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授かった『スキル』で波乱万丈。スローライフを目指す俺の異世界物語
白い彗星
異世界ファンタジースローライフ
2024年07月27日
公開日
78,078文字
連載中

 そこは『スキル』が授けられるファンタジー世界。転生した世界で、レイは二度目の人生を送ることに!
 しかし授かった『スキル』"不老"により、レイの人生は波乱万丈なものに変わっていく。

 『スキル』を授かった時から歳を取らなくなってしまったレイは、長い年月を一人で生きていく。チートのような派手な『スキル』ではなく、"不老"という地味な『スキル』。それは、レイにとって苦痛とも取れるものだった。
 スローライフを送ることを夢見ていた、どうしてこんなことになってしまったのか。もはや生きる意味すらも失いかけていた頃に出会った一人の少女……その出会いが、レイの人生を大きく変えていく。

 これは、スローライフを送りたい男が、授かった『スキル』に翻弄されながらも、異世界を生き抜いていく物語。

 スローライフを目指す、お話です。


 小説家になろう、アルファポリス、ノベルピア、カクヨムでは修正前を投稿しています。

第0話



 ――――――



「はぁ、はぁ、は……疲れたなぁ」


 宛もなく、旅を続けていた。

 今いるのは、巨大な砂浜の上……とでも言うべきだろうか。

 いや、わかりやすく言うならば砂漠だろう。


 照り続ける太陽、そして踏みしめるたびに足が埋まる砂の地面は、確実に俺から体力を奪っていく。

 手にしていたボトルを、口に含む。中に入れていた水が、喉を潤していく。


 だが、もうこれで水は空だ。ボトルを逆さにしても、一滴の水すらも出てこない。


「……水を出すことができればなぁ」


 一人、解決もしない言葉を呟いた。

 一人だと、なにも喋らないと気が滅入ってしまう。とはいえ、この暑い中で喋るのも疲れるものだ。


 どこかで水を補充したい。

 俺が、水を自在に出すことのできる『スキル』でも持っていれば、とりあえず飲み水の心配はしなくて済んだのだが。


「とりあえず、どこか休憩する場所を探さないと」


 しばらく歩いてきたし、休憩したい。

 しかし、辺り一面砂だらけだ……休めそうな場所など、どこにも見当たらない。


 まったく……ここが『異世界』だというのなら、少しくらいは俺に優しい設計であってほしいものだ。


「……ま、俺に優しい世界なら、今こんなことなんてしてないか」


 自分で自分の考えを否定し、歩みを続ける。

 とにかく、歩かなければ休める場所も見つからない。体力が限界になる前に、なんとしてでも。


 こんなところで倒れてしまったら、洒落にならないからな。ま、ここで気を失ってしまえば、死ぬことができるかもしれないが……


「……あ、あった」


 そう想っていた矢先。視線の先に、水辺が見えた。砂漠のど真ん中にある、大きな水辺。

 こういうの、オアシスって言うんだっけか。俺の妄想じゃないことを祈ろう。


 俺はゆっくりと、歩き出す。

 宛のない旅……たった一人ぼっちの旅……俺が旅を始めてから、もう、三千年は経っただろうか……



 ――――――

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