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第陸話 新潟宿泊

 関越自動車道 長岡JCT手前

 赤城高原SAを出て数時間、車は長岡JCT付近まで来た。

 外はすっかり真っ暗になった。

 今日は新潟に泊まりたい気分なので、新潟まで行って泊まる。


「すぅ…すぅ…んーぅ…」


 彩華はぐっすり寝ている。

 寝顔は正に天使、こんな生物が存在して良いのだろうか。

 いや、存在すると言う事は、これは認められた可愛さと言う事。

 つまり彩華の存在は天から認められた存在であろう。

 ………私は何を考えているんだ?


「ホテル空いてるかな」


 車は長岡JCTを通過して、北陸自動車道に入る。

 JCTを通過したと言っても、本線をそのまま走り続けるだけなのだが。


「新潟まであと少しだ」



 新潟駅前 21:42

 新潟中央ICを降りて、一般道を経由して取りあえず新潟駅前へ。

 彩華は目が覚めた様で、外の景色を見回している。


「新潟だよ、彩華」


「もう新潟なんだ」


「ホテル探さないと」


 そう思い、周辺の看板を少し確認してみたところ、国鉄ホテルがあった。

 国鉄ホテルはいわゆる高級ホテルの部類に入るホテルで、食事も設備も良い。


「空いてるかな、国鉄ホテル」


 車を新潟駅の地下駐車場に止めて、ホテルに向かう。

 地下駐車場には空きがある様だ。

 駐車場からホテルが直結なのは有難い。



 国鉄ホテル新潟駅 エントランス 22:11


「今日、2人空いてますか?」


「少々お待ちください」


 普段は予約するのだが、今回は予約しなかった。

 そもそも長岡で泊まる予定だったしね。


「…はい、スイートが1部屋、空いています」


「じゃぁ、スイートでお願いします」


 奇跡的にスイートが1部屋空いていた。

 寄りにもよってスイートとは…。


「分かりました。朝食は如何為されますか?」


「お願いします」


「えー、では1泊2名朝食付きで、12万3200円となります」


「カードで」


「こちらにカードをお願いします」


 カードを機械に入れる。

 最近は現金決済を全くしなくなった。


「はい、ありがとうございます」


 決済が無事に終了した。

 使えないとか言われたらどうしようかと思った。


「こちらが部屋の鍵となります」


 3301号室と書かれた鍵を渡された。

 良くあるルームキーだ。


「お荷物をお運びします」


 鍵を受け取ると、ボーイさんが近づいて来た。

 荷物を運んでくれるらしい。


「お願いします」


 リュックを運んで貰う事にした。

 彩華の物も運んで貰う。


「凄いね…紫雲ちゃん」


「ねっ」


 エントランスから高級ホテルの雰囲気が溢れ出ている。

 部屋はどんな部屋なのだろうか。

 若干の期待を抱きながら、エレベーターで上へ向かう。


 33階 3301号室


「「おぉ~」」


 部屋の扉を開けると、靴を脱ぐスペースがあった。

 ここの部屋ではスリッパを履く様だ。


 靴を脱いで、リビングに入る。

 リビングは広く、新潟の夜景が良く見えた。

 テレビも大きいのがあり、ソファーが1つ、小さい椅子が4つあった。

 2人で泊まるには過剰な設備である。


「紫雲ちゃん、寝室も凄いよ!」


「おぉ!流石は国鉄ホテル」


 寝室も広く、ベッドのサイズは伊820の物とは比べ物にならない程広い。

 寝室の隣にはお風呂があった。

 お風呂にも窓があり、夜景を見ながらお風呂に入れる。


「お風呂、彩華から入っていいよ」


「良いの?」


「うん、勿論!」


「じゃぁ、お言葉に甘えて、先に入るね」


「うん、着替えを用意しておくよ」


「ありがと!」


 礼を言って、彩華はお風呂に入って行った。

 私は彩華のリュックを漁って着替えを探す。


「あ、パジャマあった」


 パジャマを見つけた。

 これだ、これ。


 私は彩華のパジャマを窓側のベッドに置く。

 彩華のパジャマを用意し終えたら、今度は私の分を出す。


「…あぁ、晩御飯どうしよう」


 良く考えたら晩御飯を食べていない。

 しかし、レストランは既に終了している。


「…あ、ルームサービスだ」


 そう言えば、ルームサービスでご飯を頼めた気がする。

 そう思い、私はルームサービス案内のパンフレットを見る。


「あった!フードデリバリー!」


 午前0時までご飯を配達してくれる。

 今日の晩御飯はこれにしよう。


「何しよっかな…」


 メニューが沢山ある。

 肉系に海鮮系、麺類も完備している様だ。

 あ、飲み物もある。


「日本酒飲んじゃお」


 日本酒があったので、それを飲む事にした。

 酔いが抜け無かったら、もう1泊すれば良いだけだ。


「ん~…このお刺身盛り合わせにしよ」


 お刺身盛り合わせにする事にした。

