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第参拾壱話 東京国際空港

 11月20日 14:10 青森空港 1階


「JAL…JAL…」


 青森空港に到着した。

 チェックインして、荷物を預けて保安検査……青森空港って国際線あるんだ。

 国際線の案内板があった。


「あ、あれじゃない?」


「あ、あれだね」


 今回乗るのは日本航空のクラスJ。

 少し課金して良い座席を取った。


「預け入れ機は…あ、あった」


 荷物自動預け入れ機があった。

 最近は何処の空港でもこれがある。


 自動チェックイン機にスマホに表示されているQRコードをかざす。

 乗る予定の飛行機が表示された。


[JAL167 青森15:20→東京/羽田16:40]


「OK」


 確認を押して、手荷物タグを発行した。

 発行された手荷物タグをキャリーケースの持ち手に巻きつける。


「後は持ってくだけだね」


「うん、あそこだ」


 自動預け入れ機の端末にまたQRコードをかざして、キャリーケースをベルトコンベアの上に置く。


[お手荷物の中に以下の危険物はありますか?]



 当然無いので”所持していません”を押す。

 いつの間にかキャリーケースは回収され、手荷物引換証が発行された。


「次は保安検査だね」


「うん、金属外さないとね」


 あれ、指輪は大丈夫なのかな…。

 まぁ、引っ掛かったら外せばいいや。


 荷物を預けたから、2階に上がって保安検査場へ向かう。

 保安検査場はあまり混んでおらず、すぐに終わりそうだ。


「リュックはトレーに置いて…良し、これでいい」


 金属探知機を潜る。

 何も鳴らなかった。

 良かった。


 彩華も引っかかる事はなく、無事に通過出来た。

 指輪は引っ掛からないのか。


「あそこ座ろっか」


「うん」


 時間が来るまで座って待つ。

 後1時間程度か。


 適当に窓と搭乗口が近い所に座る。

 今回の搭乗口は2番。


「何分前から乗れるのかな?」


「15分前だって」


「そっか」


 15分前と言う事は、1505から乗れると言う事。

 と言っても、搭乗にも順番があるから後の方になりそう。



 15:10 JAL167便 機内

 搭乗開始の5分の後、機内に入る事が出来た。

 今回の座席は4Aと4C、クラスJの一番後ろ。


「まだ倒しちゃ駄目なんだよね?」


「うん、飛んでからだね」


 今回の座席は一番後ろであるから、心置きなく倒せる。

 レッグレストも付いてるから、快適な1時間20分を過ごせるだろう。


「あ、USBポートある」


「スマホ、飛んだら充電しよっか」


「うん」


 離着陸時は諸々を初期の状態に戻さなければならない。

 地上に居る時は、離陸まで時間がかかる場合以外は何も触らないで置く。

 一々やるのはめんどくさいからね。


[皆様、只今ドアが閉まりました。皆様が指定された座席に着席している事を確認して出発致します]


