11月20日 14:10 青森空港 1階
「JAL…JAL…」
青森空港に到着した。
チェックインして、荷物を預けて保安検査……青森空港って国際線あるんだ。
国際線の案内板があった。
「あ、あれじゃない?」
「あ、あれだね」
今回乗るのは日本航空のクラスJ。
少し課金して良い座席を取った。
「預け入れ機は…あ、あった」
荷物自動預け入れ機があった。
最近は何処の空港でもこれがある。
自動チェックイン機にスマホに表示されているQRコードをかざす。
乗る予定の飛行機が表示された。
[JAL167 青森15:20→東京/羽田16:40]
「OK」
確認を押して、手荷物タグを発行した。
発行された手荷物タグをキャリーケースの持ち手に巻きつける。
「後は持ってくだけだね」
「うん、あそこだ」
自動預け入れ機の端末にまたQRコードをかざして、キャリーケースをベルトコンベアの上に置く。
[お手荷物の中に以下の危険物はありますか?]
当然無いので”所持していません”を押す。
いつの間にかキャリーケースは回収され、手荷物引換証が発行された。
「次は保安検査だね」
「うん、金属外さないとね」
あれ、指輪は大丈夫なのかな…。
まぁ、引っ掛かったら外せばいいや。
荷物を預けたから、2階に上がって保安検査場へ向かう。
保安検査場はあまり混んでおらず、すぐに終わりそうだ。
「リュックはトレーに置いて…良し、これでいい」
金属探知機を潜る。
何も鳴らなかった。
良かった。
彩華も引っかかる事はなく、無事に通過出来た。
指輪は引っ掛からないのか。
「あそこ座ろっか」
「うん」
時間が来るまで座って待つ。
後1時間程度か。
適当に窓と搭乗口が近い所に座る。
今回の搭乗口は2番。
「何分前から乗れるのかな?」
「15分前だって」
「そっか」
15分前と言う事は、1505から乗れると言う事。
と言っても、搭乗にも順番があるから後の方になりそう。
15:10 JAL167便 機内
搭乗開始の5分の後、機内に入る事が出来た。
今回の座席は4Aと4C、クラスJの一番後ろ。
「まだ倒しちゃ駄目なんだよね?」
「うん、飛んでからだね」
今回の座席は一番後ろであるから、心置きなく倒せる。
レッグレストも付いてるから、快適な1時間20分を過ごせるだろう。
「あ、USBポートある」
「スマホ、飛んだら充電しよっか」
「うん」
離着陸時は諸々を初期の状態に戻さなければならない。
地上に居る時は、離陸まで時間がかかる場合以外は何も触らないで置く。
一々やるのはめんどくさいからね。
[皆様、只今ドアが閉まりました。皆様が指定された座席に着席している事を確認して出発致します]
CAさんが座席を回り始める。
放送通り、皆が座っているのを確認しているのだろう。
外を見みると、ボーディングブリッジが外されて、プッシュバックが始まっている。
青森空港は小さいから、離陸まで時間は掛からないだろう。
安全ビデオが始まった。
特に特徴がある訳でも無く、単調な説明が続く。
安全ビデオを見ていると、いつの間にか機体は滑走路に達していた。
いつもの2音チャイムが鳴り、”離陸するからシートベルトを締めろ”と言う旨の放送が行われる。
「離陸だ〜」
機体は急加速し始めた。
身体が座席に押し付けられる。
搭乗率は8割程度。
空席がまばらに存在する。
「飛行機ってやっぱり早いね〜」
「ねっ」
艦乗りからすると、東京青森を1時間で行ってしまう飛行機には毎度毎度驚愕する。
艦で行けば、1日はかかってしまう。
飛行機って凄いなぁ。
少し飛んでいると、シートベルトサインが消えた。
リクライニングを倒して、スマホの充電をする。
「彩華」
「ん〜?」
「好き」
「えへへ、私も!」
彩華のほっぺをムニムニする。
毎度毎度反応が可愛い。
彩華をムニムニしていると、CAさんがカートを押しながら来た。
1時間程度だから、飲み物かな。
「失礼します。お飲み物は如何ですか?」
「あ、リンゴジュースをお願いします」
「奥の方はどうされますか?」
