』

 菜月の最後の言葉?あの言葉を聞いてから菜月に逢いに行くことしか考えていなかったから、きっと周りの人が言っていても、覚えてないだろう。

「菜月の最後の言葉...」

『分かったんだったらはよ降りてこい。』

「あぁ。分かった。」

 菜月の言葉最後。僕に聞く資格はあるのだろうか、あったとしてもそれに僕は耐え切れるのだろうか。

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