二時間程たっただろうか、猛烈な暑さに体中がとろそうになったとき、車の少ない裏通りのまっすぐな道の奥、ピンク色のヘビーな面構えのピックアップトラックが姿を現した。
その車は徐々に姿を大きくし、僕の座るガードレールの方にまで近づく。
その運転手の顔を確認しようと思ったが、太陽を反射して、できない。
だけど、なぜか僕には確信があった。
このトラックを運転しているのは、僕のお父さんだって。
トラックは駐車場の前を少し通り過ぎると止まり、タイヤが切り返されてゆっくりバックで駐車場へと滑り込んでいく。
僕はその一連の動きを、汗の流れるのもそのままに見つめている。
低いうなり声のようなエンジンが止まり、周囲は静かになる。
一瞬、熱く湿った風が、僕たちとそのピックアップトラックの間を吹き抜ける。
左座席のドアが、昆虫の羽のように開くと、そこから姿を現した男の人――
「お父さん」
サングラスをかけているけれど、間違いない。
僕の記憶の奥底に眠る、お父さんの姿とぴったり一致する。
僕はいてもたってもたまらず、道を横切ろうとした。
「危ない!」
スゥに腕を引かれた僕のその前を、一台のワゴンが通り過ぎる。
そのワゴンが僕の視界から消えた時、僕の目の前には、小さな男の子がいた。
その男の子は、僕のお父さんと右の手をつないでいた。
そして左手は、若く美しい女性の手に。
男の子の屈託のない笑顔、若い女性の、お父さんを見る視線、そして、お父さんのリラックスした表情。
いったいこれは、どういう光景なんだろう。
僕はこの光景を、どのように解釈したらいいんだろう。