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『マッシブ・タレント』

【作品情報】

原題:The Unbearable Weight of Massive Talent

製作:2022年/107分/アメリカ

監督:トム・ゴーミカン

出演:ニコラス・ケイジ/ペドロ・パスカル/シャロン・ホーガン

ジャンル:『パディントン2』観ようってなっちゃうバカアクション

(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)



【ざっくりあらすじ】

旬を過ぎた俳優、ニックことニコラス・ケイジ。

オーディションに参加するもなかなか成果が出せず、俳優業へのやる気も見失いがちだった。

おまけに離婚した妻オリヴィアと、彼女について行った娘アディとの関係も決していいものではない。というか、アディからは若干……いえ、だいぶウザがられている。


そんなある日、スペインのとあるお金持ちの誕生日パーティーに出て欲しいとエージェントに頼まれる。借金もかさんでいたので、「これが最後の仕事だ」と己に言い聞かせてスペインのマヨルカ島に飛んだニック。


彼を招いたのは、オリーブ農園を営んでいるハビという男性だった。

自身の大ファンだというハビから手厚い歓迎を受けたことで、ニックは演技への情熱を思い出していくように。


そしてハビが書いた脚本を受け取った日の夜、ニックは謎の連中に誘拐されてしまった。

彼らはCIAであり、ニックにハビの周辺を探って欲しいと依頼して来る。

なんとハビの裏の顔は犯罪組織のボスであり、敵対する首相候補の娘を誘拐し、人質にしているというのだ。


「娘と同じ年の頃の女の子が酷い目にあってんだぞ?協力しろや、オラ!」

と脅されたお人好しのニックは、嫌々ながらもハビへのスパイ活動をスタート。

ニックは映画の中では色々荒事もこなして来たけれど、実際の彼はただの素人オジサンだぞ!

CIAの人でなしィ!



【登場人物】

ニコラス“ニック”・ケイジ:

かつてアクション映画を中心にブイブイ主演を張っていたけれど、最近はちょっとパッとしなくなっちゃったお目々が可愛いおじさん。話が長い。

エージェントの仕事が雑なばかりに、詳しい仕事内容も教えられずにスペインまで飛ばされる。そしてCIAの任務に巻き込まれては、ベタなミスをやらかす。


ハビ:

ニコラス・ケイジのえげつないファン。どれぐらいえげつないかというと、ニコラスのエージェントに自作の脚本+誕生日パーティーへの出席依頼を送るレベル。ちなみに依頼料は100万ドルなので、ぶりぶりざえもんでも大喜びで引き受けそう。

「オタクに大金を持たせてはいけない」という世界の真実の体現者でもある。

ただそんな彼でも、ニコラスと娘の意思不通っぷりにはドン引きしていた。

CIAによると超極悪武器カルテルのボスらしいけれど……?


ニッキー:

ニコラスにだけ見える、イマジナリーフレンドなニコラス。

実在ニコラスに比べて若く、ガラと口が悪い。彼によると実在ニコラスはチューが上手いらしい。

……また一つ、無駄な知識が増えてしまった。


アディ:

ニコラスの愛娘で16歳になりたての、絶賛思春期真っ只中。

良かれと思って『カリガリ博士』を勧めてくる親父にウンザリしている。それはたしかに辛い。せめて『メトロポリス』にしとけ。


ルカス:

ハビのいとこで目がイッている、五分刈りのチャラ男イケメン。常にテンションが高いので、何かおクスリをキメている気がする。

その見た目から、我が家では「キレイな海老蔵」と呼んでおりました。



【感想など】

落ち目のニコラス・ケイジが落ち目のニコラス・ケイジ役を演じるという時点で、だいぶヘンテコな映画だとは思っていましたが――思ってた方向性と、若干違うヘンテコ映画でした。


これね、だいぶバカ映画です。アホアホ・ブロマンス映画です。

旬を過ぎた俳優の哀愁や、再起をかけた奮闘よりもヒゲのオッサンどものイチャイチャに、正気を疑うレベルで尺を使っています。

哀愁2:イチャイチャ8ぐらいです。ほぼイチャイチャです。ハッピーだね。


ニックとハビの関係性だけを観れば、超王道ラブロマンスなのよ。

お互いに詳しい素性も事情も分からぬまま出会った二人が、トラブルに巻き込まれて絆を深め合い、ふとした誤解からすれ違うも最後は手と手を取り合って困難を乗り越えるわけですね。


はい、ラブストーリー!

『美少女戦士セーラームーン』とほぼ同じフォーマットとなっております!

つまりニコラス・ケイジは、月野うさぎことセーラームーンですね!


実際のところ、片方はバツイチのオッサンで、片方はオリーブ農園のオッサンなのですが。

あと二人が巻き込まれたトラブルも、LSDをキメてラリってしまうという完全自業自得なものですが。

このLSDで二人がワチャワチャするシーンは、笑い泣きしてしまいました。特に塀のくだりがベタベタ過ぎて大好き。


こういう、いい年した大人が全力で超くだらないことをしているのって、誠に眼福です。

『ウォーターボーイズ』の炎上アフロシーンでも思ったけれど、ベタなギャグに迫真の演技と悲壮感漂うガチ演出が合わさると、これでしか味わえない旨味がある!


LSDキメキメ以外だと、自分の等身大フィギュアをハビに見せられたニックが、制作費用の4倍を払ってでも買い取ろうとするシーンも好きです。

……まあ、怖いよね。処分したいよね。分かる。私もたぶんそうする。


ところで今気付いたのですが、これも前回の『ロスト・キング』と同様の推し活映画と言えるのでは?

前回は推しに狂ったオタクが知力で突っ走り、そして今回は財力で突っ走っておりますが、どちらもいい具合に狂気を孕んだ――でも真っすぐな愛情が原動力で。

『マッシブ・タレント』は、アメリカ版推し活映画と勝手に判断いたします。


そんなわけで色んな国の推し活映画も観たいなと思いつつ、ひとまず『パディントン』シリーズも観てみようと思います。

まずは1から!

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