前回のあらすじ:モブーナとママリアが一方的でした
そして…視点は再びニエリカの元へと移り…
玉座の間では、ニエリカと王妃が対峙していた。
「やはり来たか…どこまでも私の邪魔をしようとする目障りな女だ」
「別にアンタの邪魔したいって訳じゃないけど、世界が崩壊するってんなら…まあ、見過ごす訳にはいかないっていうか…てか、邪魔してきたのはアンタが先でしょうが!」
「ごちゃごちゃと御託を並べて…貴様の存在が世界にとって邪魔だと言っているのだよ!」
「その世界をアンタ好みに書き換えようなんてことしてるからこんな事が起きてるんでしょうが!」
「世界を正しい形に戻そうとしているだけだ!」
「それはアンタにとっての正しい形で…ああもう!埒が開かないわ!」
「ならばどうする?まさか私を倒して分からせるとでも?」
「アンタがそう言うならそうさせてもらうわっ!」
「愚かな…」
そう言ってニエリカは王妃に対して斬りかかる。
その攻撃はモブーナの時と同様に避けられると思われたが…「彼女の手で防がれる」に留まった。
「無駄なことを」
「ふっ…予想通りね」
「ふん、減らず口を」
その後も次々に攻撃を仕掛けていくニエリカ。
だがその攻撃は「全て防がれてしまう」。
「無駄だと言っているのが分からん愚か者のようだな」
「ええ、そうね、でもこれで分かった事はあるわ」
「何…?」
「アンタの運命操作は『理の外の人間』には通用しない…だから私の攻撃は『防いでいる』。違うかしら?」
「………何かと思えば見当外れな推理を得意気に…!貴様の攻撃程度避けるまでも無いだけのこと!」
「さあ、どうだかね!」
そうして息付く暇もなく攻撃を続けるニエリカだったが、王妃の防御を突破する糸口を見つけられてはいなかった。
「フッ…大口を叩いた割には口先だけだったな」
「いいえ、まだまだよ…!王妃様、いえ…クラキプロデューサー!」
「…!ほう、もうそこまで知っていたか」
「どっちかと言えば思い出した、が近いかしら!」
「だがそれを知った所で貴様の負けは揺るがんぞ?」
「そうかしらね?確かに私には勝てるかもしれないけど、アンタじゃバグは直せないでしょう?」
「………」
「その顔、図星かしら?リメイクだのなんだのと大層な事言ってるけど、バグまで昔のままじゃ売れるわけが無いわね!」
「…黙れ!黙れ黙れ!元はと言えば無能なプログラマーのせいで…!」
その言葉を聞いた瞬間、王妃が激昂しニエリカに攻撃を仕掛ける。
だが、冷静さを欠いたその攻撃はニエリカに当たるはずもなく…
「へえ?プログラマーに当たり散らかすんだ?案外アンタが出来もしない無茶な事を実装させようとしたんじゃないの?」
「そんな訳があるものか!私の理想を実現できないプログラマーが無能以外の何だというのだ!」
「ま…当時の開発状況がどうだったかなんてのは私の想像でしか無いけど…少なくとも、アンタをプロデューサーに持った開発の人達が不幸だったのはよく分かるわよ!」
「おのれ!言わせておけば…!」
気がつけば攻守一転、ニエリカが王妃の攻撃を捌くような状況が出来上がっていた。
「アンタの理論で言えばどうせこのリメイクだって碌なプログラマー居ないんでしょ?どうやって開発してるのよ?」
「フン…もう信用できんプログラマーなどには頼らん、私一人で作り上げるつもりだ!」
「へえ?プロデューサー様が1人で?」
「そうだ、今はUniEngineという素晴らしいものもあるそうじゃないか、グリーンプリントさえあればプログラマーなど居なくたって…!」
「グリーンプリント(笑)」
「なっ…何がおかしい!」
「アレだってプログラムの知識はいるに決まってるじゃないの!それにアレは保守性が………ねえ?ま、でも自分でやろうとするのは偉いと思うわ…よっ!」
「褒めているのかけなしているのか…一体どっちなのだ!」
「さあ、どっちかしらね!」
王妃の大振りの攻撃を避け、大きく一歩引くニエリカ。
そしてその勢いのまま、王妃に向けて斬撃を一振りする。
当然、そんな距離の攻撃が当たるわけが無い…そう思っていたのは王妃だけであった。
空を切るかと思われたその攻撃は…「何故か王妃に直撃していた」。
「ぐっ…!?な、何故だ!?」
「あら、プロデューサーなのに知らなかったの?ディアストの攻撃エフェクトは出し続けると前に前に少しづつズレていくのよ!ちゃんとデバッグ参加してた?」
「お、おのれ小癪な…!」
「責任の所在が何処にあるのかは私は知らないけど…恨むなら当時この状況で完成させた事を恨むのね!」
王妃に大きな隙が出来たと見るやいなや、ニエリカは大きく一歩を踏み込む。
そして
「これで決めるわ!必殺…」
「ま、待て!リメイクの主人公にはお前に勤めてもらおう、ど、どうだ!?」
「…別に主人公には興味無いのよパーンチッ!」
ニエリカの大きく踏み込んだ拳が、王妃の顔面にクリーンヒットする。
そうして…彼女はその場に倒れる事だろう…
「…私の勝ちね!」