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第4話

「霊園があるじゃない」

 うちの先祖の遺骨も納められている霊園が田舎の方にあった。とはいっても、遠方にあるため一年に一回墓参りに行けたらいいくらいの距離があるが。

「はあっ。あなた達、運転できないでしょ。ペーパードライバーじゃない。霊園まで行くのも大変なのよ」

「せっかく免許取ったのに、運転できないなんてなぁ」

 なんて嘆かわしいと言いたげな父の様子に、思わずはーさんは反論していた。

「仕方ないでしょ、運転する機会がないんだから!あと、お姉ちゃんの下手さと一緒にしないで!」

 そう、私たちは運転が致命的に下手だった。特に自分の運転の下手さは自分が一番自覚している。よく運転免許がもらえたものだと、自分が一番びっくりしたくらいだ。

 ああ、車の運転の話はしたくない。この話題から話をずらせないものかと考えながらスマホで検索してみた。最近の供養方法に軽く目を通していくと、少し気になる言葉が見つかった。


【遺骨ダイヤモンド】


 聞きなれない言葉だった。なんというか、遺骨とダイヤモンドという真反対のような言葉の組み合わせがすごく目を惹いたのだ。

 いわゆる遺骨ダイヤモンドとは、亡くなった人の遺灰や遺骨に含まれる炭素を用いて作るダイヤモンドのこと。近年増えている手元供養の1つであり、故人を身近に感じられる方法として注目されているようだ。

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