11月18日 19:20 大湊駅前
「や、やっと着いた…」
「長かったね…」
長かった。
野辺地駅の接続も1時間位待たされたし。
「ば、晩御飯…過ぎてる…」
「こ、高級旅館だし、何とかしてくれる…と、思うよ?多分?」
「そ、そうだよね…」
「あ、送迎バスは…?」
「駄目みたい…」
「うーん…」
電話した時に駄目って言われた。
残念、タクシー乗るしかないね。
「タクシー乗ろうか」
「うん」
駅前ロータリーに停車していたタクシーに乗り込む。
1台だけしか停車していなかった。
そんなに需要無いのかな。
「何処まで?」
「下北屋まで」
「はい、了解しました」
乗り込んだのは白色の個人タクシー。
下北屋までは1時間以上かかる。
着くのは2000位かな。
20:12 下北屋前
「はい、到着で~す」
「「ありがとうございま~す」」
料金メーターには16,150と表示されている。
1万6150円か、まだ許容範囲内かな。
クレカで決済が出来る用なので、クレカで決済を済ませる。
最近は何処でもクレカが使える様になって便利。
「ありがとうございました、お気をつけて」
「「は~い」」
タクシーを降りると、女将さんが出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ」
遅れたのはこちらなのに、わざわざ出迎えてくれた。
女将さんに連れられて館内へ。
エントランスにはのんびりしている宿泊客がちらほら目に入った。
「お部屋は320号室となっております」
320号室か。
3が8だったら良かった…いや、特に何かある訳では無いけど。
「お食事はいつ頃に致しましょう?」
「何時にする?」
「ん~…
「21時でお願いします」
「承知いたしました。お部屋までお荷物をお持ち致します」
「あ、ありがとうございます」
20:16 下北屋 3階 320号室
「それでは、21時にお食事をお持ち致します」
「はい、お願いします」
「失礼します」
女将さんが去った後、部屋の中に入る。
玄関で靴を脱ぎ、前室へ。
「あ、ベッドもあるんだ」
「うん、そうね」
ベッドもある。
きっと布団もあるだろう。
どっちで寝ようかな。
「何だか、紫雲ちゃんの家みたい」
「そうね」
確かに、私の実家みたいだ。
違う点と言えば広さと温泉位かな。
「お風呂は何処にあるのかな?」
「何処だろうか…な!」
前室の方を覗いて見ると、洗面台が玄関の隣にあった。
きっと、あそこの奥にお風呂があるのだろう。
「あっちの奥にあると思うよ」
「そっか~」
「取りあえず、着替えちゃおっか」
「うん!」
部屋に用意されていた浴衣に着替える。
サイズは問題無し、彩華の方も問題無い様だ。
うん、綺麗だ。
「えへへ~、似合ってる?」
「めっっっっっっちゃ似合っとるよ」
彩華は何を着ても映えるなぁ、ホント。
こーんな可愛い子が存在して良いのかな。
「紫雲ちゃんも似合ってるよ!」
「ふふっ、ありがとっ」
衝動で彩華に抱き着く。
彩華は満足そうだ、可愛い。
「紫雲ちゃん…暖かい」
「彩華も暖かいよ」
彩華の頭をゆっくり撫でる。
彩華は更に強く私を抱きしめた。
凄く幸せ。
21:00
食事が運ばれて来た。
真鱈が旬だと聞いていたが、まさか釜めしになって出てくるとは。
「「いただきます」」
釜めしから頂く。
うん、美味しい。
それ以外に言葉が出ない。
あまりの美味しさに語彙力が低下している。
「美味しい…美味しいよ…」
「うん、美味しいね!」
流石は下北屋。
料理の質も高い。
「1泊だけ?」
「ううん、2泊」
「そっか~」
元々は1泊だったけど、操作ミスで2泊になった。
まぁ、長く泊って困る事は無い。
22:32 露天風呂
「「ほわぁ~」」
ご飯を食べて、お風呂に入っている。
陸奥湾の出入口を見渡せる
景色は抜群!