「コンソメスープを」
「分かりました」
CAさんがコップにリンゴジュースとコンソメスープを注ぐ。
注ぎ終えたら、机のカップ置きに置いた。
「失礼します」
空で飲むリンゴジュースは格別だ。
深海で飲むリンゴジュースとは全く違う。
「紫雲ちゃん、美味しいね」
「うん、美味しい」
おかわり頼もう。
ネットとかで売ってないかな、コレ。
「紫雲ちゃん」
「ん?」
「海外、楽しみだね」
「うん、楽しみ」
来年の2月に行こうと考えている。
予約も2月にして欲しいと名寄さんにお願いした。
「スイスと…ドイツだっけ?」
「うん、スイスと西ドイツ」
今回はスイスと西ドイツに行く。
ベルリンの壁、楽しみだな。
東京国際空港 16:36 第1ターミナル 手荷物受取場
「あ、来た来た」
ベルトコンベアから荷物が流れて来た。
しっかり回収して、受取場を出る。
「どうやって帰る?」
「やっぱり京急でしょ」
JRはまだ工事中だから、京急で帰る。
外の方を見てみると、多数のバスが慌ただしく発着していた。
流石は羽田空港、格が違う。
「下行こ」
「うん」
エスカレーターで1階に下ろうとしたその瞬間、バス乗り場から多数の爆発音が聞こえ、身体が爆風に晒された。
「「!?」」
私は彩華を抱きしめ、床に倒れ込む。
ガラスは割れ、破片が散乱していた。
「と、取り敢えず下行こう、下!」
「う、うん」
取り敢えずこの場から逃げるべく、エスカレーターを下る。
他にも逃げる人がエスカレーターを下っていった。
上りエスカレーターには多数の警察官が到着ロビーに向かって駆け上がっている。
「怪我なくて良かった」
「うん、良かった」
エスカレーターを下って、地下1階へ。
現場から少し離れて安心しきったその瞬間、また爆発音がした。
しかし、先程の至近距離という訳では無く、距離的に京急のホームで爆発したのだろう。
「…まだ続くの?コレ?」
「かもね…」
そう言った瞬間、建設中のJR乗り場も爆発した。
今度はバス乗り場より近かったので、室蘭で習った通りの退避法をとった。
「だ、大丈夫?」
「ケホッ、ケホッ…だ、大丈夫だよ」
服が少し焼けてしまった。
でも、仕方がない。
「ど、何処逃げたら良いのかな…?」
「とにかく空港から逃げないと」
どうやって逃げよう?
バスは駄目、京急も当然アウト、モノレール…動いてるかな…?
「モノレール…やっぱり止まってるよね」
「ねぇ、臭わない?」
「え?言われてみれb……火事!?」
爆発の影響で燃えている。
地下だからここに居ては不味い。
「上、上行こう上!」
「う、うん」
彩華の手を引いて階段を駆け上がる。
上は警察も来ているから地下よりはまだマシだろう。
「「はぁ…はぁ…」」
また1階に上がった。
ここなら酸素が供給される。
「大丈夫ですかー!」
沢山警察の人が駆け寄って来る。
ほとんどは地下1階へ下って行った。
「お怪我はありませんか!?」
「だ、大丈夫です」
「に、2階へ、2階へ上がりましょう」
「は、はい…」
警察官の誘導に従って2階の出発ロビーへ上がる。
出発ロビーに上がると、私も彩華もベンチに倒れ込んだ。
「流石に…疲れた…」
「うん…疲れたね…」
出発ロビーには私達と同じ様な人々がベンチに座ってたり、寝てたりしていた。
もう少ししたら消防とか救急が来るだろう。
警察の増援も来るはず。
…となると、羽田空港は封鎖されてしまう。
いつになったら、帰れるのか。
「…真っ赤」
出発便掲示板を見てみると、軒並み"欠航"と出ていた。
そりゃそうだ、爆弾テロだもの。
「紫雲ちゃん…」
「……?」
彩華が私の手を握る。
私を感じて、心の平穏を保つ。
私も良くやる手法だ。
「…えへへ」
「…ふふっ」
彩華と手を握っていると落ち着くし安心する。
落ち着いた事で止まっていた思考が回り出す。
…はて、どうやって帰った物か。
いや、このままゆっくりしよう、急いでる訳でも無いし。
暫くしたら、警察の誘導で空港から出れるだろう。
それまでこのまま寝ていよう。