前回のあらすじ:名状しがたい何かが生まれました。
「繝槭??橸シ」
「……………えっ?」
うきうきで魔物の卵を孵化させた私を待っていたのは、名状しがたい何かでした。
「あ、あの…これ…」
「珍しいですね!ニエリカ様!縺代▽縺ー繧ですよ!中々見られないと噂の!」
「な、何?なんて?」
「だから、縺代▽縺ー繧ですよ!縺代▽縺ー繧!」
い、いかん、何回言われても何も理解できない上に発音さえよく分からない。
一体何故こんな事に…
………と、そんな私の脳裏に一つだけ思い当たる事があった。
…魔物の卵はかけた愛情で生まれる魔物が2種類に分岐するのだが…愛情が丁度『50』の時だけは生まれる2種類の条件の『どちらにも当てはまらず』、バグった魔物が生まれるとか……
「…と、言うことは」
「?」
つまりこれは私が卵にかけた愛情が丁度『50』だったことから生まれた存在となる。
いや…しかしだとするとおかしい、私は卵に愛情が上がる事しかしていなかったつもりなのだが………
(……ま、まさか!?)
まさか、エリカ様が嫌がらせとして愛情が下がるようなことをしていたのだろうか?
…いや、想像で物事を語るのは良くないが、状況証拠的にはそうとしか考えられない。
だけど証拠が無い以上は追求することも出来ないし…
「うーん………」
「縺セ縲√?繝槫、ァ荳亥、ォ?」
「大丈夫ですよ、ニエリカ様は少し混乱しておられるだけですから」
「…そ、そうね…少し困惑はしているわね…」
「繧ゅ@縺九@縺ヲ遘√?蟄伜惠縲∬ソキ諠代↑縺ョ縺九↑?」
「そんな…迷惑なんてことはありませんよ、ですよねニエリカ様?」
「も、勿論よ!アレだけ愛情を注いでいたんだから迷惑だなんて…」
…うん?ちょっと待て
「…というかモブーナ貴方、これが何を話しているのか理解しているの?」
「はい、そりゃあ勿論!カンストの向こう側の知力を舐めないで頂きたいですね!それに、縺代▽縺ー繧は比較的知能が高い魔物ですから、簡単な会話ぐらいは出来ますよ!」
「そ、そう…なのね」
なんというか、こういうのを見せられるとモブーナも「そっち側」なんだろうか、と思ってしまう所はある…
「そうだニエリカ様!とりあえずこの子に名前を付けてあげませんか?」
「…確かに、そうねえ」
確かにそうだ。
生まれた魔物が名状しがたい何かで困惑してしまったが、悪いのは推定エリカのせいで、この子に罪は無いのだ。
「蜷榊燕縺ァ縺吶°??シ」
「ええ、名前です、魔物と人間の信頼の証でもありますしね、貴方もその方が嬉しいでしょう?」
「蜷榊燕縲∵ャイ縺励>?」
「名前、ねえ…」
うーん、名前、名前ねえ…
こういう時、気の利いた名前を付けれないタイプなのよね、私…
「…あ!そうだ!『けつばん』なんてどうかしら?悪くない名前だと思うのだけれど…」
「…ニエリカ様ってニックネームとかあんまり付けないタイプだったりします?種族名そのままは流石にちょっと…まあ、そういう人も居ますけども…」
「そ、そうなの!?」
そうか…けつばんって種族名だったのか…いや言語が違うから分からなかったけど、そうなのか…
いや、でもそれなら…別の名前のほうが良いわよねえ。
「あー、なら…『ぬるぽ』はどうかしら?」
「ガッ」
「繧ャ繝」
反応早っ!?
というか、理解してるってことは知能が高いってのもあながち本当なのかしら…?
「あ、え~っ…と………気に入らないならまた別の名前を…」
「縺ャ繧九⊃縲√>縺?錐蜑搾シ」
「そんな事はありませんよ、ニエリカ様。とても喜んでいらっしゃいます」
「そ、そう…なら良かったわ」
名状しがたい何かは全身を使って喜びを表現しているようだ…
…うん、こうして見ればちょっとテクスチャがバグったスライムみたいで結構可愛いわね。
「それじゃあ、これからよろしくね、ぬるぽ!」
「繧ャ繝」
こうして、また
…ちなみに、この子の屋敷の他の使用人からの反応はと言えば。
「おや、縺代▽縺ー繧ですか、ニエリカ様も珍しい魔物をお連れで」
「縺代▽縺ー繧じゃないですか!かわいい~!私始めて見ました!」
「へぇ~、縺代▽縺ー繧ですか、ニエリカ様も大変だったでしょう」
(皆当然のごとく知っている!?え、も、もしかしてやっぱり私がおかしいの???)
いつもながら思うが、この世界の一般人からの認知度はどうなっているんだ。
とは思うが…城下町の人々からの反応もこんな感じだったので、これがデフォルトなのだろう…
そして屋敷の中で唯一ただ一人、新鮮で…多分私にとっては常識的な反応を示してくれたのは
「うわっ!?キモッ!?ちょっとニエリカ?何なのよそれ!?」
「何って…この間の魔物の卵から生まれた魔物ですが…」
「魔物!?いやもうそれ魔物とかじゃなく…もっとこう…何???」
エリカ様だ。
…うん、そうだよな、これを見たらこういう反応が正しいんだよな。
エリカ様の逆に新鮮な反応に、ついほっこりしてしまうのだった。
「いやだから、それ本当に何なんですの~っ!?」