 CAさんが座席を回り始める。

 放送通り、皆が座っているのを確認しているのだろう。


 外を見みると、ボーディングブリッジが外されて、プッシュバックが始まっている。

 青森空港は小さいから、離陸まで時間は掛からないだろう。


 安全ビデオが始まった。

 特に特徴がある訳でも無く、単調な説明が続く。


 安全ビデオを見ていると、いつの間にか機体は滑走路に達していた。

 いつもの2音チャイムが鳴り、”離陸するからシートベルトを締めろ”と言う旨の放送が行われる。


「離陸だ〜」


 機体は急加速し始めた。

 身体が座席に押し付けられる。


 搭乗率は8割程度。

 空席がまばらに存在する。


「飛行機ってやっぱり早いね〜」


「ねっ」


 艦乗りからすると、東京青森を1時間で行ってしまう飛行機には毎度毎度驚愕する。

 艦で行けば、1日はかかってしまう。

 飛行機って凄いなぁ。


 少し飛んでいると、シートベルトサインが消えた。

 リクライニングを倒して、スマホの充電をする。


「彩華」


「ん〜?」


「好き」


「えへへ、私も!」


 彩華のほっぺをムニムニする。

 毎度毎度反応が可愛い。


 彩華をムニムニしていると、CAさんがカートを押しながら来た。

 1時間程度だから、飲み物かな。


「失礼します。お飲み物は如何ですか?」


「あ、リンゴジュースをお願いします」


「奥の方はどうされますか?」


「コンソメスープを」


「分かりました」


 CAさんがコップにリンゴジュースとコンソメスープを注ぐ。

 注ぎ終えたら、机のカップ置きに置いた。


「失礼します」


 空で飲むリンゴジュースは格別だ。

 深海で飲むリンゴジュースとは全く違う。


「紫雲ちゃん、美味しいね」


「うん、美味しい」


 おかわり頼もう。

 ネットとかで売ってないかな、コレ。


「紫雲ちゃん」


「ん?」


「海外、楽しみだね」


「うん、楽しみ」


 来年の2月に行こうと考えている。

 予約も2月にして欲しいと名寄さんにお願いした。


「スイスと…ドイツだっけ?」


「うん、スイスと西ドイツ」


 今回はスイスと西ドイツに行く。

 ベルリンの壁、楽しみだな。




 東京国際空港 16:36 第1ターミナル 手荷物受取場


「あ、来た来た」


 ベルトコンベアから荷物が流れて来た。

 しっかり回収して、受取場を出る。


「どうやって帰る?」


「やっぱり京急でしょ」


 JRはまだ工事中だから、京急で帰る。

 外の方を見てみると、多数のバスが慌ただしく発着していた。

 流石は羽田空港、格が違う。


「下行こ」


「うん」


 エスカレーターで1階に下ろうとしたその瞬間、バス乗り場から多数の爆発音が聞こえ、身体が爆風に晒された。


「「!?」」


 私は彩華を抱きしめ、床に倒れ込む。

 ガラスは割れ、破片が散乱していた。


「と、取り敢えず下行こう、下!」


「う、うん」


 取り敢えずこの場から逃げるべく、エスカレーターを下る。

 他にも逃げる人がエスカレーターを下っていった。

 上りエスカレーターには多数の警察官が到着ロビーに向かって駆け上がっている。


「怪我なくて良かった」


「うん、良かった」


 エスカレーターを下って、地下1階へ。

 現場から少し離れて安心しきったその瞬間、また爆発音がした。

 しかし、先程の至近距離という訳では無く、距離的に京急のホームで爆発したのだろう。


「…まだ続くの?コレ?」


「かもね…」


 そう言った瞬間、建設中のJR乗り場も爆発した。

 今度はバス乗り場より近かったので、室蘭で習った通りの退避法をとった。


「だ、大丈夫?」


「ケホッ、ケホッ…だ、大丈夫だよ」


 服が少し焼けてしまった。

 でも、仕方がない。


「ど、何処逃げたら良いのかな…?」


「とにかく空港から逃げないと」


 どうやって逃げよう?

 バスは駄目、京急も当然アウト、モノレール…動いてるかな…?


「モノレール…やっぱり止まってるよね」


「ねぇ、臭わない?」


「え?言われてみれb……火事!?」


 爆発の影響で燃えている。

 地下だからここに居ては不味い。


「上、上行こう上!」


「う、うん」


 彩華の手を引いて階段を駆け上がる。

 上は警察も来ているから地下よりはまだマシだろう。


「「はぁ…はぁ…」」


 また1階に上がった。

 ここなら酸素が供給される。


「大丈夫ですかー!」


 沢山警察の人が駆け寄って来る。

 ほとんどは地下1階へ下って行った。


「お怪我はありませんか!?」


「だ、大丈夫です」


「に、2階へ、2階へ上がりましょう」


「は、はい…」


 警察官の誘導に従って2階の出発ロビーへ上がる。

 出発ロビーに上がると、私も彩華もベンチに倒れ込んだ。


「流石に…疲れた…」


「うん…疲れたね…」


 出発ロビーには私達と同じ様な人々がベンチに座ってたり、寝てたりしていた。

 もう少ししたら消防とか救急が来るだろう。

 警察の増援も来るはず。

 …となると、羽田空港は封鎖されてしまう。

 いつになったら、帰れるのか。


「…真っ赤」


 出発便掲示板を見てみると、軒並み"欠航"と出ていた。

 そりゃそうだ、爆弾テロだもの。


「紫雲ちゃん…」


「……?」


 彩華が私の手を握る。

 私を感じて、心の平穏を保つ。

 私も良くやる手法だ。


「…えへへ」


「…ふふっ」


 彩華と手を握っていると落ち着くし安心する。

 落ち着いた事で止まっていた思考が回り出す。


 …はて、どうやって帰った物か。

 いや、このままゆっくりしよう、急いでる訳でも無いし。

 暫くしたら、警察の誘導で空港から出れるだろう。

 それまでこのまま寝ていよう。


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