 彩華がお風呂から上がってきたら、彩華が何食べたいか聞こう。



 数十分後


「ふぅ~気持ち良かった」


 彩華がお風呂から上がって来た。

 晩御飯の希望を聞こう。


「彩華~、晩御飯何にする?」


「うぇ?」


「これ」


 私はフードデリバリーのメニューを見せる。

 彩華は身体にタオルを巻きながら見ている。


「ん~、海鮮丼!」


「了解、海鮮丼ね」


 ベッドに設置されいる客室電話を手に取り、内線21番に掛ける。

 本当に繋がるのだろうか。


『…はい、フードデリバリーサービスでございます』


「料理の配達を頼みたいんですけど…」


『ご希望の料理をどうぞ』


「10番の刺身盛り合わせと、9番の海鮮丼、それと、27番の真野鶴をお願いします」


『分かりました。刺身盛り合わせと、海鮮丼、真野鶴ですね』


「はい」


『部屋番号をお願いします』


「3301号室です」


『3301号室ですね、分かりました。15分程度でお届けいたしますので、お待ちください』


「はーい」


 無事に頼むことが出来た。

 15分程度で届けてくれるらしい。

 便利なサービス。


「15分位で届くってー」


「はーい」


 彩華は髪を乾かしている。

 銀髪がドライヤーの温風でなびいている。

 思わず見とれてしまう。


「…やっぱり綺麗」


 彩華の銀髪はいつ見ても美しい。

 彩華の髪は、誰が見ても美しいと感じるだろう。


「?どうしたの、紫雲ちゃん」


「あ、いや、何でもないよ」


 彩華をガン見している事がバレてしまった。

 まぁ、バレた所で問題は無いのだけれど。

 髪を乾かし終えた彩華はパジャマに着替えて、リビングの椅子に座ってご飯を待っている。


「紫雲ちゃん、お風呂入らないの?」


「ご飯食べてから入るよ、15分じゃお風呂時間足りないし」


「それもそうだね」



 18分後 


「来た来た」


 18分の後、ご飯が運ばれて来た。

 容器は食べ終わったらそのままゴミ箱に捨てるタイプ。


 中には注文通り海鮮丼とお刺身盛り合わせが入っていた。

 そして、しっかり真野鶴も1升瓶で届いた。


「「いただきます」」


 遅めの晩御飯。

 いや、ほぼ夜食かな。


「ん!美味しい!」


「ねっ、流石国鉄ホテル」


 お酒も美味しい。

 良い休暇になりそうだ。


「彩華、飲む?」


「うん、飲む!」


 彩華も日本酒を飲みたい様だ。

 私は彩華のコップにお酒を注ぐ。


 彩華は注がれたお酒を一気に飲み干す。

 顔が一気に赤くなる。


「もう一杯!」


「はいはい」


 上司と部下の関係で言えば、本来は彩華が注ぐべき所を私が注いでいる。

 しかし、この場は上司と部下の関係ではなく幼馴染だ。


 この真野鶴のアルコール度数は18度。

 日本酒に良くある度数だ。


 私が自分のコップに酒を注ごうとすると、彩華が瓶を強奪して来た。

 彩華はコップギリギリに注ぐと、一気に飲み干した。


「うへぇ~」


 酔った彩華を見れるのは私だけの特権。

 彩華は酔うと更に甘えてくる。

 暴力的にならなくて良かった。


「紫雲ちゃーん」


「ん?」


「好き~」


「んふふ、私も」


「うへへ~」


 可愛い。

 私は抱き着いて来た彩華の頭を撫でる。

 彩華は満足そうに顔を胸に擦り付けてくる。

 パジャマはボタンがされておらず、はだけている。


 そろそろ潮時だろう。

 彩華をお姫様抱っこして、ベッドに寝かせる。

 気持ちよさそうな顔をしている。


「紫雲ちゃんっ!」


 彩華をベッドに寝かせた途端、彩華が私の腕を掴んでベッドに引きずり込んだ。

 私は彩華の上にのしかかる体制となった。

 私を引きずり込んだ彩華は、私を抱いている。


「さ、彩華?」


「んふ~…ん~っ!」


 彩華が口付けをして来た。

 私の抵抗虚しく、彩華の舌が私の口内を蹂躙する。

 舌を絡め合ったり、舌先を突き合ったり、内頬を舐め回されたり等々…。

 私も彩華の口内を蹂躙すべく舌を伸ばした物の、見事侵入は阻まれてしまい、私が蹂躙されるばかりである。


 彩華は口内を舐めまわすばかりでは飽き足らず、唾液を流して来た。

 私も対抗して彩華に唾液を流し込む。

 彩華は驚きつつもそれを受け入れる。


「「んはっ…はぁ…はぁ…」」


 数分の接吻の後、お互い息が続かなくなってようやく口を離す。


「しゅき…!」


 完全に酔いが回った様だ。

 今日は私が酔って介抱される予定だったが、私が彩華を介抱する事となった。


「うへへ…」


 彩華が私のパンツに手を伸ばそうとする。

 しかし、途中で力尽きて寝てしまった。


「すぅ…んにゃ…んぅ…」


「…おやすみ」


 私は彩華を抱きしめながら寝る事とした。

 お風呂は朝入れば良いや。


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