…まぁ、夜だけど。
「お部屋にお風呂があるって良いね」
「うん、良いよね」
私と彩華だけの空間。
家では簡単に創り出せるが、外ではそうはいかない。
ほとんどは大浴場に行かせられる。
でも、彩華は私以外に全裸を見せたくない。
だから、シャワーだけで済ませる事も多い。
「さーいかっ」
「はい、コレ」
「ありがとっ」
彩華に双眼鏡を取ってもらった。
何故ならば、陸奥湾に航行中の船舶が見えるからだ。
「何だろうなぁ…あれ」
見た目は…あ、あれ軍艦かな?
暗くてよく見えないや。
「ナイトビジョンっ」
この双眼鏡はナイトビジョン機能を搭載している。
普段の任務でも使用している物だ。
「あ、早潮だ」
大湊を母港とする第五艦隊の駆逐艦早潮。
一体、何処へ行くのだろうか。
「何処行くのかな?アレ」
「分かんないや」
彩華の良い匂いが漂ってくる。
凄く興奮する。
「彩華」
「ん〜?」
「大好き」
「んふふ、私も!」
彩華のお肌スベスベ。
すっごいエロい。
「あ」
「ん〜?」
「彩華、お酒飲む?」
「飲む〜!」
普段、お酒は私も彩華も飲まない。
お酒を飲む機会となれば、こう言う時しか無い。
ベロベロの彩華も可愛い。
23:41
熱燗を2本頼んだ。
広緑に設置されている机と椅子でゆっくり飲む。
「何か、こう言うの良いね」
「うん、雰囲気最高」
深夜、ゆったり和室で熱燗を飲む。
言葉にならない乙な物がある。
まるでドラマの1場面の様な。
「あ、第五艦隊」
さっき通った早潮は前衛…?
前衛にしては早過ぎるような。
別任務かな。
「紫雲ちゃん、アレ一機じゃない?」
「え?そうなの?」
やはり、暗くて良く見えない。
彩華から双眼鏡を渡してもらい、じっくり見る。
「…あ、一機だ」
旗艦の大鳳が見える。
早潮は全くの別任務だったのだろう。
「大湊に居たんだね」
「ねっ」
横須賀に居ないと思ったら、こんな所に。
これから横須賀に帰るのかな。
「…なんか、強く見えるね」
「うん。強く見える」
戦前と比べて、勇ましくなった様に思う。
戦争で戦った事により、実績が出来た。
戦後はその実績を糧としながら国を守る。
「ホントに戦ったんだね、紫雲ちゃん」
「うん、戦った」
今でも実感が湧かない。
確かに私達は戦った。
ウラジオストックの艦艇を9割撃沈したし、モスクワにミサイルも撃ち込んだ。
でも、実感が無い。
「何だか変な気分」
「うん」
まだ彩華はあまり酔っていない様だ。
まだまだ舌が回っている。
さて、後どれ程で酔うか。
「彩華」
「にゃーに…?」
あ、酔ってる。
顔がほんのり赤くなってる。
想像以上に早い。
私は彩華の隣の椅子に座る。
彩華はすぐにもたれかかって来た。
「んふふ、暖かい!」
「ヨシヨシ、良い子良い子」
優しく彩華を撫でる。
すると、"もっと撫でろ"と言わんばかりに頭を押し付けて来た。
その要望に従い、もっと素早く撫でる。
「えへへ~」
「ヨシヨシ」
可愛いなぁ、彩華は。
匂いもいつもより強いから、いつもより興奮する。
「彩華」
「んふ~?」
「寝よっか」
「うん……」
いつの間にか敷かれていたお布団に転がり込む。
勢いよく転がり込んだお陰で私も彩華も浴衣がはだけてしまった。
…ん?この状況、何だかデジャブ…?
「………」
「えへへ〜」
いつの間にか敷かれていたお布団に転がり込む。
勢いよく転がり込んだお陰で私も彩華も浴衣がはだけてしまった。
…ん?この状況、何だかデジャブ…?
「………」
「えへへ〜」
彩華がはだけている私の浴衣の隙間から手を突っ込んできた。
あ、思い出した!
新潟だ!
あの時はベッドだったけど…。
「彩華、可愛いね」
「んふふ〜」
さぁ、そろそろ寝落ちしちゃうぞ。
5、4、3、2、1……今!
「……すぅ………すぅ………んにゃにゃ……」
やっぱり寝ちゃった。
新潟はこのまま寝たけど、今日は違う。
寝たまま彩華を襲っちゃうもんね!
「彩華…彩華がこんな格好で寝るのが駄目なんだから…!」