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第4話 チート魔術師の無双

 馬車を襲撃する魔物の群れを囲むように、赤い魔法陣を出現させる。

 周りの密集している木々に注意をしながら魔力を込め、魔法陣の範囲内にいる魔物を一匹残らず焼き尽くす。った薬ではないので、生憎ドヤったりはしない。

 この顔でドヤれるかどうかが怪しいのだが。

「感謝します、魔術師様! 貴方の助力のおかげで窮地を脱することができました!なんとお礼を申し上げれば……」

 馬車から、茶髪のセミロングの姫様が出てきた。

 微塵の恐れもない、美しい青の瞳を向けられる。

 この姫様はもしや、と記憶を探る。

 反乱により崩壊した王家の王女リアン・アズベールではないか。

 何故こんな危険な森に一国の姫が守りの薄い状態で馬車移動しているのか、おおよそ見当がついた。

 国内情勢が悪化したことで、国民の反乱がすでに決行されていたのだ。

 王様は殺され、その娘は追われの身。

 国外逃亡を図り、人目の届きにくい危険なルートを近衛騎士らと進んでいたが案の定魔物に襲われ今に至る。

 よくよく思い返せばストーリー的に、俺が通りかからなくてもリアン姫は助かる。

 馬車を護衛していた近衛騎士たちは残念ながら全滅するが。

 それとリアン姫と一緒に乗車している側近の老人もいたな。

 助けてもらったというのに、まだ信用していないような眼で睨みつけてくる姫の後ろにいる執事服の老人。

 きっとアイツだ。

 本来、リアン姫はこれから主人公ラインハルのギルド『英傑の騎士団』に助けを求めるために拠点のある町へと逃げ込むのだが、一人の犠牲者を出さずに助けてしまったことで展開が変わったりしないだろうか?

 少し、心配だ。

「礼ならいい。ちょうど退屈をしていたのでな、いい暇つぶしになった」

「しかし救われたのも事実です! 何か形になる物でも、どうか御礼をさせてください!」

「いけません姫様!」

 リアン姫の後ろにいた側近の老人が叫んだ。

「ユリウス、何事ですか?」

「何事もなにも、その者から今すぐ離れてください!」

「しかし、それではわたくし達を救ってくれた恩人に無礼では……」

「いいから言うことを聞いてください! くっ、傲慢の魔術師め! 何が目的なのだ!?」

 どうやら側近のユリウスは俺のことを知っていたらしい。

 周りの近衛騎士たちも名前を聞くと態度を急変させ、剣を突きつけてきた。

 その中で若い騎士だけは、まだ状況を飲み込めず慌てている。

「さあ姫、こちらへ!」

 側近のユリウスに腕を掴まれ、強引に馬車へと乗せられていくリアン姫は、申し訳なさそうにこちらを見ていた。 炎属性上級魔術【煉獄円フレイムサークル】だ。

「うおっ、何だ!? 魔物たちが急に燃え……」

「追手が来たのか?」

「反乱者どもの追手なら、我々も巻き込まれているはずだが……」

 魔法陣の範囲内にいた魔物どもが息絶えたのを確認してから茂みから姿を現す。

 運良く魔法陣の範囲外へと逃れた生き残りの魔物どもに視線を移す。

 敵だと認識されたのか牙剥きだしで威嚇される。

 ならばこちらも満遍なく殺意で返す。

 すると勝てないと本能で理解したのか、魔物どもはそそくさと尻尾を巻いて逃げていってしまった。

 撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけか。

「………貴様ら、何を固まって見ているんだ。仲間が怪我をしたのならば早く応急処置をしてやれ。早くしろ」

 兆しもなく現れた謎の魔術師に呆気を取られている騎士達に近づき、腕を噛まれた男に目をやりながら告げる。

 普通に声をかけたつもりなのに、あれ、なんか冷たくない?

 まさか、このキャラの口調でしか話せなくなってしまっているのか?

 ロベリアから情報を得ただけではなく、強制的に毒舌まで習得を……。

「あ……えっ……ええと、貴方は……誰なのですか?」

「そんなことは今どうだっていい。口より手を動かせ。ほら、仲間が死んでしまうぞ? さっさと手伝え」

「あっ……は、はい! ただいま!」

 騎士が素直に返事をしてくれたので腕を負傷した男にある薬品を飲ませるよう促す。

 最初は警戒したものの、状況が状況なので騎士は仕方のない様子で薬品を受け取ってくれた。

 生前の記憶が正しければ、今渡した薬品はロベリアがついでに研究していた上級回復薬を超える性能を秘めた、傷のみならずあらゆる呪いや状態異常を同時に癒してくれる秘薬のはずだ。

 嚙みちぎられた腕を押さえつけながら苦しむ男に薬を飲ませる。

 本当に効果があるのかとドキドキしながら待っていると。

 なんと、噛まれた箇所が一瞬で治ったではないか。

 荒々しい呼吸も収まり、苦しんでいた男は落ち着いたように眠りに落ちたのだ。

「「おおおお!!」」

 後ろの方でじっと見ていた若い騎士と女騎士の二人が声を上げた。

 ただ残念なことに俺自身が作

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